建物を見に行く その15 高層ビル 後編
南に目ざすガラス張りの高層ビルが見えている。四角いだけのビルはどうでもいいのだが、V字のようになったツインタワービルがちょっと気になるが、目的地まではまだまだある。たんなる勘だが、いままで5キロ歩き、さらに5キロといったところか。
右のV字型ビルがちょっと気にかかって歩き出したのだが、きょうの散歩の目標物をこのビルに定めただけで、このビルそのものに強い関心があるわけではない。
プタッスケホー・ポフスタニー駅周辺はあまりおもしろそうではないので、寄り道せずにさっさと歩く。そして、パンクラック駅。駅のすぐ近くに、すでに来たことがある大きなショッピングセンターがある。そこのトイレに寄ってから、散歩を続ける。目指すビルは裏手にある。
V字ビルは見る角度によって、V字の開き方が変わるのがおもしろい。まだ完成していないようだが、おそらく下階がオフィスで、上階がアパートだろう。10キロほどの建築散歩だが、その足元まで来たからと言って、何かがわかるわけではない。書店で買ったプラハ建築ガイドは2013年の出版だから、それ以後に建てられたビルについては当然触れていない。
3時間ほど歩いて、到達したのがこのビル。20秒眺めて、おしまい。散歩をする過程が楽しいのだから、これでいいのだ。
これで建築散歩は終わり、ショッピングセンターで何か食べて帰ろうかと歩きだしたら、西の遠方、沈みゆく夕日の方向に穴の書いた建物が見えた。ビルの腹に穴があるビルは、東京のNECビルや香港のレパルスベイ・ホテルなどいくつもあるが、ここの穴は大きい。
西日で逆光になっていてよく見えないので、近づいてみようとパンクラナツィ公園を歩きだしたが、目測以上に遠い。どうやら、この周辺は新興のやや高額の住宅地らしい。夕方の公園ではバーベキューをやっている人もいる。公園の売店でおもに扱っているのはビールだというあたりは、さすがビールの国チェコである。
このアパートのことは、“Prague The Architecture Guide"に出ていて、”Kavci Hory A Residence”という。建築業界での通称は”Hollow House”(空洞の家)というらしい。私としては、大口を開いていると見なして、”Hello House”の方がおもしろいのになと思った。2009年の完成で、65室のアパートだ。たぶん、高額だろう。
このクラスの高級アパートだと、ベランダで洗濯物を干さないのか、夕暮れ前のこの日はたまたま干してなかったのかは不明。
このアパートの斜め向かいにあるのがCeska Televize。チェコ・テレビ社屋だということは想像でわかる。テレに局がある新市街ということは、お台場か。