2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

1395話 「応答せよ」と韓国現代史 その13

青春の光と影 私の勝手な想像だから、根拠など何もないのだが、ドラマ「応答せよ 1988」はシン・ヘチュルと重ね合わせて発想したのではないかという気がする。 かつて、韓国にMBC大学歌謡祭というものがあった。1977年に始まり、2012年に終了した。第1回と…

1394話 「応答せよ」と韓国現代史 その12

1980年代の音楽とドラマ 「青春」 ドラマ「応答せよ」シリーズは、設定した時代の音楽を流すことで、「あの時代」の雰囲気を出しているのだが、「1988」では音楽がより一層、力を持たせている。ドラマのなかでよく音楽が流れるが、その音楽はどうやらAグルー…

1393話 「応答せよ」と韓国現代史 その11

海外旅行史 韓国の海外旅行史は日本とはだいぶ違う。 第2次大戦後、外国に行くことができるのは外国に出張しなければいけない公務員やマスコミや企業人と、スポーツ選手くらいのものだったというのは日本と同じだが、自由化の流れはだいぶ違う。日本は、1964…

1392話 「応答せよ」と韓国現代史 その10

練炭 1985年の韓国取材あと、87年にも韓国に行った。85年と同じ雑誌の取材で、まだ寒い春先だった。だから、私にとってのあのころの韓国は練炭の匂いと燃えた練炭の灰だった。 あれはどこだったのかまったくわからないのだが、取材を終えて丘の上の道を歩い…

1391話 「応答せよ」と韓国現代史 その9

弁当検査 かつて、ホームドラマが全盛だったころ、「いつも飯を食っているシーンばっかり」という批判に対して、脚本家が「家族全員が揃うのは食事時だから」と答えていた。1970年代でさえ、都市部では夕食に家族全員がいつも揃うのは虚構になっていたが、ホ…

1390話 「応答せよ」と韓国現代史 その8

バナナと韓国人 韓国ドラマ「応答せよ 1988」のなかで、バナナはいくつものシーンに登場する。 キム・ソヌの一家は、母と妹との3人暮らし。数年前に父が死に、その遺族年金月額30万ウォンで暮らしている。30万ウォンは、当時の大卒初任給くらいの金額だ。 …

1389話 「応答せよ」と韓国現代史 その7

半地下と屋根部屋 韓国映画「기생충」は「寄生虫」という意味で、英語のタイトルは「Parasite」。日本では「パラサイト 半地下の家族」というタイトルになった。半地下の部屋での生活が貧困の象徴として描かれていて、日本ではこの映画で「半地下」に注目が…

1388話 「応答せよ」と韓国現代史 その6

韓国のファーストフード店と資本の自由化 韓国のピザ史をちょっと調べてみたくなった。韓国のグルメ番組「水曜美食会」(tvN)のピザ特集で、韓国のピザ黎明期を取り上げたが、私が食べた道峰区のピザハウスの話は出てこなかった。今、ネットで調べられる情…

1387話 「応答せよ」と韓国現代史 その5

アメリカ式ファーストフード ドラマ「応答せよ 1988」には、西洋の食べ物がしばしば登場する。ソウル北端の住宅地にも、「西洋の食」が入り込んでいたことがわかる。積極的に西洋の飲食物を受け入れていたのは、宝くじが当たって急に裕福になったキム・ジョ…

1386話 「応答せよ」と韓国現代史 その4

ソウル特別市道峰区双門洞 韓国ドラマ「応答せよ 1988」は、ソウル特別市道峰区双門洞の住宅地に住んでいるお隣さん5家族の、1988年から10年ほどの生活を描いている。 ソウル25区のなかで、江南(カンナム)区や明洞のある中(チュン)区なら日本人観光客で…