1159話 桜3月大阪散歩2018 第13回


 統計資料で見る大阪の位置 中編


 引き続き、統計資料のなかの大阪を探してみる。
 大阪の欠点を探して笑おうという意図などみじんもないのだが、すばらしい第1位がなかなか見つからない。
■小学生体力テスト・・・最下位が大阪、以下奈良、北海道、東京の順。家でゲームばかりやっているからか。
■万引き認知件数・・・警察が万引きと認めた人口あたりの件数では、大方の予想と確信に反して大阪がもっとも少ないという妙な結果になっている。多い順では、香川、東京、兵庫。大阪の皆さん、東京に勝ちましたよ。でも、この統計を信じていいのか? 本腰を入れて調べようと思ったが、調べきれず時間切れだ。
■刑法犯検挙率・・・また悪い資料だ。大阪の検挙率は、ワースト2の京都よりぐっと落ちる。大阪は、事件が多く、しかし犯人はあまり捕まらないということだ。
「月刊宝島」が「全国警察ワーストランキング」を発表している。
http://blog.takarajima.tkj.jp/archives/1820070.html
ここに「全国警察の懲戒処分率ワーストランキング」というのがあり、不祥事で話題の大阪府警が堂々の第1位かと思ったら、ワースト5は、奈良、群馬、山梨、高知、北海道で、大阪府警は18位という中途半端な位置にある。このランキングの読み方は、「月刊宝島」本文で解説しているように、不祥事を表に出さなければ表面上は「いい警察」になるわけで、実はあまり意味のあるランキングではない。というわけで、こういうニュースを紹介しておこう。「大阪府警 不祥事」で検索すると、笑えるほどヒットする。
https://www.kenkokarate.com/entry/2018/05/25/101939
https://www.asahi.com/topics/word/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%BA%9C%E8%AD%A6.html
https://www.sankei.com/west/news/160216/wst1602160006-n1.html

 大阪を笑いものにするための資料を探しているのではないのに、こうなってしまうのが大阪か。そこで、総務省統計局の力を借りて別のテーマで大阪を探る。大阪府ではなく、大阪市が全都市の1位を探してみるが、はたして見つかるか?
■白菜消費量・・・2012年の総務省の家計調査で、大阪市が1世帯あたりの消費量第1位だったようだが、2015~2017年平均では、堺、京都、神戸、和歌山がトップ5だ。
消費が少ない方では、山形、前橋、水戸、秋田などがある理由がよくわからない。かつて大阪が1位だったとき、日経スタイルは次のような記事を発表しているが、さて、どうだか。
https://style.nikkei.com/article/DGXNASIH2600C_W3A920C1AA2P00
■パンの購入数量・・・食パンの購入数量では、京都、神戸、岡山、堺、大阪の順。
■牛肉の支出額・・・京都、和歌山、奈良、大津、大阪の順。
■タコの購入数量・・・たこ焼きがソウルフードのひとつである大阪なら、タコの消費量はで全国1位のはずと、総務省の家計調査(2015~2017年平均)で調べてみると、政令指定都市ランキングでタコに支払う金額の多い順は、奈良、高松、大阪、堺、神戸がベスト5だった。
■サツマイモの支出額・・・産地は鹿児島、埼玉、千葉だが、支出額が多いのは、徳島、佐賀、大阪、京都、和歌山の順。田辺聖子の『芋たこなんきん』を思い出す。それでは、なんきん(カボチャ)の消費を調べてみると、都市別ではなく都道府県別資料だが、ベスト3(2016年)は、奈良、秋田、長崎の順で大阪は入らない。この家計調査のランキングを見てみると、調味料でも外食でも、飲み物でも、あらゆる食品、食事のランキングに大阪市はベスト5に入っていないことがわかる。つまり、これといった個性に乏しいということがよくわかる。これは平均化しやすい大都市だからなのか。「粉モン」の大阪というイメージがあるが、「そば・うどん」でも「中華麺」でも、大阪はベスト5に入らない。では、小麦粉の支出額ランキングではどうかというと、全国の57都市のなかで44位という実に意外な結果だった。う〜む、である。
■宿泊施設の客室稼働率・・・外国人観光客が急増したせいで、ここ数年、客室稼働率日本一が続いている。
都道府県別訪日外国人数ランキングというのがある。観光庁がやった空港や港での聞き取り調査によれば、1位東京、2位大阪、3位千葉、4位京都、5位福岡という順だが、羽田、成田、関空でも調査ならこうなるだろう。実感としては、東京よりも大阪の方が外国人旅行者を見かける機会は多い。これは、大阪の外国人は、トランクを引きずるなどいかにも観光客然としているからだろう。
■訪れるべき都市・・・Airbnb(エアB&B)が発表した人気急上昇の地域2016年ランキングは、こうなっている。
1、大阪市中央区
2、バンコク都バンランプー
3、クアラルンプール市ブリックフィールズ
大阪市中央区は、北は淀屋橋、南は難波。心斎橋筋大阪城などがある文字通り中心部にある。
■魅力度の市町村別ランキング(ブランド総合研究所)によれば、大阪市は2016年34位、2017年は41位ということらしい。都道府県別魅力度ランキングでは7位。コメントしにくいランクだ。
http://tiiki.jp/news/05_research/survey2017/3791.html
■住みよさ・・・東洋経済が発表した「住みよさランキングトップ50  2017」によれば、印西市(千葉県)が1位だが、50位以内に入った大阪府の市町村はない。
https://toyokeizai.net/articles/-/176683
しかし、生活ガイドが発表した「住みたい街全国ランキング 2016」のトップ5はこうなっている。「にわかに信じがたい結果」という感想を書いたら、大阪府民の共感を呼ぶが、あるいは大阪市民の反感を買うか?
1、横浜市 2、京都市 3、札幌市 4、世田谷区(東京都) 5、大阪市
大阪ランキングの話はまだ続く。


 天王寺から北上する日は、道路を歩いてもおもしろくないので、四天王寺境内を抜けていく。こういう洗浄作業を眺めているうちに朝の時間が過ぎていく。すいう時間も好きだ。