2012-01-01から1年間の記事一覧

467話 電波障害のなかの音楽生活 

いつのころからか、我が家はテレビやラジオの受信に障害がでるようになった。テレビは、いわゆる「ゴースト」がでる。特にNHKがひどいので、NHKに受信相談したら、係の人が機材を持ってきて調査をしたのだが、「はい、悪いですね」というだけで、何の…

466話 映画「マライの虎」を見た

すでにこの雑語林の129〜133話の5回にわたって、ハリマオの話を書いた。130話では、1943(昭和17)年に製作した大映映画「マレイの虎」(監督:古賀聖人)の話をちょっと書いた。「シンガポール総攻撃」という映画のロケでマレーシアに行ったので、「せっかく…

465話 日本の正しいコロッケ

コロッケは、肉屋のコロッケに限る。レストランで食べるようなもんじゃない。 ポルトガルの小さな街の昼下がり、空腹のまま散歩してきたものの、適当な飯屋が見つからない。ちょうど目の前にポルトガル名物の藍色の絵がついたタイルで飾られた古い駅があり、…

464話 タイ人の口臭と体臭に関する考察 

前回書いた韓国人の口臭に関する話を、タイ在住の日本人たちにしてみた。すると、「タイ人も同じだとね」という。妻や恋人がタイ人という人も、「タイ人は口臭なんか、気にしない」という。 たんなる旅行者である私は、タイ人の口と接近することはないのだが…

463話 韓国人の口臭に関する雑感

映画であれ、テレビドラマであれ、韓国のラブストーリーを見ていてふと思い浮かぶことがある。 ふたりとも、強烈な口臭のままキスシーンの撮影に進んでいるのだろうなあ。昼に、たっぷりキムチを食べたし・・・。 日本のドラマなら、キスシーンを前にした役…

462話 ジェット・ストリームの時代

テレビから気になる音楽が聞こえてきた。記憶の奥底にある音楽なのだが、演奏者も曲目も、まったくわからない。歌がない演奏だけの音楽だから、歌詞から題名を探るということもできない。 気になってしかたがないので、インターネットで検索してみることにし…

461話 地球の今昔物語

“Then and Now”とか、”Now and Then” といったタイトルの本は数多い。ある場所の昔と今の景色の違いを比較するような本が好きだ。現在をよく知っている場所なら、昔の風景写真だけでもいい。視覚で歴史がわかるのが興味深い。 クアラルンプールの書店で、”Ea…

460話 西洋絵画と異国憧憬

エキゾチシズムの資料を探していたら、『絵画のなかの熱帯 〜ドラクロワからゴーギャンへ』(岡谷公二、平凡社、2005)がおもしろそうなので、すぐさま注文した。 安くはない本だから、内容を確認せずに買うのは不安だったが、読んでみれば、「かなりおもし…

459話 Exotica

ジャズのCDカタログを見ていると、私はジャズマニアではないから、当然知らないミュージシャンがいくらでもいる。それは当たり前なのだが、CDショップの棚やネットの中古CDリストでも同じ名前を何度も見ると、どういう音を出す人なのか気になってくる…

458話 タイも、ノスタルジーの時代

YouTubeでタイ歌謡の動画を見ていたら、チンタラー・プンラープがポンラーン・サーオンと出ていた。どういうことかわかる日本人は10人くらいしかいないだろうが、長くなるので説明はしない。共演が興味深いわけではなく、ロケ地に見覚えがあったから、「おお…

457話 タイ音楽 CD&VCDのことなどから

タイの音楽界も低調で、「この歌手に注目!」とか、「新発見、この歌手のCDを全部買おう」などという興奮はもうない。買っても損はないとわかっているのは、ターイ・オラタイとタカテーンのふたりだけで、このふたりは日本にいてもYouYubeでたっぷり楽しめ…

456話 中国語人の旅

マラッカの街の観光地や夜店を散歩していると、聞こえてくるのはほとんど中国語だった。その中国語とは世間で言う北京語、正確に言うと普通話、つまり標準中国語だ。旅先で中国語を使っている人たちといえば、シンガポール人、マレーシア人、台湾人なのだろ…

455話 タイの旅の本と、東京の本

タイの本屋を巡っていて、だいぶ前から気が付いていたのは、タイ人用のガイドブックが多く出版されていることだ。海外旅行もあれば、国内旅行もある。観光地巡りのガイドから始まったのだが、いまでは食べ歩きガイドもだいぶでている。 トヨタ、自動車保険の…

454話 タイの食材図鑑だが・・・

『タイ食材図鑑』という本が出た。アマゾンでは買えないが、通販では買えるらしい。http://www.value-press.com/pressrelease/100875/QoHViIZK/1852 私はバンコクの紀伊国屋で買った。750バーツ。発行は横浜市のアライドコーポレーション。タイの食材を輸入…

453話 ほんのちょっぴりのデジタル旅行

私は機械が嫌いだから、パソコンやスマートフォンを持ち歩いての旅はもちろんしていないが、今回の旅は日本出発までが、ちょっぴりデジタルでした。「そんなの、もう世間の常識じゃないか」と思う人も多いでしょうが、まだ私のような人もいるかと思い、その…

452話 カメラは、やはりファインダー

帰国しました。 この雑語林の202,203で写真とカメラのことを書いた。写真撮影は嫌いだが、どうしても必要な事態になったら、キヤノンのS100当たりを買うかと書いた。その後、予想もしていなかった状況になった。私が熱帯に出かけると知った編集者が、「では…

