2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧
今回で、2020年の最後になる。調べてみると、今年は160話くらい書いたようで、400字詰め原稿用紙にして1000枚ほど書いたことになるらしい。新書4冊分くらいになる原稿量だから、いかにヒマだったかよくわかる。 連載している「本の話」はまだまだ続くのだが…
『思索紀行 ぼくはこんな旅をしてきた』 『思索紀行 ぼくはこんな旅をしてきた』(書籍情報社、2004)が、2020年にちくま文庫に入った。文庫版は「大幅加筆訂正」はないだろうと推察して、内容の点検はしていない。だから、ここでは書籍情報社版で話を進める…
『知の旅は終わらない』(立花隆、文春新書) その 4 立花の著作の中に『思索紀行』(書籍情報社、2004)がある。すでに紹介した1960年のヨーロッパ旅行から、この本がでるちょっと前までの旅の話を集めた本だ。 この本を資料に文章を書きたいとは思ったも…
『知の旅は終わらない』(立花隆、文春新書) その 3 東大でフランス文学を専攻することとなった立花は、フランス文学に限らず、主に20世紀文学を徹底的に読み漁った。 「文学を経ないで精神形成をした人は、どうしても物事の見方が浅い。物事の理解が図式…
『知の旅は終わらない』(立花隆、文春新書) その 2 大学生立花隆のヨーロッパ旅行の話の続きだ。 宿と食事と移動は現地の好意にすがるというこの方法で、現地滞在費はなんとかなる見通しはついた。高額の旅費は、阿部知二(作家)、朱牟田夏雄(東大教授…
『知の旅は終わらない』(立花隆、文春新書) その 1 語り下ろしのこの新書は、筆者の知の獲得史だが、ここにも1960年代の海外旅行の話が出てくるので、まずはそこから始めよう。 1959年に東京大学に入学した立花隆は、「当時の若者たちが誰でもそうだった…
『客室乗務員の誕生』(山口誠 岩波新書) その 3 山口の文章を引用する。 「1965年4月に第1便をヨーロッパに送り出したジャルパックは、1960年代後半を通じて海外旅行商品のトップブランドとして成長し、やがて日本の海外旅行の代名詞にもなった」 「1960…
『客室乗務員の誕生』(山口誠 岩波新書) その 2 1954年、日本航空は戦後初の国際定期便を飛ばす。前回話したサンフランシスコ線だ。日本航空にとっては晴れの飛行だが、残念ながら航空券はほとんど売れなかった。その理由を山口はこう書く。 「そうした不…
『客室乗務員の誕生』(山口誠 岩波新書) その1 客室乗務員に関して本腰を入れて調べてみようとしたことはないが、旅行史の研究として、少しは資料を読んだことはある。日本航空や全日空や日本交通公社の社史のほか、本棚の交通関連書からスチュワーデスが…
渡辺謙主演のテレビ朝日のドラマ「逃亡者」は、あまりドラマを見ない私が言うのは変かもしれないが、前代未聞、空前絶後の駄作愚作だった。世間の多数派には入らないことが多い私だが、ネット情報を見る限り、このドラマに関しては、私と同じ感想だった人が…
旧知の大学教授たちとパソコンの話をしていたら、こんな話を始めた。 「最近の学生は、スマホでなんでも済ませるので、パソコンが使えない学生が多くなってね。だから、授業でレポートの話をするときは、スマホとプリンターの接続方法とそのコードといった講…
私に社交性はないし、宴会などにはほとんど縁がないのだが、それでも私の知らない世界を生きてきた人たちとたまたま雑談するような機会はある。年齢が違い、業種が違っても、私には「知りたがり」という好奇心はあるので、いろいろな話を聞くのが楽しい。 50…
終戦後、日本は連合国の支配下にあったが、1951年、日本はアメリカと「サンフランシスコ平和条約」( Treaty of Peace with Japan)を結び(発効52年)、晴れて独立国となり、国際社会に復帰した。IMF(国際通貨機構)に加盟したのも1951年だが、その当時の…
過去を知ることは重要だ。過去を調べる行為に、老いも若さもない。 経済に興味がない。経済書など読んだことがない。それなのに、戦後日本経済史関連書を読んでいたことがある。戦後日本人の海外旅行史を調べていた時だ。 日本で海外旅行が自由化されたのは1…
若者から「若い」と思われたい中高年は、思い出話をしないらしい。若者が思い出話を苦手なのは当然で、語るような過去が自分にはほとんどないからだ。中高年はそういう若者に迎合して、過去を語らない。親が若かった頃のことをよく知っている子供はそれほど…