番外 漢字変換の話(アジア文庫の場合)


                     アジア文庫 大野信一

 前川さんのご指名とはいえ、漢字変換について話すには、私はふさわしくない。漢字の○○水準とか、○○コード、といったものがまるで分かっていないのだから。
 ここでは、使い勝手のみで書かせてもらうことにする。これまで、ワープロや、いくつかのパソコンを使ってきた。最初に買ったワープロは、80年代の終わ りころ、富士通の文豪シリーズの一機種だった。モニターがブラウン管のゴッツイやつで、中国や韓国の人名、地名は、表示できない文字が多かった。それこ そ、前川さんの言うように、訒小平の「訒」の字が出てこなくて苦労した覚えがある。しかも、漢字の検索にずいぶん時間を割かれていた。漢字のコード表が手 放せなかった。一文字入力するのに数分かかることもあった。今のWindowsXPには、手書きの検索機能がついて、入力も含めて、ずいぶん使い勝手がよ くなった。
 とはいえ、今でも、例えば、香港の北にある中国の「深せん(しんせん)」の「せん」の字は、土へんに、つくりが川の、一見簡単な字のように思えるが、モ ニター上には表示できても、私のプリンターではプリントすると空欄になる。フォントを買えばクリアできる問題なのだろうが(中国書の専門店であれば必要に なってくるが)、そこまでする気もなく、版下を作る時には、つくりとへんを50パーセント縮小して文字を作って済ませている。
 インターネットのブラウザは、ユニコードというのだろうか? Windowsの2000や、XPには標準装備されるようになっているようで、中国語の繁体字でも、簡体字でも、あるいは、タイ文字でも、ハングルでも不自由なく閲覧できるようになった。
 ためしに、「深せん(しんせん)」を、Yahooで検索してみた。日本語Yahooでは、「せん」が、文字化けして正しく検索できないが、中国語の簡体 字Yahooでは、正しく検索できた。少なくとも、WindowsXPの環境だと、多言語でも、モニター上では表示されるが、これらの文字を入力したり、 プリントするためには、そのためのソフトや、フォントを別に購入しなければならないということだろう。
 中国書専門店の東方書店のホームページは、ユニコードを前提に、日本語、繁体字簡体字の混在したホームページを作っている。同じ中国書専門店の内山書店のホームページは、 まだユニコードが普及してないと考えているようで、PDF形式を採用している。この場合、その都度専用のソフトが立ち上がるのを待たなければならなくて、 閲覧するのに、はなはだ使い勝手が悪い。テキスト形式にしたほうがいいのじゃないの、と知り合いの社員に言ったことはあるのだが、まだそのままのようだ。