2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

290話 ヒップとフリースクール・ストリート

『ヒップ アメリカにおけるかっこよさの系譜学』(ジョン・リーランド著、篠儀直子・松井領明訳、ブルース・インターアクションズ、2010)の、訳者紹介を読んだら、篠儀氏は、『働かない』の共訳者だとわかった。変わった名前だから、どこかで目にした名前だ…

289話 「世界 それぞれの最高峰」というテレビ番組

テレビ局では、まず採用されそうもない企画だろうが、ぜひ見たい番組がいくつもある。そのひとつは、「世界 それぞれの最高峰」という番組だ。 7000メートル級の登山記録といった番組は、いままでに何回も放送されている。高い山は、それだけで絵になるから…

288話 神田古本まつりのころ 後編

昨年も、11月1日に古本まつりに行った。もとより「買い出し」目的ではなく、散歩である。昔は、定価の半額だと「安い!」と思ったのだが、アマゾンの1円本や、ブックオフの105円本のせいで、定価1980円の本に1000円の値札がついていても、「たいして安くも…

287話 神田古本まつりのころ 前編

今年もまた、神田古本まつりの季節がやって来た。10月27日(水)から11月3日(水)まで、神田神保町のあちこちで開催される。 神田古本まつりは今年で51回目になるそうだが、私が初めて行ったのは、さて、いつだったか。1970年代だったか、あるいは80年代に入っ…

286話 高い話と多い話を、ちょっと

数年前、鹿児島県で一番高いビルは県庁舎だと知って、えらく下品なことをするものだと思った。県の公務員が県民を見下ろし、見下して、知事は藩主(城主)にでもなったかのように、天守閣(知事室)にいる図は、なんとも下品だ。県内で最も高いビルが県庁舎…

285話 ヤシ殻の椀を出ろ その4

ベネディクト・アンダーソンが研究者の文章について書いた部分を、要約してみる。 学生は、学部時代はそれぞれに個性ある文体で小論文を書いているのだが、大学院に入ると、読者を意識するようになる。同じディシプリン(一応、「研究領域」としておこう)の…

284話 ヤシ殻の椀を出ろ その3

ベネディクト・アンダーソンの『ヤシガラ椀の外へ』を大いに気に入ったのは、私が日ごろ言っていることを、見事に表現してくれているからだ。 学者や学術書の編集者と会うたびに、つい、次のようなことを言ってしまう。 近頃読む本が、いっこうにおもしろく…