2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧
前々回の「モノを知らない私です」で、高校時代の落ちこぼれぶりに触れたら、突然、カラスに囲まれた日のことを思い出した。 私は中学3年生だった。 そのときのカラスとは、学生服姿の集団だった。私立男子校を受験したその日、試験会場も、廊下も階段も、…
ユン・ヨジョンがアカデミー助演女優賞を受賞した韓国映画「ミナリ」。ミナリと言えば思い出すのは、マンガ『美味しんぼ』だ。ミナリは「ニラに似た韓国の野菜」という解説がついていたが、ミナリはセリのことだ。セリとニラの区別がつかない人物が、そのマ…
欠点のもうひとつは、著者がアメリカやフランスで研究生活をした大学教授だから、音楽や映画や出版の話になると、粗が目立つ。ライターである私の目からは、書かなかった穴は大きく見える。フランス音楽と日本人を語るなら、丸山明宏(現・美輪明宏)をはじ…
前回、日本人女性のヨーロッパ志向、とくにパリ志向(趣向)について、過去に調べたことを確認しながら久しぶりにおさらいしてみた。 日本人の「フランスかぶれ」ではなく、「パリかぶれ」が問題なのだと指摘した本がある。日本人女性の「パリかぶれ」の結果…
自動車や都市交通の話をしたように、まったく興味のない分野でも、あることをきっかけにしばらくその世界に分け入ることがある。 日本人の外国旅行を、「外国へのあこがれ」という視点で戦後史を振り返ってみると、普段はまったく興味のないファッションが気…
自動車だけでなく食べ物のことも同様で、私の関心は多くの人の興味とは違う方向に向いているようだ。『東京ラーメンガイド』といった本や、著名人が書いた食エッセイやお料理本などにはほとんど手を出さないが、食文化の本はある程度持っている。ラーメン屋…
関心分野が狭く、知らない事柄がいくらでもあるというのは、へそ曲がりのせいだと思っていたのだが、どうも違うようだ。本当はゴルフをやりたいのに、「なんだ、あんなもの! くだらん」とヘソを曲げて、同世代の男たちが夢中になっている楽しみにケチをつけ…
もう5年ほど前のことになるが、あるシンポジウムの会場で、旧知の教授と出会った。 「おや、久しぶり」と二言三言ことばを交わすと、彼は背後にいる人物の方に右手を向けて、「こちら、今の大学の学部長」と言い、今度は左手を私の方に向けて、学部長を見な…
一気に、書きおろし テレビの旅番組(外国が取材地ならたいてい再放送だが)を見ていると、もしどこかの街で1冊書きおろしするとすれば、どこがいいかなあなどと妄想していることがある。この私に、一気に書きおろしを依頼してくるような出版社はいないから…
大阪、独立するで 日々、退屈しのぎに妄想を楽しんでいる。ついさっきの妄想は、さしたる理由もなく、新作上方落語のネタを考えていた。日ごろから落語のネタを考えているわけではまったくなく、落語でも漫才でも小説でも、その構想を考えたことなど今までな…