日本のタイ料理店調査に引き続き、日本のブックオフ分布を調べたくなった。ブックオフというのは、古書業界では「新古書店」と呼ばれる新しいタイプの古本屋で、「本の内容は無視し、新しくきれいなら買い取る」というシステムで運営されている。
こういう調査をやろうと思うと、インターネットというのは本当に便利だ。2006年3月現在の数字がインターネットですぐにわかる。例によって数え間違いもあるかもしれないが、店舗数の傾向はわかると思う。まずは、都道府県別の店舗数を多い順に並べて見た。
都道府県別店舗
1 東京 120
2 神奈川 68
3 愛知 59
4 埼玉 52
5 北海道 42
6 大阪 41
7 福岡 39
8 千葉 35
9 静岡 28
10 新潟 24
11 長野 21
12 宮城 19
13 福島 18、栃木 18 、兵庫 18
16 茨城 17
17 岐阜 15 , 京都 15 ,群馬 15 , 鹿児島 15
21 山形 13 , 山梨 13
23 滋賀 12
24 三重 11 ,広島 11
26 岡山 9 , 熊本 9
28 奈良 8 , 愛媛 8
30 石川 7 , 福井 7 , 山口 7 ,香川 7
34 秋田 6 ,富山 6 ,徳島 6, 沖縄 6
38 佐賀 5 ,大分 5 ,宮崎 5
41 岩手 4 , 島根 4 ,鳥取 4
44 和歌山 3, 長崎 3
さて、このリストをどう読むかだ。東京がダントツに多いということは想像どおりだが、東 京に比べて大阪が少なすぎないか。東京都の人口を1200万人、大阪府を880万人としても、大阪の店舗数が少ない。スーパーマーケットやコンビニのよう に、地域によっての業界分布があるのかもしれない。新古書店はブックオフだけではなく、ブックマークやブックマーケットというチェーン店もあるから、それ ぞれの店舗分布も調べてみたが、大阪ではブックオフ以外の新古書店が多いということはない。単純に少ないということらしい。大阪府と神奈川県の人口はだい たい同じなので、そのことを考えても大阪府の店舗数は少ない。
大阪よりもまだ意外だったのは、京都だ。京都といえば大学が多いので、ブックオフの店舗数も多いのかと思ったが、それほどでもない。15店で17位だ。 京都にはもともと古本屋が多いので、新古書店が増えないという説は、神田や早稲田の古本屋街がある東京のことを考えれば成り立たない。つまり、京都の学生 も本を読まないということか。
逆に、意外に多いとわかったのが、北海道だ。想像で書くが、北海道の地方都市では新刊書店が減って、新古書店が増えているということか。
誤解のないように書いておくが、「ブックオフが多くある都道府県は偉い」という格付けをしているわけではない。そうではないが、どんな本屋であれ、とにかく本屋が多くある街がうれしいと思う。すばらしいと思う。
店舗数の多い都道府県ベスト10は、北海道と10位の新潟を除いてほぼ予想どおりだった。少ないほうでは、リスト作成前には、沖縄と島根・鳥取あたりが少ない3県に入るだろうと思っていたが、ちょっと外れた。沖縄は健闘している。
おまけの話。リストでわかるように、東京にはブックオフが多いのだが(区別では世田谷区 が圧倒的に多い)、意外な空白地帯が神田近辺だ。家賃が高いということもあるだろうが、おそらく、神田の古書組合との軋轢を避けて出店しないのだろうか。 ちょっと前になるが、神田といっても淡路町のほうにブックマートが開店したことがあったが、1年以上営業していただろうか。閉店の理由が営業不振だとして も、あの場所でなぜ不振だったのか知りたいものだ。