1315話 スケッチ バルト三国+ポーランド 34回

 野外建物博物館 その6

 

 今回は、バルト三国の南の国、リトアニアの古民家を紹介する。リトアニアの北はラトビア、東はベラルーシ、南はポーランド、西はロシアの飛び地カリーニングラード州。かつて、ポーランドやドイツやロシアの支配を受けてきたので、勉強する気をなくすほどあまりに複雑な歴史である。建築が、そういう複雑な歴史を表現しているのかどうか私にはわからない。ここの野外建物博物館は、家と家との間隔が500メートルほども離れていたりするので、歩きまわるのに本当にくたびれた。全体的には、18~19世紀の建物が比較的多いように思う。

 

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 学校が移築してあった。

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 左の大きな筒状のものは、ストーブ。別室が教員住宅になっているらしい。

 

 

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 ここでも、瓦屋根の家は珍しい。家庭菜園や窓辺の花に管理担当者の心遣いがわかる。

 

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 「なんだ、これ?」といぶかしい。近くの説明を見て、ハチミツ採集装置だとわかった。

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 庶民には砂糖など手に入らなかった時代、甘いものはハチミツと果物だった。

 

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 リトアニアの村は、装飾を施された十字架が広場や庭に立ててある。これが「リトアニアらしさ」らしい。

 

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 洗濯道具。たたいたり、洗濯板でこする。こういう形の洗濯板は18世紀末のヨーロッパで生まれたらしい。日本には明治時代にアメリカから入って来るが、広く普及するのは大正時代に入ってかららしい。

 

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 窓を室内外から、しばらく眺めている。

 

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 ラトビアリトアニアで聞いた話では、ベッドを使えるのは既婚者のみで、未婚の子供たちはこういうベンチで寝ていたそうだ。

 

 

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 玄関前のこの空間は、日本で言えば縁側で、針仕事や近所の人との雑談など、寒くない時期は、暗い部屋を出てここで過ごす憩いの間だ。

 

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 家庭菜園にはハーブ類が多い。来園者用に植物名を書いた説明がついている家もある。気になる葉があったので、近づいて、よく見た。

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 やっぱり、cannabis。堂々と栽培しているのだから、当然、合法なのだろう。

 

 

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 ちょうどカヤぶき屋根の補修中で、作業のようすを見たかったのだが、きょうは作業の日ではなかったらしい。

 

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 リトアニアの野外建物博物の特徴は、家そのものの移築だけではなく、村を作ろうとしているらしい。だから、村から別の村に移動するのが大変なのだ。

 

 バルト三国に気候の変化が激しいので、晴天の直後に雨が降ってきたりする。こうした野外博物館を散歩するには雨具や、時期によっては防寒具も必要。冬期はほとんど閉鎖されるので、行きたいと思っている人は詳しい開館情報を調べておいた方がいい。