183話 ザ・ガードマンの海外渡航(1)

 私はどうやら虚構というものが苦手らしい。小説を読まないだけではなく、テレビドラマも ほとんど見ていない。とくに、ウソ臭いことで知られる大映テレビのドラマ(だから大好きという人もいて、とにかくアクが強いものが多い)は、まるで受けつ かない。子供のころから、学園ものが嫌いということも関係しているのかもしれない。
 ドラマが嫌いといっても、映画は見るのだから、単純に「虚構嫌い」というわけでもなさそうだ。ベタで、臭いドラマが嫌いということかもしれない。だから プロレスも楽しめないのかもしれない。因縁の対戦とか、マイクパフォーマンスなんざ、わざとらしくて、恥ずかしくて見ていられないのだ。
 映画は見るが、テレビドラマは見ないという性癖のせいで、「日本映画と海外ロケ」の調査はかなりやったが、テレビドラマのほうは、かつてこの雑語林で 「快傑ハリマオ」や「月光仮面」の話を書いただけで終わっていた。簡単に説明すれば、この雑語林の129〜133回でハリマオなどの話をした。1960年 から始まった「快傑ハリマオ」は日本のテレビドラマ史上特筆すべきは、最初のカラー作品であると同時に、海外ロケをした最初のテレビドラマだということ だ。そこまで調べはついていた。
 ところがさっき、偶然にも「ザ・ガードマン」の資料を見かけたら、ちょっと調べてみたくなった。66年放送分以降、たびたび海外ロケをしているというの だ。「快傑ハリマオ」からは6年遅れてはいるが、連続テレビドラマで海外ロケというのは珍しい時代だったはずだ。これは自称海外旅行史研究者、あるいは自 称異文化接触史研究者としては、調べなくてはいけないという気分になってくるではないか。
 ザ・ガードマンは有名だから、もちろんその名は知っているが、おそらく一度も見たことがないと思う。そこで、ちょっと調べると、こういうドラマだったらしい。
 1965年4月から1971年まで全350話も続いたTBSの人気テレビドラマで、製作は大映テレビの前身である大映テレビ室。放送当初から47話までは「東京警備指令 ザ・ガードマン」というタイトルで、以降は「ザ・ガードマン」になる。
 日本で生まれたばかりの警備保障会社(日本警備保障、のちのセコム)をモデルにして、主なレギュラー出演者は、宇津井健藤巻潤川津祐介、倉石功ほか。最高視聴率は41%だったというから、今では信じられないお化け番組だったということになる。
 ここから先は長くなるので、次回にまわすことにする。