2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

1900話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その11

■公用語 ・共通語 インドネシアの場合 下 現在、インドネシアの島々が連なる地域にあるチモール島は、オランダとポルトガルが領有を争って戦争をしていた。戦いに疲れた両国は、「もう、この辺で、それぞれ半分づつということで、手を打ちましょうや」となっ…

1899話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その10

■公用語・共通語 インドネシアの場合 上 高野さんはコンゴの言語事情に言及し、その国で使われている言語は、ご近所で使っている言語があり、もっと広い地域で使っている言語があり、全土で使われる共通語的なものがある「言語の三階建て」説の説明をしてい…

1898話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その9

■数字の言語 高野さんの解説では、リンガラ語の数字の言葉は、リンガラ語とフランス語を状況に応じて使い分けているという(P75)。その記述を読んで思い出したのが、フィリピンだ。タガログ語の数字はもちろんあるが、話し手の状況によって、スペイン語か英…

1897話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その8

■大逆転 高野さんの初めての旅は、大学生のときでインドだった。カルカッタで、パスポートとトラベラーズチェックと帰りの航空券をだまし取られたというエピソードが語られる。その事件が、大逆転の結末を迎えたという話が、『語学の天才まで1億光年』の33…

1896話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その7

■話したいこと 下 私が英語を話す人と初めて会ったのは、日比谷だった。高校2年生だった。友人と散歩していたら、西洋人の男女が話しかけてきた。皇居に入りたいが、どうすればいいのかという質問だった(そう、初めて耳にした生の英語を聞き取れたのだ!)…

1895話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その6

■話したいこと 中 それでは、日本ではどうか。 「授業中に学生が発言しない」というのは、大学レベルの話だけでなく、小学校から続く伝統のようなものらしい。大学で教えたことがある友人たちに聞くと、みな口をそろえて、「発言なし」という。「あんた、ど…

1894話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その5

■話したいこと 上 ラジオのスイッチを入れたら、男がしゃべっている。誰だか知らない。昼の番組だ。テーマは英会話らしい。 「英語を話せるようになりたくて、アメリカに行ったんです。留学して半年たっても、しゃべれるようにならないんです。授業はちゃん…

1893話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その4

■聞き流し学習法 聞き流すだけで英語がペラペラになるなんて、絶対にないという話が『語学の天才まで1億光年』(高野秀行)の12ページにある。「聞き流すだけで英語が身につく」という広告を流し続けたのがエスプリラインの「スピードラーニング」。1989年…

1892話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その3

■地道な努力 下 バンコクで毎日英語の資料を読んでいたが、英語力が向上したとは到底思えない。英語を勉強するために英語の文章を読んでいたわけではないからだ。英語の「長文読解」をやっていたわけではない。 私が読んでいたのはおもに新聞記事だ。その多…

1891話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その2

■地道な努力 上 『語学の天才まで1億光年』を書いた高野秀行さんは、こう書く。「私は幼少の頃から地道な努力が心底苦手であった(今もそうである)。動詞の活用とか単語のスペリングの暗記と言った単純な作業がどうしてもできない」(P12)。 これを「ウソ…

1890話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その1

言葉の本は好きだから、関係書はつねに注目している。言語学者黒田龍之助氏の本は、かなり読んでいるが不満はある。黒田氏は多作だから、私のアンテナに引っかかることが多く、ついつい買ってしまう。そして、いつもふたつの不満がある。ひとつ目の不満は、…

1889話 昔々のタイ語学習 その5

冨田竹二郎先生は、翻訳書を通じてタイに親しみをもたせてくれた。『タイからの手紙』や『田舎の教師』などの翻訳は、おびただしい数の訳者注があり、タイの衣食住など生活を教えてくれた。戦時中のタイ留学時代から集めていた資料を使って、1987年に2200ペ…

1888話 昔々のタイ語学習 その4

1942年に、ふたりの日本人が交換留学生としてタイに渡り、4年間の研究生活をした。そのひとり河部利夫さんは帰国後、のちに東京外国語大学となる東京外事専門学校のシャム語科の助教授となる。桜田さんはその教え子だ。もうひとりの日本人留学生の冨田竹二…

1887話 昔々のタイ語学習 その3

『ターヘル・アナトミア』(「解体新書」)の時代は遠い昔のことではあるが、それから100年以上たっても、外国語学習の環境はあまり変わっていなかった。1960~70年代だと、アジアやアフリカの言語を学ぶのは難しいのは当然としても、西洋語でもイタリア語や…

1886話 昔々のタイ語学習 その2

桜田育夫さんは1930年生まれで、2012年に亡くなった。私がよく会っていたのは、NHKを退職した1990年代だ。 1930年生まれということは、大学に入学したのは48年頃になるのだろうかと調べ始めると、とてつもなくややこしい事実に突き当たった。終戦時、桜田さ…