2008-01-01から1年間の記事一覧
新聞や雑誌なら、「2008年 書籍ベスト10」といった企画になるのだろうが、昨今の 私は新刊にはあまり食指が動かされず、古本を買うことが多いので、新刊に限定した書評や紹介はもはや無理だ。というわけで、出版年がいつであれ、2008 年に読んだ本…
かねてより、この雑語林135号や170号で、日本のタイ料理店の概要を紹介してきた。在日タイ大使館が発表しているリストによれば、日本にあるタイ料理店は2007年1月現在、445軒あることになっている。「タイ料理店」の定義などは考えず、リストに載っ…
ついに、最後の一冊もだめだった。今年4月にアマゾンに注文した本が、「商品を入手でき ませんでした」というメールで、注文がキャンセルされた。注文して半年後だ。アマゾンの不手際で注文がキャンセルされたのは、現時点でこの本が最後だが、 もちろん最…
『沖縄イメージを旅する』には、カラー口絵が8ページあり、本文中にもモノクロ写真を多数使っている。「写真提供」として、読売新聞社、毎日新聞社、沖縄県公文書館のクレジットがあり、「上記記載以外の写真は、著者提供による」とある(286ページ)。 …
人は何に誘われて旅に出るのかといったテーマに興味があって、『沖縄イメージを旅する』 (多田治、中公新書ラクレ、2008)を読んだのだが、どうも読後感が良くない。バランスが悪いのだ。著者は元琉球大学助教授で、現在一橋大学の准教授だ が、この本…
物価と収入 石井好子がパリに着いて3日目に、シャンソン歌手の仕事が舞い込んだ。留学したのではなく、歌手として仕事をしていたのだった。アメリカでもフランスでも、赤貧の時代はなかったのだ。 週給1万フランだ。しばらくして、別の仕事の話があった。1…
パリ 1年半のアメリカ滞在のあとに渡ったパリだが、所持金は数週間分しかなかった。シャンソンのレッスンを受けているうちに、歌手としての仕事が舞い込み、その待遇もしだいによくなっていく。とりあえず、生活の心配などせずにパリで生きていくことができ…
ハワイ ハワイを訪れた有名人を写真で紹介した『憧れのハワイ航路』(恒文社21編集部著、恒文 社21発行、恒文社、2001年)を読むと、戦後初めてハワイに立ち寄った芸能人は、田中絹代だとわかる。1949年10月、日米親善使節として渡米し、 その…
日本脱出 戦後の日本人の外国体験については、フルブライト留学などアメリカに渡った人々の話はい くらか調べたが、それ以外の国についてはほとんど知らない。『戦後日本人世界各国留学事情』といった本でもあれば、それを読んで「問題解決」としたいのだ が…
インターネットで昔のタイの情報をいろいろ探していたら、古いホテルの写真に解説がついた貴重なサイトを見つけた(http://www.oldbangkok.com/)。 私の記憶にもある数々のホテルの写真を眺めていたら、そのなかに一軒だけ、異質のホテルの写真が載っていた…
きっかけは、タイ音楽の歴史を探っているときだった。音楽の歴史を社会との関連で知るには、ラジオ放送の歴史を調べるのがいいと思い、インターネットで探ってみると、こういうレポートが出てきた。 “Radio Broadcasting in the Days before the National Br…
アメリカ入国の注意事項は、「見せ金」を用意しておくことだ、とある。出稼ぎ目当ての貧乏人を入国させないための措置で、3等室の客はとくに念入りに詮索される。だから、100円ほどの金を用意しておかないと、入国拒否にあうかもしれないというのだ。 「…
海外旅行体験記というものは、明治初期から出版されているものの、詳しい旅行事情はよく わからない。出国までの手続きや、携行品の内容や、渡航資金はどのくらいかかったかといったことがよくわからない。そこで、ちょっと資料を探してみると、 たまたま『…
今回は、『英語ベストセラー本の研究』(晴山陽一、幻冬舎新書)を点検しながら、日本人が英語を学ぶ目的について考えてみたい。 晴山氏によれば、1949年から使われ始めた英語の教科書『ジャック・アンド・ベティー』には序論「なぜこの書はつくられたか…
日本人の外国語学習史に興味があるので、その関連の本を折に触れて読んでいる。今年の春に読んだのが、『日本人と英語 ――もうひとつの英語百年史』(斎 藤兆史、研究社、2007)で、日本人と英語に関する歴史を解説する本だから、『日米会話手帳』が当然…
