小学生時代からつけている図書購入台帳をひっくりかえして、今年もまた2005年の図書購入事情を探ってみようと思う。目的は、ない。有用な利用法もない。ただのひまつぶしである。
2005年は仕事上でどうしても必要な本はあまりなかったので、300冊も買わなかった。これは例年よりちょっと少ない。仕事上の本が少ないということ は、無理してでも読まなければいけないむずかしい本は読んでいないということだ。そのわりにあまり多く読んでいないのは、目と根気の問題だろうと思う。読 む気はあっても、どうにも読み残してしまう。まあ、すぐに読みたい、何をおいてもこの本をという気にさせる本があまりないということでもあるのだが。
さて、出版社別購入書のランキングだ。
1位 筑摩書房 18冊
2位 新潮社 17冊
3位 講談社 16冊
4位 平凡社 13冊
5位 文藝春秋 12冊
6位 情報センター出版局 11冊
7位 中央公論新社 10冊
8位 小学館 8冊
9位 集英社 7冊
10位 岩波書店 6冊
例年ならベスト10に入っていた朝日新聞社は、幻冬舎、晶文社、角川書店と並んで5冊で同数11位。
意識していないにもかかわらず、ある特定の出版社の本が多いということもなく、まんべんなく買っているのがわかる。昔とちがって大手出版社の本が多いの は、好みが変わったのではなく、新書と文庫を買うことが多いからだ。新刊書にあまり期待できないから、古本屋でも、ついつい買いそびれている文庫を買うこ とが多い。そのいい例が6位の中央公論新社だ。
今は、中公の本をめったに買わない。文庫も新書もまるで魅力がない。読売の軍門に降った(あるいは保護下に入った)からつまらない本ばかり出しているの かと思ったが、考えてみればその前からつまらない本ばかり出していた。金子光晴の本など、海外紀行や文化人類学関連の本が出ていたころは、もっとも好きな 出版社だったが、そういう私好みの本を出していけば必然的に経営を圧迫し、しかし角川のようにみっともない本は出せず、グジグジといじけている出版社とい うところだろう。そんな中公の本を10冊も買っているのは、神田の古本屋で中公文庫の安売りをやっていたので、買いそびれている本をまとめて買ったから だ。
堂々1位の筑摩書房にしても、古本屋で買った文庫が半分くらいはいっているが、新刊でもわりと買っている。そういえば、ちくま文庫は買うが、ちくま新書はめったに買わない。書店で点検することもあまりない。
情報センター出版局が11冊で6位にはいっているのは、神田古書市のときに、すずらん通りでバーゲンセールをやっていたのでまとめ買いしたからだ。興味 はあっても、いままで「ま、いいか」と思っていた言語の本を、この機会に一気に8冊買った。とりあえず使うことのないスワヒリ語の本などは、こういう機会 でもないと買わないのだから。
平凡社は、新書半分に単行本半分というところだろう。集英社はほとんど新書だ。
さて、2005年に読んだおもしろかった本を全部あげると煩雑なので、2005年に出版された本に限って、ジャンル分けせずに順不同であげておこう。
『同じ釜の飯』(中野嘉子・王向華、平凡社)
『我、拗ね者として生涯を閉ず』(本田靖春、講談社)
『失踪日記』(吾妻ひでお、イーストプレス)
『毎日かあさん 2 お入学編』(西原理恵子、毎日新聞社)
『パッチギ! 対談篇』(李鳳宇・四方田犬彦、朝日選書)
『ナポリタン』(上野玲、扶桑社)
『ナツコ 沖縄密貿易の女王』(奥野修司、文藝春秋)
『探偵!ナイトスクープ アホの遺伝子』(松本修、ポプラ社)
『沖縄あ〜あ〜・ん〜ん〜事典』(宮里千里、ボーダーインク)
『落し紙以前』(斉藤たま、論創社)
『東洋一』(藤井青銅、小学館)
『毎日ワールドミュージック』(北中正和、晶文社)
『被差別の食卓』(上原善広、新潮新書)
『日本全国おでん物語』(新井由己、生活情報センター)
『誤読日記』(斉藤美奈子、朝日新聞社)
『昭和浪漫ロカビリー』(ビリー諸川、平凡社)
『続・夢のワルツ』(田代洋一編、バックステージカンパニー)
『牙 江夏豊とその時代』(後藤正浩、講談社文庫)
『東南アジア樹木紀行』(渡辺弘之、昭和堂)
『世界の食文化 韓国』(朝倉敏夫 農文協)
『ネオンサインと月光仮面』(佐々木守、筑摩書房)
『冷たいおいしさの誕生』(村瀬敬子、論創社)
『国マニア』(吉田一郎、交通新聞社)
『黒田清 記者魂は死なず』(有須和也、河出書房新社)
『環境考古学への招待』(松井章、岩波新書)
『下級武士の食日記』(青木直己、NHK生活人新書)
あまり多くなるので以下省略するが、ベスト3を選ぶなら次の3冊。
『我、拗ね者として生涯を閉ず』
『ナツコ』
『世界の食文化 韓国』
2006年も、こういうすばらしい本に出会いたい。