2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

2093話 続・経年変化 その57

食べ物 2 最後の食事 「つまらない質問」という話を、このアジア雑語林で何度か書いた。「あなたにとって、~とは何ですか?」といった質問は、「わたくし、哲学的でしょ」と自慢したいのだろうが、ハナを垂らしながら「アタシ、バカで~す」と告白している…

2092話 続・経年変化 その56

食べ物 1 スルメ 子供の頃好きだったのに、今では嫌いになったという食べ物はない。ただ、食べる機会が減ったという食べ物はある。 奈良県の山の中で暮らしていたころのご馳走は、クジラの竜田揚げとスルメの天ぷらだった。あの頃の日本では、肉と言えばク…

2091話 続・経年変化 その55

植物 7 母が自分の楽しみを求める生き方を積極的に選んだのは、50歳を超えたころだったと思う。何があったのかは皆目わからないのだが、趣味に生きるようになった。中国語教室に通い、短歌教室に通い、野草の会に通い、新聞の旅行広告を仔細に点検し、バス旅…

2090話 続・経年変化 その54

植物 6 パクチー3 ここでもう一度、タイでパクチーと呼ばれている植物について復習しておく。パクチー(コリアンダー)とパクチー・ラーオ(ディル)に関してはすでに説明した。ディルはバルト3国で度々口にしていて、私にも臭さをまったく感じさせない珍…

2089話 続・経年変化 その53

植物 5 パクチー2 今の日本では、「コリアンダ―」を知らない人でも、「パクチー」ならよく知っているという人は少なくない。 90年代初めだった。テレビでメキシコ料理のタコスの説明に、レポーターが「あっ、これパクチーが入っていますね」というのを聞い…

2088話 続・経年変化 その52

植物 4 パクチー1 タイに初めて行ったのは1973年で、もう50年以上前のこととなった。そのときに、タイ語ができる日本人や、英語ができるタイ人からタイ語の基礎を教えてもらった。簡単な挨拶や数字は、すぐに覚えられた。「覚えられた」という語は問題で、…

2087話 続・経年変化 その51

植物 3 新刊書店で熱帯野菜の資料は見つからないので、植物専門の古本屋に行った。本郷の古書店で見つけたのが、『熱帯植物産業写真集』(牧野宗十郎、東京開成館、1938)だ。エンピツで「1500」と売価が書いてある。この本には所有印はふたつあり、ひとつ…