2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

308話 事実を書くということ

沢木耕太郎は、そのデビュー作『若き実力者たち』(1973年)がまだ単行本になる以前に雑誌掲載時に読み、その才能に感嘆にし、衝撃を受け、以後しばらくは、沢木の本を読み続けることになった。ところが、『テロルの決算』(1979年)を最後に読まなくなった…

307話 同じ話をまた書くということ

読者の「また、その話を書きやがって、同じネタで何回稼ぐつもりだ」という批判が恐ろしくて、極力同じ話は書かないようにしていた時代がある。 ある作家が雑誌や新聞に書いた文章を集めたアンソロジーを読んでいると、同じ話が何度も出てきてうんざりさせら…

306話 第五帝国の「木の葉の海」 その3

2002年か03年ころに、このCDについてインターネットで調べると、一件だけだが日本語での感想が書いてあったのを覚えている。好意的な感想だったが、このCDに関する情報は何も書いてなかった。 というわけで、このCDについてなにもわからないまま、帰国…

305話  第五帝国の「木の葉の海」 その2

スペインからポルトガル北部に入り、徐々に南下してリスボンに着いた。宿に荷物を置いて、すぐさまタワーレコードに行こうとオウロ通りを歩いていたら、路上で歌声が聞こえてきた。建物の前に腰をおろして歌っているのは、なんとドナ・ローザばあさんではな…

304話 第五帝国の「木の葉の海」 その1 

たまたま、インターネットでファドに関する日本語の本を知った。ファドというのは、誤解されるのを承知で大胆に説明すれば、ポルトガルの歌謡曲である。その本は、『インターネットラジオ「ファドの時間」公式ガイドブック』(M.T.E.C,2010.)という。…