2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧
こんな批判をされたことがある。 バンコクの安宿に到着したばかりのその日本人旅行者は、「どちらから?」という同宿者の問いに対して、「ロンドン。イギリスに3年いたから、日本の事情に疎くてねえ、今の日本はどうなっているのかなあ。なにしろ、イギリス…
アマゾンの書籍ページ。拙著 『東南アジアの日常茶飯』のコメント(筆者は中野守龍名義)に、こういう文章がある。 正直、前川健一は好きになれない旅行作家だ。それは、典型的な古き悪き時代の旅本作家だと考えているからだ。 つまり、 ・やたら「現地の人…
人それぞれに、好き嫌いがある。もちろんその対象が人の場合でも同じで、「好き」に理屈は要らないが、「嫌い」には論理的なものと非論理的なものがある。「嫌いだから、嫌い」とか「とにかく、気に食わない」といったものだ。 私にも、「どうも気に食わない…
思い返せば、「あのとき、母は危なかったな」と思うことが何度もあった。救急車で運ばれる母といっしょに病院に向かったことが4度はあるはずだ。 多分、最初は真冬の夜だ。その頃はまだ、母は自分のことは何でもできたから、私の帰宅が遅くなっても、自分の…
元「横浜」のおじさんを見舞った翌年、名古屋のおじさんから電話があった。「実は、昨日、妻が突然亡くなって・・・・」 母には、もう知らせなかった。悲しみが深くなることがわかっているからだ。 名古屋のおばさんにもお世話になった。奈良の山奥に住んで…
翌年も、元「横浜のおばさん」に連絡して、授業の前に表敬訪問をした。とくに聞きたい話があったわけではないが、私の知らない世界の話を聞くのは興味深かった。戦時中から戦後の混乱期の話などを小一時間ほどうかがった。 その翌年も恒例の電話をすると、お…
母が話せないことと、もう記憶から消えた昔の話を、横浜のおばさんから聞きたいというのも、埼玉の新たな住まいを表敬訪問の主たる目的だった。そういえば、叔母たちは、生まれ故郷の上海時代のことをいろいろ調べていたようだが、その時は私は母の過去にま…
母の妹は、住んでいる場所にちなんで、それぞれ「横浜のおばさん」、「名古屋のおばさん」と呼んでいた。 もう20年近く前になるのだが、その「横浜のおばさん」から転居通知のハガキが届いた。横浜の家を処分して、長男の家の近くにある老人ホームに住むこと…
■台湾現代食文化(215ページ) 「台北の老舗茶菓子店」の章に、台湾の新しい味の話が出てくる。それまでの祖母や母の時代を経て、1983年生まれの著者の時代だ。 著者が生まれた翌年、台湾最初のマクドナルドがオープンした。その数年後に、ピザハットがオ…
■麺のおかず(89ページ) 「おかずを頼まず、麺やビーフンだけ食べることはまずない」と書いている。どんな麺(原料が小麦粉)や粉(米が原料)でも同じなのかわからない。私のわずかばかりの台湾体験から考えると、牛肉麺のように味が濃いものは、かならず…
台湾の本には困ったものだ。手垢がついた表現だが、「うれしい悲鳴」というのがあって、最近、出来がいい台湾の本が多く出版されている。台湾人自身が書いた本の翻訳出版物だ。気になると、アマゾンの「ほしい物」リストに入れておくのだが、それがどんどん…
役所広司がカンヌ国際映画祭で男優賞を得たというテレビニュースのなかで、過去の出演作を紹介していた。役所主演の映画は数多くあるが、その数の割にはあまり見ていない。「見たい」という感情があまり沸き上がって来なかったのだ。テレビの画面に「すばら…
日本語で書く韓国人ライター鄭銀淑(チョン・ウンスク)の著作は、出版されれば必ずチェックして、たいてい買う。いままでの最高傑作は、『マッコルリの旅』(東洋経済新報社、2007)だ。彼女は、韓国を書くライターのなかでは珍しく「おかしなカタカナ韓国…
「世界は現金を拒否している」という噂が流れている。先日行った神保町の古本屋でも「当店では、現金は扱っていません」と買い物を拒否された。クレジットカードは所有してはいるが、危ないから常に所持しているわけではない。その古本屋で、「SUICAは使える…
ウォークマンに使っている耳掛け式イヤフォンを久しぶりに取り出すと、スポンジカバーが崩壊していた。「こすれて穴が開いた」というのではなく、頬っておいただけで穴があく化学的腐食ではないかと思った。パナソニックの製品だが、スポンジはすぐ崩壊する…