すでに死んでしまった8人の旅行者たちの生涯を紹介した『ラストシーン』(小林誠子、バジリコ、2007年)を読んだ。登山家の若山美子以外、植村直己や 上温湯隆など、著作を通じてではあるが、よく知っている人ばかりだ。だから、単なる、「生涯のあらす…
2000年に出たその本を、アジア文庫で見た記憶はあった。それ以外の記憶はないのだが、おそらくページをパラパラとめくって、「まあ、買う必要のない本だな」と結論を出し、本を平台に戻したのだろう。 その本、『チェンマイ田舎暮らし ――微笑の国で年金…
もう何年も前からカレーとラーメンがブームのようで、専門店だけでなく、出版部門でもカ レー本やラーメン本があまたある。しかし、カレー本もラーメン本も、内容はほとんど大差なく、店ガイドと既刊書の焼き直しという、あいも変わらぬ「柳の下 のドジョウ…
前回の原稿をアジア文庫に送っってすぐに、知りあいから「日本人の海外旅行事情研究の参考になれば・・・」ということで、『ヨーロッパの旅』(辻静雄、保育社カラーブックス、1965年)をいただいた。 日本で海外旅行が自由化されたのが1964年4月だ…
『マクドナルドはグローバルか』に、世界各国のマクドナルド初出店年リストが出ている。 ながめているだけで、世界の経済や文化が見えてくるようで、興味深い。このリストの元の情報源は、もちろんマクドナルドだが、それを1996年の「ニュー ヨーク・タ…
前回まで書いてきた東アジアのファーストフード関連で、ずっと前から読もうと思っていた本にやっと手をつけた。『マクドナルドはグローバルか――東アジア のファーストフード』(ジェームズ・ワトソン編、前川啓治・竹内恵行・岡部曜子訳、新曜社、2003年…
『ファーストフードマニア』のいいところは、インターネットのホームページの情報だろうが、企業の情報も書いていることだ。出店した年や全国の総店舗数といった基本情報だ。あるいは、経営母体の話だ。 観察した記述として、台湾のスターバックスについて、…
『ファーストフードマニア』をひとことで説明すれば、駄文と駄写真と駄デザインの本であ る。中国と台湾と香港のファーストフード店を紹介した本で、屋台や露店は含めず、アメリカ式ファーストフード店の形態をとった店を紹介している。その企画 は悪くない…
書店で平積みになっていた派手な表紙の『ファーストフードマニア Vol.1 中国・台 湾・香港編』(黒川真吾・田村まどか・武田信晃、社会評論社、2008)を見かけ、手にとって0.5秒で購入を決めた。名カタログ『コーラ白書』と同じ版 元じゃないか。いいか…
団塊世代が大量に定年を迎えていることと、自費出版のブームが合体し、昔の海外駐在体験や長期出張体験、あるいは若き日の海外放浪をまとめた本が数多く出 版されている。日本人の海外旅行史に興味がある私としては、ネット古書店などで「それらしい」本を見…
1950年から74年まで日本で過ごしたオランダ人銀行員が書いた『まがたま模様の落書き』の話の続きだ。 この本を読んでおどろいたもうひとつのことは、日本の外国料理店に関するものだ。前回は1960年代の話だったが、今回はちょっと戻って1950年…
倒産した新風舎はなにかと評判が悪かったが、浜の真砂ほども出版した本のなかには、ちょっとはいい本もあり、旅行史や異文化関連の本を数冊買っている。 つい最近読んだのが、1950年から74年まで日本に滞在していたオランダ人銀行家が書いた、『まがた…
所用のついでに、マレーシア、タイ、ラオスをしばらく旅した。重い荷物は持ちたくないの で、できる限り本は買わない予定ではあり、その決心は2週間ほどは続いたのだが、1冊重い本を買うと、「持っては歩けないほど重い本を買ってしまったのだ から、郵送…
いままでこの雑語林に書いた文章の、追加情報を書いておこう。 この雑語林の150号で、朝日新聞記者伊藤千尋氏が大学時代に、サンケイ・アドベンチャー・プランという企画に応募して合格したという話を書いた。朝日新聞に就職が決まっていたが、入社を辞退…
すでに何冊も読んだというのに、また、昆虫食の本を買ってしまった。 本棚を見れば、昆虫食を真正面から扱っているこんな本の背が見える。 『虫の味』(修永哲・林晃史、八坂書房、1996年) 『虫を食べる人々』(三橋淳編、平凡社、1997年) 『虫を…