2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

1185話 大学講師物語 その14

私の旅行史研究 (2) 観光学(Tourism Studies)とは、観光でいかに金儲けするかを研究する学問だと思っている。観光関連業者の収益増加と、国家や地方自治体の観光による増収の方法論を研究するのが保守本流の観光学だと私は思っている。旅行研究とはだい…

1184話 大学講師物語  その13

私の旅行史研究 (1) このブログ、アジア雑語林の1~275話までの分は、アジア文庫のHPに公開したものだが、それが突然理由もわからず文字化けしてしまった。その件について詳しくは、下記の「お知らせ」を読んでいただきたい。 アジア文庫分の移設作業をや…

1183話 大学講師物語  その12

講師控室 (2) 2007年の秋、台湾の財団が主催する食文化シンポジウムに出席した時のことだ。場所はマレーシアのペナン。テーマは「東南アジアの中国食文化」で、私はタイにおける中国食文化の話をした。 発表者のなかに日本語が堪能な人がいた。香港の大学…

1182話 大学講師物語  その11

講師控室 (1) 時間帯にもよるが、講師控室には当然、講師がおおぜいいる。それぞれの分野の専門家たちばかりだから、なにかおもしろい話が聞けるかもしれないとは思うものの、みなさん授業の準備をしているので、話しかけるのはためらわれた。しかし、ま…

1181話 大学講師物語  その10

大学生の旅 講師を始めて5年くらいの間、2005年から2010年ほどはなかなか刺激的だった。留学生が多くいたから、私が教えてもらうことも多かった。授業が終わってから、韓国語に関する雑多な疑問に答えてもらったから、毎回の授業が楽しみだった。 5月初めに…

1180話 大学講師物語  その9

せめて英語を 英語よりも日本語教育に力をいれるべきだと思うが、だからと言って日本人は英語を学ばなくてもいいと言っているのではない。小学校から学ぶ必要がないと言っているのだ。「小さい時から学ぶと、発音がよくなる」などとマヌケなことを言い出す人…

1179話 大学講師物語  その8

人に話す、人と話す 言語の問題を取り上げたら、日本人と英語というテーマも語らないわけにはいかない。「日本人は英語ができない」という発言はどこの国の人と比べた発言なのかはあまり明らかにされない。仮にその説が正しいとして、それではなぜ日本人は英…

1178話 大学講師物語  その7

言語社会学 ちゃんとした日本語の文章が書けない学生が4分の1もいるから、翌年最初の授業は、30分ほど正しい日本語の書き方を説明した。しかし、その学期末のレポートでは変化はなかった。そこで、その翌年からは、学期末に学内に張り出すレポートの内容を書…

1177話 大学講師物語  その6

日本語の書式 2005年にどういう授業をやったか、記憶も記録もない。どれだけの学生が履修したかという記憶もないが、多分100人くらいだったと思う。その後、最大で300人弱くらいまで増えたこともある。2017年は240人くらい履修したが、大量にD判定(不可)の…

1176話 大学講師物語  その5

時差 大学で授業をやることになって困惑したこと、とまどったことはいくつかある。 授業中に出入りする学生が絶えないのが気になった。「こんな授業じゃ、つまらん!」と抗議の意味で退出するのかと思ったが、しばらくすると教室に戻ってくる。トイレに行っ…

1175話 大学講師物語  その4

博士論文 あれは、講師になった年だったかもしれない。講師と教授の懇親会の場で、稲垣勉・白坂蕃両教授に声をかけられた。そこで、私を立教に招いたもうひとつの理由がわかった。『東南アジアの三輪車』(旅行人、1999)は内容的には学位論文のレベルに達し…

1174話 大学講師物語  その3

トラベルジャーナリズム論 そもそもシラバスというものを知らないのだから、その書き方もわからない。アンケート調査のように記入すべき項目が並んでいるので、「授業目標」や「授業内容」、「テキスト」「参考文献」、「成績評価方法・基準」などを書くこと…

1173話 大学講師物語  その2

大学の教員 大学の教員のことは、大卒者でもあまり知らないかもしれない。 大学の教員は、教授、准教授(以前は助教授といった)、講師のほかいろいろあるが、説明が面倒なのでここでは助教や助手などについては触れない。 まずは講師から説明すると、講師は…

1172話 大学講師物語 その1

ヒマなライター サラリーマンの経験がないから、サラリーマン用語にもなじみがない。「御社・貴社」という語を使ったことがない。「NTTさん」のように社名に「さん」をつける用法になじみがない。有給休暇とか休日出勤も、転勤や人事異動も、もちろんその意…