401話 パスポートのお値段

 パスポートの有効残存期間が半年を割ったので、更新することにしたのだが、またしてもやられた。10年前に申請した時は、「写真がだめだ」といちゃもんがついた。写真の上辺から頭頂までの空白部分は、規定では4ミリ±2ミリということになっている。つまり、2ミリから6ミリが許容範囲だというのだが、私の顔写真は7ミリもあるから、不採用。「はい、撮り直してください、次の方!」という仕打ちを受けた。1ミリだぜ。役人の、こういう仕事ぶりを体験すると、日本が嫌いになる。
 そして、10年後の今回は、「メガネに少し色がついています。はい、撮り直してください」だ。私は目が悪く、明るすぎる光がまぶしくてたまらないので、強い光を受けると色がつく調光レンズを使っている。ただし、安いレンズを買ったせいで、あまり色がつかない。目ははっきり見えるのだ。しかし、係の役人が「ダメ!」と言えば、それはだめで、このメガネしか持っていない私は、小学校卒業後初めて、メガネをはずして写真を撮り直した。
 パスポート代は、16000円である。「発給」などというと、タダでもらったような印象になってしまうが、16000円も支払ったのだから、「買った」と言っておこう。
かなり前のことだが、旅行中にパスポートの有効期限が切れそうなので、旅先の日本大使館で更新の手続きをした旅行者の話を聞いたことがある。その国では闇ドルが高いので、闇で両替した現地通貨で支払ったので、えらく安いパスポートだったという話なのだが、それがどこの国の話なのか、あるいは事実なのかといったことはまったくわからない。私は、ケニアの首都ナイロビの日本大使館でページ数を増やす増補をしたことがあるが、その手数料が、日本で同じ手続きをした場合と比べて、安いのか高いのか、まったく覚えていない。
 そんなことを思い出していたら、いつものように調査癖がモクモクと沸き上がってきた。外国でパスポートの更新をしたらいくらかかるのか、ちょっと調べてみくなったのだ。ウォン安の韓国なら、もしかして安いかもしれない。ソウルの日本大使館のホームページを調べてみると、手数料は220000ウォンだとわかる。22万ですよ。数字が大きいとびっくりするが、1ウォンを0.007円で計算すると、15400円だ。日本の手数料16000円と比べて600円安いが、誤差のうちだ。
 タイではどうか。6000バーツだ。大使館が示す交換レートというのが載っていて、1バーツを2.66円として計算すると、15960円。なんだ、つまらん。
 数字の大きさなら、韓国よりもインドネシアだ。最後にインドネシアの場合を調べてみると、1740000ルピア。174万ですよ。数字だけ見ると、自動車の購入代金に見える。この文章執筆時のレートで計算すると、15289円になる。ついでに、ユーロだとどうなのか、パリの日本大使館のHPを見てみたら、143ユーロだ。これは、15321円だから、せっかく調べたのにおもしろくない結果だった。
 どこかの国では、手数料が日本円にして3000円だったとしても、そのためにわざわざ出かけることはない。だから、実用的な調査ではないのだが、もう少し料金に差が出ると思ったのだがなあ。超インフレの国ならドル払いになるだろうし、日本政府は損しないシステムになっているらしい。
ここまで書いて、「まてよ」と、ちょっと思い当たる国があって、調べてみた。ビルマだ。日本大使館のHPには、他の国では載っている料金に関する記述はないが、12年3月更新の次のブログで、パスポートの増補が18円だったと書いてある。http://hobito.net/2012/03/myanmar-19.html 
 日本でやれば2500円だから、これは安い。2500円が18円になるなら、16000円のパスポート代はビルマでは、115円くらいになる計算だが、もちろんわざわざ行く価値はないのだが。