451話 バンコクのロイヤルホテルを巡るタイ現代史 後編  ―活字中毒患者のアジア旅行

ここから語り手は、プラヤー・アヌマーンラーチャトンに代わる。彼の話はおもしろいのだが、タイ人の欠点だと思うのだが、時間に無頓着なのだ。だから、その話がいつのことなのか、はっきりしない。漫談を楽しんでいるだけならそれでもいいが、歴史資料とし…

450話 バンコクのホテル・ロイヤルを巡るタイ現代史 前編  ―活字中毒患者のアジア旅行

あれは、もう20年以上前のことになるだろう。バンコクのビルマ大使館でビザの申請をした帰り道、サートン通りを散歩していたら、高い塀で囲まれた要塞のごとき施設の重い扉が私の前で急に開き、なかから高級車が出てきて、すぐさま走り去った。時間にして10…

449話 大野力さんとピブーン  ―活字中毒患者のアジア旅行

手紙類を思い切って整理した。引き出しに入り切らなくなった手紙類を大きな箱に移したのは数年前で、その箱が満杯になってしまったので、これを機会に全部捨ててしまおうと思った。私もすでに手紙から電子メールの時代に入ってしまったから、今後どれだけ時…

448話 若者が海外に出かけるようになったころ  ―活字中毒患者のアジア旅行 

2週間かかって、やっと1冊の本を読んだ。500ページを超える本ではあるが、だから時間がかかったわけではなく、内容が難しかったわけでもない。読んでいるとあまりにおもしろく、関連する本を併読するようになり、読み終えるのに時間がかかったのである。 京…

447話 映像がもつ力   ―活字中毒患者のアジア旅行

先日、内容も確かめないまま、昔の番組を放送する「NHKアーカイブス」を見ていたら、その回は「きょうの料理」(1987年放送)の再放送だった。テーマは秋田のきりたんぽ鍋。スタジオ収録ではなく、秋田の家庭に行って撮影している。 比内鶏を使うのが、正…

446話 鶴見良行を読みながら、頭に浮かんだいくつかのこと  ―活字中毒患者のアジア旅行

すでに単行本で読んだ本が文庫化されると、ちょっと困ることがある。買おうかどうか考えて、困るのである。加筆訂正などほとんどされずに文庫化されたのであれば、もちろん買わない。「大幅に手を入れた」と「あとがき」にある場合でも、1章増えた程度なら…

445話 韓国食文化マンガの米   ―活字中毒患者のアジア旅行

韓国のマンガを翻訳した『食客』(講談社)第1巻の第1話は「母の米」。18年前にアメリカに養子に出された韓国系アメリカ人のジェームズ一等兵は、陸軍に入隊すると韓国勤務を志願した。両親の記憶はまったくないが、別れ際に母が食べさせてくれた米の味を…

444話 マンガ『食客』が教えてくること  ―活字中毒患者のアジア旅行  

『焼肉の文化史』の著者のように、かなり以前から朝鮮半島の食文化を研究してきた人なら、次の2冊を書店で見かけたら、まず買わないだろう。幻冬舎から出た『韓流マンガ 幻のチゲ鍋』と『韓流マンガ 究極のキムチ』という韓国マンガの日本版2冊だ。著者は…

443話 料理書はノンフィクションじゃない  ―活字中毒患者のアジア旅行

東南アジアの食文化について本格的に調べてみようと思った1980年代初め、資料として手に入る本はあまりなかった。シンガポールの本屋を巡って、英語の本を数冊買えばそれで終わりだった。カラー写真が入った高価な本を探したのは、料理の姿と名前を一致させ…

442話 ボクシングのアジアを描け   ―活字中毒患者のアジア旅行

ボクシングの日本フェザー級初代チャンピオンは、同時に、日本のボクシング史上初の王座剥奪処分を受けた男でもある。無敵のボクサーは、傷害事件をおこして永久追放された。その男、フィリピン人のベビー・ゴステロの物語、『拳の漂流』(城島充、講談社)…

441話 以前書いた話の続き   ―活字中毒患者のアジア旅行

以前、このページで、インドネシアで事典を買ったという話を書いた。こんな話だ。 ”Indonesia Heritage”という全10巻のテーマ別事典だ。制作・編集はインドネシアだが、発売はシンガポールという事典で、関心のない1巻を除いて9巻を買った。私は「全巻揃い」…

440話 芸能の生きてきた世界  ―活字中毒患者のアジア旅行

先日、国立演芸場に落語を聞きに行ったのだが、失礼ながら、落語よりもおもしろかったのが売店だった。売店そのものはどこにでもある映画館の売店とそう変わらないのだが、ただ一点違いがある。場所柄なのだが、演芸書を置いてあるコーナーがあった。大書店…

439話  インターネット書店に、買いたい本がない   ―活字中毒患者のアジア旅行

コンピューターを導入する前に、予想していたことがある。「パソコンを使い始めたら、きっとこうなるだろう」という予測のうち、いくつかは予想通りであり、いくつかは予想外だった。 予想通りというのは、原稿は相変わらずワープロ専用機で打ち、短いものな…

438話 冨田先生が残したもの 後編   ―活字中毒患者のアジア旅行

先生からの手紙をもらってすぐに、本代と送料と手数料を合わせて3万円を送ると、すぐに重い段ボール箱が届いた。なかには、最後の1冊である『タイ日辞典』と、大阪外国語大学タイ語科学生用の自作の教科書2冊と、カセットテープが20本入っていた。 「テー…