137話 2005年 出版社別購入書ランキング


 小学生時代からつけている図書購入台帳をひっくりかえして、今年もまた2005年の図書購入事情を探ってみようと思う。目的は、ない。有用な利用法もない。ただのひまつぶしである。
 2005年は仕事上でどうしても必要な本はあまりなかったので、300冊も買わなかった。これは例年よりちょっと少ない。仕事上の本が少ないということ は、無理してでも読まなければいけないむずかしい本は読んでいないということだ。そのわりにあまり多く読んでいないのは、目と根気の問題だろうと思う。読 む気はあっても、どうにも読み残してしまう。まあ、すぐに読みたい、何をおいてもこの本をという気にさせる本があまりないということでもあるのだが。

 さて、出版社別購入書のランキングだ。
1位   筑摩書房          18冊
2位   新潮社            17冊
3位   講談社            16冊
4位   平凡社            13冊
5位   文藝春秋          12冊
6位   情報センター出版局    11冊
7位   中央公論新社       10冊
8位   小学館             8冊
9位   集英社             7冊
10位  岩波書店           6冊

 例年ならベスト10に入っていた朝日新聞社は、幻冬舎晶文社角川書店と並んで5冊で同数11位。
 意識していないにもかかわらず、ある特定の出版社の本が多いということもなく、まんべんなく買っているのがわかる。昔とちがって大手出版社の本が多いの は、好みが変わったのではなく、新書と文庫を買うことが多いからだ。新刊書にあまり期待できないから、古本屋でも、ついつい買いそびれている文庫を買うこ とが多い。そのいい例が6位の中央公論新社だ。
 今は、中公の本をめったに買わない。文庫も新書もまるで魅力がない。読売の軍門に降った(あるいは保護下に入った)からつまらない本ばかり出しているの かと思ったが、考えてみればその前からつまらない本ばかり出していた。金子光晴の本など、海外紀行や文化人類学関連の本が出ていたころは、もっとも好きな 出版社だったが、そういう私好みの本を出していけば必然的に経営を圧迫し、しかし角川のようにみっともない本は出せず、グジグジといじけている出版社とい うところだろう。そんな中公の本を10冊も買っているのは、神田の古本屋で中公文庫の安売りをやっていたので、買いそびれている本をまとめて買ったから だ。
 堂々1位の筑摩書房にしても、古本屋で買った文庫が半分くらいはいっているが、新刊でもわりと買っている。そういえば、ちくま文庫は買うが、ちくま新書はめったに買わない。書店で点検することもあまりない。
 情報センター出版局が11冊で6位にはいっているのは、神田古書市のときに、すずらん通りでバーゲンセールをやっていたのでまとめ買いしたからだ。興味 はあっても、いままで「ま、いいか」と思っていた言語の本を、この機会に一気に8冊買った。とりあえず使うことのないスワヒリ語の本などは、こういう機会 でもないと買わないのだから。
 平凡社は、新書半分に単行本半分というところだろう。集英社はほとんど新書だ。
 さて、2005年に読んだおもしろかった本を全部あげると煩雑なので、2005年に出版された本に限って、ジャンル分けせずに順不同であげておこう。

『同じ釜の飯』(中野嘉子・王向華、平凡社
『我、拗ね者として生涯を閉ず』(本田靖春講談社
失踪日記』(吾妻ひでおイーストプレス
毎日かあさん 2 お入学編』(西原理恵子毎日新聞社
パッチギ! 対談篇』(李鳳宇四方田犬彦、朝日選書)
ナポリタン』(上野玲、扶桑社)
『ナツコ 沖縄密貿易の女王』(奥野修司文藝春秋
探偵!ナイトスクープ アホの遺伝子』(松本修ポプラ社
『沖縄あ〜あ〜・ん〜ん〜事典』(宮里千里、ボーダーインク
『落し紙以前』(斉藤たま、論創社
『東洋一』(藤井青銅小学館
『毎日ワールドミュージック』(北中正和晶文社
『被差別の食卓』(上原善広新潮新書
『日本全国おでん物語』(新井由己、生活情報センター)
『誤読日記』(斉藤美奈子朝日新聞社
『昭和浪漫ロカビリー』(ビリー諸川平凡社
『続・夢のワルツ』(田代洋一編、バックステージカンパニー)
『牙 江夏豊とその時代』(後藤正浩講談社文庫)
『東南アジア樹木紀行』(渡辺弘之、昭和堂
『世界の食文化 韓国』(朝倉敏夫 農文協
『ネオンサインと月光仮面』(佐々木守筑摩書房
『冷たいおいしさの誕生』(村瀬敬子、論創社
『国マニア』(吉田一郎交通新聞社
黒田清 記者魂は死なず』(有須和也、河出書房新社
『環境考古学への招待』(松井章、岩波新書
『下級武士の食日記』(青木直己、NHK生活人新書)

 あまり多くなるので以下省略するが、ベスト3を選ぶなら次の3冊。
『我、拗ね者として生涯を閉ず』
『ナツコ』
『世界の食文化 韓国』
 2006年も、こういうすばらしい本に出会いたい。