1333話 スケッチ バルト三国+ポーランド 52回

 食べる話 その1 好きな場所 その1

 

 今、旅を終えて、「ああ、あそこはよかったなあ」と思い出すレストランがいくつかある。

 まず、リーガ市役所地下のDailyだ。誰でも利用できるカフェテリア式の食堂で、リーガ市民によく知られたところだ。あらかじめ作った料理を並べてあり、客は好きな料理を好きなだけ皿にとり、料金を支払うというシステムだ。ここに何度も通った理由は、広い意味でのラトビア料理、ラトビア人が日常口にしている料理がひと目でわかるという食文化研究の資料として有効だということもあるが、メニューが読めなくて資力に乏しい私のような旅行者には、簡単に料理にありつけて、しかも安いというのがなんともありがたい。

 スペインやイタリアなどでは、ファーストフード以外の食事なら、最低でも十数ユーロはかかる。それが、ここではその半額以下だ。できることなら毎日通いたかったが、毎日の飯時にそのあたりをうろついているわけにもいかず、残念ながら毎日通うことはできなかった。

 この飲食施設から、現代のラトビア人(おもにリーガ市民)の食習慣を見てみる。基本条件は、外食でありランチだということで、家庭の食事に関しては当然わからない。

 スープとデザート、飲み物を除いて、客が皿に取った料理を分析する。サラダについては、あとで詳しく書く。

 客はその日のメインを考える。肉か魚か野菜かといったタンパク質グループだ。昨年、海がないチェコの料理を見てきたので、バルト海に面したラトビアではさすがに魚料理は多いが、やはりサーモンが目につく。

 デンプンのグループは、こうなる。まずは、ジャガイモのグループだ。皮つき・皮なしのフライドポテト、小さなジャガイモをそのままゆでたもの、マッシュポテトなど。パンのグループは黒パンやバゲット、クロワッサンなど多種多様。マカロニなどのパスタ。コメは白飯かピラフのような味付き飯。チェコでも感じたのだが、都市部に限ったことなのかもしれないが、コメが広く食べられているという印象を受けた。これはソビエト支配時代には考えられないことだろうから、ここ20年くらいの歴史だろう。

 

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 市庁舎の地下への入口。地下2階のデイリーの営業時間は、8:00~16:00だ。

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 飯時をはずすから、いつもすいている。
 

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  各種キノコのソテー、キャベツの塩もみ(中国醤油があった)、白飯。

 

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 翌日、キャベツとキュウリの塩もみをまた食う。白飯に鶏肉のトマト煮をかけて、3ユーロしない。ヨーロッパで300円の飯は安い。

 

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 ズッキーニのチーズ焼き、ゆでたジャガイモにマヨネーズ。キュウリのピクルス、チーズ、オリーブ。このようにいろいろ皿に盛ると単品の料金計算ができなくなるので、料理を盛った皿をはかりにかけて、その重さで料金を計算する。

 

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 ポテトサラダにニシンの酢漬け、サラダに生のサーモン。

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 ピンクの薄いものがあったので、試しにつまんでサーモンの隣りに置いた。「どう見ても、生姜の甘酢漬けだよなあ」と思って食べてみると、まさにそのとおり。こういうところにも、日本の食品があるのか。

 

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 後日、スーパーで商品チェックをしていたらスシコーナーがあり、スシ弁当を見つけた。1600円くらいするから、高い。家庭でスシを作るように、焼きのりがある。その下に、気になるピンクのモノが・・・。

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 「生姜甘酢」、"PICKLED SUSHI GINGER" ラトビアの業者が日本から輸入している。私がデイリーで食べたのも、多分これだ。

 

 以下は、エストニアのタリンのカフェテリアにあった料理。ジャガイモやソーセージ、野菜のソテー、鶏肉料理、グラタンなどが並ぶ。

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