135話 日本のタイ料理店


 年に一度くらい、「日本におけるタイ料理店の現状」をインターネットで調べている。日本 のタイ料理店リストが載っている「タイカレーが好き」というサイトを、今年も覗いてみた。昨年と比べると、タイ料理店の数が減っているような気がするが、 昨年プリントアウトしたものが発見できないので、比べようがない。
 「タイカレーが好き」の2004年4月現在、日本には451軒のタイ料理店があるそうで、その全店がリストアップされている。「451軒」という数字は あまりあてにならない。開店・閉店の時間差で営業しているのにリストに載っていなかったり、閉店したがリストに残っていたりという誤差のほか、そもそも 「タイ料理店」をどう定義するかという問題があるからだ。東南アジア料理店でタイ料理もあるという店は、どうする。タイ料理も出す居酒屋はどうする。カ レー専門店で、タイカレーもあるという店はどうするかといった問題があるからだ。
 したがって、「451軒」というのは、まあ、だいたいそのくらいはあるだろうという数字だと考えたほうがいい。もしかすると、誤差は1割くらいはあるか もしれない。ウチの近所にある2軒の店はリストに載っていないことを考えると、誤差はもっと大きいかもしれない(次に述べるワイワイのサイトにもその2軒 は載っていない)。
 引き続きほかのサイトを探していたら、「ワイワイタイランド」というサイトに、日本のタイ料理店リストが載っているのを発見した。このリストでは全国に 492軒のタイ料理店があることになっている。大阪府にあるタイ料理店と東京の新宿区にあるタイ料理店の数は、ほぼ同じだ。
 ワイワイのリストを見ながら、タイ料理店が多い都道府県ベスト10を書き出してみる。

 1、東京(226軒)
 2、大阪(48軒)
 3、神奈川(44軒)
 4、千葉(35軒)
 5、埼玉(21軒)
 6、茨城(15軒)
 7、愛知(14軒)
 8、長野(10軒)
 8、福岡(10軒)
 10、兵庫(8軒)

 人口の多い大都市圏にタイ料理店が多いのはわかるが、長野県の存在が異色で、その理由は わかる人にはわかる。東京のタイ料理店は見たとおり多いのだが、これはイタリア料理店やインド料理店などと同様に、東京だけが異常に多いのか、あるいはタ イ料理店だけに見られる顕著な傾向なのか、私にはわからない。
 両方のリストで「0軒」と表示されていたのは、秋田、福井、島根、鳥取、徳島、香川、高知、大分の各県なのだが、個別に調べてみると、香川の高松には「アジア・バグース」という店があることがわかった。ほかの県にでも、こういう例がありそうだ。
 というような、リスト遊びをやった結果わかったのは、タイ料理店はいまやブックオフなみにどこにでもあり、タイ料理店がない県はむしろ珍しいということだ。
 これと同じような作業をほかのアジア料理店でもやってみたいと思うが、リストがないので無理だろう。中国と韓国・朝鮮の料理店を除くと、わざわざリスト を作るほど多くはないということだろう。「日本の外国料理店出店の歴史」というような資料を読みたいが、誰か作る気はないだろうか。まあ、ないだろうな あ。学者でも、手のかかる調査は敬遠されがちだから。
 1980年代前半、東京には5軒ほどのタイ料理店があり、おそらくそれは日本全国でも5軒しかなかったということだ。1980年代後半には急に増えるが、それでもせいぜい20軒程度だろう。