統計資料で見る大阪の位置 前編
歩けば見えてくる大阪はあるが、歩いているだけではわからない大阪もある。大阪関連の本や雑誌を読み漁ってコラムを書くという作業は、去年すでにやっているので、今回はさまざまな統計資料から見える大阪を探してみた。まずは、各都道府県の1位を集めるとどういう大阪が見えてくるのだろうか、それを探る。さまざまな項目で1位だからといって「ベスト」とは限らないから、要注意である。
「都道府県別統計とランキングで見る県民性」というサイトがある。
http://todo-ran.com/t/kiji/14105
この情報や、そのほか数多くの資料を使って、大阪府や大阪市がどういう所なのか点検してみよう。できるだけ新しい情報を集めようとしたが、必ずしも最新資料というわけではない。おおまかな傾向という程度に理解してほしい。
まず、第1位にランクされている事柄
■重要犯罪認知件数・・・重要犯罪とは、殺人、強盗、放火、強姦、誘拐、強制わいせつなどのことで、それを警察が犯罪だと認めた数が認知件数となる。大阪府は、日本で一番認知件数が多い。つまり、日本でもっとも危険だということだ。ちなみに、もっとも平和なのが、秋田県だ。
この資料は2014年のものだから、2016年の資料で東京都と大阪府を比べてみる。認知件数は東京が1526件、大阪が1758件。東京よりも人口が少ない大阪が、絶対数でも東京よりも多くなっている。その検挙数は東京が1318件(86.4%)、大阪が1028件(58.5%)だから、検挙率も低い。2017年の「警察犯罪統計」によると、人口10万人あたりの殺人事件発生件数第1位は当然(!)大阪で、もっとも少ない山梨の10倍も多い。
大阪に来た外国人旅行者インタビューというのをテレビでやっていた。
「大阪はとても危険な街だと聞いていたけど、アメリカの都市と比べればずっと安全だよ」
さしもの大阪も、アメリカの都市と比べてはいけない。
■街頭犯罪・・・ひったくり、路上強盗、オートバイ盗、車上ねらい、部品ねらい、自転車盗、自動車盗の7つを「街頭犯罪」というらしい。大阪が圧倒的多数で第1位、以下埼玉、東京、兵庫など。ベスト3(つまり犯罪件数が少ない)のは、山形、青森、岩手の順。
■性犯罪認知件数・・・強制性交(強姦)や強制わいせつ罪の認知件数で、ここには公然わいせつ罪やわいせつ物領布罪などは入らない。人口1万人あたりでは、2位の福岡の1.5倍も多い。強姦は2017年に「強制性交」と名称が変更されたが、事件発生数は沖縄、福岡、大阪がワースト3。こういう沖縄は報道されない。
■犯罪の東京・大阪比較・・・2106年警察白書で、犯罪統計を読んだ。犯罪認知数の絶対数では、東京と大阪が1位を争う。刑法犯1位東京、2位大阪。凶悪犯は1位大阪、2位東京。粗暴犯は、1位東京、2位大阪。窃盗犯1位東京、2位大阪。知能犯は1位東京、2位大阪。風俗犯は1位大阪、2位東京。その他の犯罪は、1位東京、2位大阪。この資料を人口比で考えても東京が明らかに1位になるのは粗暴犯だけで、あとは大阪がワースト1である。
■スマホ・パソコン使用時間ランキング・・・第1位が大阪。以下北海道、青森。最下位は長野県。2016年「社会生活基本調査」による。小学生長時間ゲームプレイランキングでは、1位は北海道、2位が大阪(文科省の調べ)。もっとも短いのは鹿児島県。北海道や青森は、「長い冬があるから」という気がしても、それでは「大阪1位」の理由がわからない
■救急出動件数・・・救急車の出動数は、総数では東京がもっとも多いのだが、人口100人あたりでは、大阪が第1位になる。2013年と2016年を比較すると、東京は減り、大阪は増えている。
■生活保護受給者数・・・1位大阪、2位北海道、3位高知。
大阪のいい評価項目が見つからない。
長くなったので、以下は次回。
カット代わりに、四天王寺の写真を。四天王寺消防署元町出張所の建物が気になって撮った。大正の建物らしい。
上の消防署の右に、四天王寺の鳥居がある。