2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

1054話 イタリアの散歩者 第10話

ナポリ、狂乱の夜 その2 「イタリアは初めてですか?」 チェックインの手続きをしながら、リビアさんが聞いた。 「いえ、2度目です。最初は1982年ですから、遠い昔ですね。1982年がイタリアにとって重要な年だってことは、中高年にしかわからない話題なんで…

1053話 イタリアの散歩者 第9話

ナポリ、狂乱の夜 その1 バーリを朝出たので、ナポリには昼前に着いた。駅近くの安宿を探す。あらかじめ調べてあった安宿の1軒目に行ってみると、一番安い部屋でも予算をはるかに超える高額だったので、断念。2軒目は満室。3軒目も満室。さて、困った。こ…

1052話 イタリアの散歩者 第8話

旅費にまつわる物価の話 紀行文の文学性を重要視する人はカネの話はしないことになっているのだが、読み手にとっては旅行地の物価がわからないと、文章の中身をうまく把握できないこともある。私には旅行ガイドは書けないが、物価の話だけはしておこう。紀行…

1051話 イタリアの散歩者 第7話

山のすそを見に行く パレルモはもう少しおもしろい場所かと思ったが、なんだかしっくりこない。こんなことなら、モロッコかスペインに行けばよかったなどと思い始めると、もういけない。イタリアに対する不満が沸き上がって来る。 気分を転換するために、普…

1050話 イタリアの散歩者 第6話

あっ、転んだ! パレルモの2日目の朝、車道から歩道に上がろうとしてつまずいて、転んだ。左手をついたとき、「まずい!」と思った。もし、手首を捻挫したら、あるいは悪くして骨折したら、これからの旅をどうしようと、0.1秒ほどの間に考えた。足にも手首に…

1049話 イタリアの散歩者 第5話

ケ日記 到着した空港で、その国の言語を覚えるということがある。ゲートからイミグレーションに向かい、そのあと表示に注目して歩く。スペインの場合、”Solida”という文字の下に、Exit”とあるので、スペイン語で「出口」はそういうのだとすぐにわかる。フラ…

1048話 イタリアの散歩者 第4話

イタリアはヨーロッパか 前回書いた事とは別の意味で、イタリアはヨーロッパなのかと思うシーンがいくらでもあった。 ナポリ駅前は工事中で、広場には出られない。駅を出てそのまま前には進めないから、駅を出たら右か左どちらかに向かうことになる。宿探し…

1047話 イタリアの散歩者 第3話

これがイタリアか その2 剥離、はがれ落ちる パレルモ駅のそばに長距離バスのターミナルがあり、パレルモを離れる時の情報を集めに行ったら、路面電車を見つけた。鉄道駅の隣りが、路面電車の始発駅だった。駅、というよりは乗り場だが、そこにキップの自動…

1046話 イタリアの散歩者 第2話

これがイタリアか その1 恐ろしき朝食 パレルモに着いて数日のうちに、「イタリアとはこういう国か!」という印象があり、たった数日でわかるわけはないというのは正論だが、そのあとの旅で、やはり第一印象は正しかったという結論に達した。 そのひとつが…

1045話 イタリアの散歩者 第1話

道に迷う ローマで乗り換えて、シチリアのパレルモに来た。シチリアがおもしろそうなら、そのまま居続けてもいいし、飽きれば北上すればいいということくらいしか考えていなかった。パレルモには安宿があまりないのではないかと思ったので、イタリアの旅の最…