2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

1129話 ダウンジャケット寒中旅行記 第13話

アルカラ・デ・エナーレス マドリッドの安宿は、週末はどこも満室だから、どこかに緊急避難することになった。無計画で貧乏な旅行者は、週末をマドリッドで過ごすことはできない。 バルセロナにいたときに、安宿がどこも満室になる日がありアンドラに避難し…

1128話 ダウンジャケット寒中旅行記 第12話

ピンチョスに再会したのだが 行ったばかりのスペインにまた行こうと思わせた要因のひとつは、そのピンチョスだった。なんだか翻訳調の日本語になったが、ピンチョスの姿を思い出すと、そそのかされたかのように、「よーし、行くぞ!」という気分になってくる…

1127話 ダウンジャケット寒中旅行記 第11話

タパスとピンチョ グラナダのある日の昼食は、道行く人を眺めながらボカディージョにしようと思った。スペインのサンドイッチのことで、小さなバゲットのようなパンに具をはさむ。メニューを見て、ジャガイモ入りオムレツであるトルティージャとトマトのサン…

1126話 ダウンジャケット寒中旅行記 第10話

行ってらっしゃいませ コルドバの小さな宿に荷物を置き、カギをカウンターに置いて散歩に出ようとしたとき、背後から「行ってらっしゃいませ」という日本語が聞こえた。振り向くと、彼女が微笑んでいた。この宿のスタッフのひとりで、地元の学校を卒業してこ…

1125話 ダウンジャケット寒中旅行記 第9話

オーディオガイド 博物館などのオーディオガイドはあまり利用しないが、どうしても詳しい説明を聞きたいときには、英語対応の機器を借りることはあった。日本語対応の機器を初めて借りたのは、台北の超高層ビル台北101だった。台北の雑学を知りたいと思って…

1124話 ダウンジャケット寒中旅行記 第8話

アルハンブラ宮殿 コルドバのメスキータと同じ理由で、グラナダのアルハンブラ宮殿には行こうと思っていた。イスラム教徒時代のスペインの残像を見たかったのだ。 アルハンブラは世界的に有名な観光地で、街で観光客をよく見かけるから、宮殿入口は混雑して…

1123話 ダウンジャケット寒中旅行記 第7話

メスキータ 観光地が嫌いなのにコルドバに行ってみようと思ったのは、なぜかメスキータが気になっていたからだ。イベリア半島がイスラム教徒によって占領されていた時代の8世紀から10世紀にわたって建築が続けられたモスクで、13世紀にキリスト教徒のレコン…

1122話ダウンジャケット寒中旅行記 第6話

土曜日はダメよ モロッコからの船がタリファに着いた。何という事もない小さな港町だから、無料の連絡バスで交通の要所アルヘシラスに向かう。ここはすでに来たことがある街だから、観光案内所やバスターミナルの位置はすでに知っている。グラナダまでのバス…

1121話 ダウンジャケット寒中旅行記 第5話

ジブラルタル海峡を船で 朝9時に出る船でスペインのタリファに行くことにした。その日のうちにスペインのグラナダに着くには、昼にアルヘシラスを出るグラナダ行きのバスを捕まえなければいけないだろう。バスの時刻表など持っていないから、たんなる想像上…

1120話 ダウンジャケット寒中旅行記 第4話

タンジェ 今回の旅は、まだ行ったことがない街に行ってみようというのが企画意図だ。モロッコで行っていない街はまだいくつもあるが、そもそも興味がない街と、フェズのように大観光地だからきっと不愉快になるに違いないと思う街もある。行ったことがない街…

1119話 ダウンジャケット寒中旅行記 第3話

おしゃべりをちょっと 前回のモロッコ旅行でもわかっていたのだが、英語をしゃべるモロッコ人がじつに多い。その英語力のレベルは様々だが、おかげでだいぶおしゃべりをした。 まずは宿のマネージャーとラバトに関する雑談をした。予想を超えて寒いので、気…

1118話 ダウンジャケット寒中旅行記 第2話

国会議事堂の周辺で ラバトは政治の街であり、首都だから大使館が集まっている街だということはわかっていたが、具体的にどんな街なのか想像がつかなかったので、「行ってみようか」と思ったのである。 「つまらない街かもしれない」という予感は、はずれた…

1117話 ダウンジャケット寒中旅行記 第1話

雪のマドリッド、あるいは震えて眠れ 3月からの旅を終えて帰宅して4月、腰を落ち着けて2月の旅の話を書くことにする。書き始めるとどうしても長くなるから、今回からは極力簡素にしよう。 朝早くマドリッドの空港に着き、昼にモロッコの首都ラバトに飛ぶ…