2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

809話 インドシナ・思いつき散歩  第58回

MSG 前回書いた『アリ卵スープ』のページを久しぶりにめくっていたら、ちょっと気になるイラストがあって、確認したくなった。よく見たら、ああ、やっぱり私の観察は正しいのだとわかった。 17ページに、ビエンチャンの麺料理店のテーブルにのっている物…

808話 インドシナ・思いつき散歩  第57回

本を読んでいた ときどき、日本のテレビなどで、「ルアンプラバン」と表記されることがあるが、それはタイ語式の読み方で、ラオ語ではルアンパバンという。観光化が著しい街だ。 2007年にルアンパバンにいたときに読んでいたのは、この街で買ったばかりの本…

807話 インドシナ・思いつき散歩  第56回

Joma 船着き場からルアンパバンの旧市街に行くトゥクトゥクの座席で、私はもしかしてニタニタと笑っていたかもしれない。船を下りるちょっと前、「丹波哲郎40歳」が突然奇妙なことを言い出したからだ。 「エジプトでは、人は何語をしゃべっているの?」 「ア…

806話 インドシナ・思いつき散歩  第55回

船に乗る 2日目 その夜は、たまたま隣りの席だったという縁で、そのラオス人とパークベンの安宿で同じ部屋に泊まった。彼は40歳。ルアンパバン郊外の村で育つ。仕事がないので、フエサイに出稼ぎに行き、久しぶりに帰省するところだという。家族はフエサイに…

805話 インドシナ・思いつき散歩  第54回

船に乗る 1日目 船着き場に走った。エンジン音が轟いている。船は2艘留っている。ここが始発であり終点なので、両方ともルアンパバン行きだろうとか想像したが、念のためにルアンパバン行きかどうか確認し、料金を払って、乗り込んだ。2艘の船ともにほぼ満…

804話 インドシナ・思いつき散歩  第53回

南下を始める その2 でかい荷物を持ったでかく若い女と、なにかのきっかけで話を始めたのだが、でかい一眼レフカメラを首から下げたその旅行者のアクセントから、ドイツ人かもしれないと推察していた。ドイツ語を使っているのはドイツ人だけではないが、旅…

803話 インドシナ・思いつき散歩  第52回

南下を始める その1 チェンライに来るのは十数年ぶりだろうか。街は小奇麗にはなっているが、高層マンションが林立しているとか、巨大ショッピングセンターができているという大変化はない。この街で生まれ育った若者なら、すぐにでも逃げ出したくなるよう…

802話 インドシナ・思いつき散歩  第51回

ベトナムタマゴ チェンライの宿のすぐそばの路上に屋台の朝飯屋があって、私が「ベトナムタマゴ」と呼んでいる料理があることを発見した。 20年前のサイゴンの朝飯は、いつもバゲットと目玉焼きとコーヒーだった。ベトナムの目玉焼きは小鍋仕立てで出てくる…

801話 インドシナ・思いつき散歩  第50回

山岳民族博物館 寒くて目が覚めた。昨夜、窓を開けたまま寝たのが失敗だった。カーテンを開けて外を見ると、霧雨で街がかすんでいた。11月に入っているのに、雨期がまだ終わらない。高原でもないのに、半袖シャツでは寒い。ジャンパーを着て、小糠雨降る街に…

800話 インドシナ・思いつき散歩 第49回

チェンライにて ハノイ発の飛行機は、空腹の私を乗せて、タイ・スワナプーム空港に到着。LCCに無料機内食はないのだ。タイのイミグレーションは大混雑だった。ブースはあるが、係官がいない。台北などでもしばしば経験しているのだが、長蛇の列ができてい…

799話 インドシナ・思いつき散歩  第48回

空港へ ハノイの街から空港へは路線バスでも行けるようだが、時間が計算できないのであきらめた。タクシーは料金トラブルの話を耳にしていたので、ちょっと高くなるが、ホテルのロビーで営業している旅行会社の車を使うことにした。35万ドン(2000円弱)の料…

798話 インドシナ・思いつき散歩  第47回

ベトナム雑事集 後編 ■ハノイにコンビニは、「ないわけじゃない」という程度の店舗数で、水や菓子を買うなら昔ながらの雑貨屋が圧倒的に優位だ。マクドナルドは、サイゴンにできたばかりで、ハノイにはまだない。スターバックスやKFCやロッテリアはある。…

797話 インドシナ・思いつき散歩  第46回

ベトナム雑事集 前編■「ベトナムコーヒー」という文字を見る機会が増えたが、ベトナムのコーヒーをうまいと思っている日本人はどれだけいるだろうかと疑問に思う。コーヒー豆そのものの味はともかく、焙煎するときに砂糖やバターやチョコレートなどを加えて…

796話 インドシナ・思いつき散歩  第45回

母を想う その3 2007年に出た『越後のBaちゃんベトナムへ行く』が角川文庫版として再発売された理由は、日本・ベトナム合作映画の原作になったからであり、書名は映画タイトルに改変された。元の書名がいいとは思わないが、新しいタイトルも当たり前すぎて…

795話 インドシナ・思いつき散歩  第44回

母を想う その2 アジア文庫の大野さんは、なぜ何度もあの本を私に勧めたのだろうか。あの本になぜ感動していたのか。だんだん思い出してきた。大野さんは、私が母の介護をしていることを知っていた。そして、あのころ、大野さんも認知症の母を抱えて苦労し…