2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2001話 たんなる通過点に過ぎないが その2

新しもの好きのあるライターは、ブログというものが話題になったとき、すぐさま手をつけたが、数回更新しただけで止まった。「どうしたの?」と聞いたら、「カネにならない原稿を書いてもしょうがないから」と言った。 私は「カネなんかいらない」と思ってい…

2000話 たんなる通過点に過ぎないが その1

今回で、連載2000回になった。ある記録に到達したスポーツ選手がよく口にするように、「数字はたんなる通過点に過ぎないので・・・」という感じはよくわかる。2000回書くことを目標にしていたわけではなく、書いているうちにいつの間にか2000回になっただけ…

1999話 最近読んだ本の話から その10(最終回)

■どうも、民俗学というものにあまりいい印象がない。例えば、住宅や農機具や農耕儀礼の話を展開しても、それは日本を出ない。農機具など、農作業をやる世界の全地域にもあるのに、日本のものしか取り上げないのが民俗学で、知の狭さにうんざりしているのだ。…

1998話 最近読んだ本の話から その9

■神保町を歩いていて、「そうだ、鉄道のトイレの本が出たばかりだったな」と思い出したが、正確な書名を思い出せない。新聞の書籍広告でちょっと見ただけだから、記憶が乏しい。三省堂があれば、コンピューター検索ができるのだが、目下新築工事中(まだ、取…

1997話 最近読んだ本の話から その8

■兼高かおるの第1作が新装復刊された。『世界とびある記』(ビジネス社、2019)で、元の本は、同じ書名で光書房から1959年に出版されている。日本人の海外旅行の資料として、書店で新装版を見つけてすぐ買ったのだが、巻頭に光書房版の表紙写真が載っている…

1996話 最近読んだ本の話から その7

■細野晴臣が大好きだという台湾の高校生が主人公で、それは作者自身らしい。『緑の歌 収集群風』上下(高 妍、KADOKAWA、2022)にはなぜか、翻訳者の名がない。「翻訳協力」として竜崎亮と言う名が奥付けに記されているが、表紙にも扉にも翻訳者の名が、なぜ…

1995話 最近読んだ本の話から その6

■『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(若林正恭、文春文庫、2020)を読んでいて思い出したことと、気がついたことがある。かつて、中谷美紀の『インド旅行記』(幻冬舎文庫、2006)が出たころの、天下のクラマエ師こと蔵前仁一さんがこんなことを…

1994話 最近読んだ本の話から その5

■『全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路』(新潮文庫)や『全国マン・チン分布考』 (インターナショナル新書)などの著作がある放送人(朝日放送)が、今度はここ数十年間に若者が使うようになった表現から、芸人起源ではないかと疑問から調べていった…

1993話 最近読んだ本の話から その4

■自称はBroadcaster、第三者が紹介するときの肩書はDJや音楽評論家のピーター・バラカンは1951年イギリス生まれ。1974年に日本に来て音楽産業で仕事をするようになるのだが、来日間もないころの話をラジオでしていた。 日本人が「すごいバンドだぜ」と話して…

1992話 最近読んだ本の話から その3

『世界でいちばん旅が好きな会社がつくったひとり旅完全ガイド』に関しては、ちょっと触れたくらいで終わりにする予定だったが、旅のことなので、ついつい長くなった。 この本の第9項は、(ひとり旅は)「やっぱり、英語が話せないと難しいですか?」という…

1991話 最近読んだ本の話から その2

■古本まつりで買ってすぐに読んだ本の話から始めるか。破格の安値だから買ったのは『世界でいちばん旅が好きな会社がつくったひとり旅完全ガイド』(TABIPPO、いろは出版、2017)で、文字が極端に少ないからすぐに読み終えた。 この本はひとり旅をしたいなと…

1990話 最近読んだ本の話から その1

ここひと月ほどの間に読んだ本の話をしようかと思うが、まずはもっとも最近の神田古本まつりの話題から。 毎年開催される神田古本まつりにはたいてい出かけているが、「収穫あり」といえるような本にであうことはなかなかない。何万冊もの本が路上で売られて…

1989話 橋を渡る その12(最終回)

ナイロビで1年くらいは生活してみようかと思っていたが、東アフリカの生活が半年過ぎると、だんだん飽きてきていた。もっと刺激が欲しかった。変化のある食事をしたかった。ぜいたくはいわないが、もう少しうまいものを食いたかった。そんな不満を抱えてい…

1988話 橋を渡る その11

「海上の道」と言えば、柳田国男の本が思い浮かぶが、そういう文化の経路の話ではなく、実際に海の上を走る道路の話をしようか。 浅い海の支柱を立てて道路を渡すという建造物は、道路なのか橋なのかよくわからない。海や川の両岸を結ぶものが「橋」で、水上…

1987話 橋を渡る その10

私はどうやら、鉄骨むき出しの建造物が好きらしい。スカイツリーよりも東京タワーの方がはるかに好きだ。だからエッフェル塔に好感を持つのだが、なぜかパリにいたときエッフェル塔のことは頭にまったく浮かばなかったので、実物を見た記憶がない。 話はそれ…