475話 突然思い出した忘れえぬ言葉

 天下のクラマエ師のツイッター
(旅行人のHPで見ることができるhttps://twitter.com/Jinichi_Kuramae
の、この話題を受けて、私も突然思い出した忘れえぬ言葉。
蔵前仁一 ‏@Jinichi_Kuramae
突然思い出した忘れえぬ言葉(2) 10年ほど前、妻と車に乗っていた。するとわれわれの前を赤いスポーツカーが走っていた。信号で停車して妻が言った。「これってカローラ?」その赤いスポーツカーの後部にはってあったのは「Carrera」カローラじゃなくて「カレラ」。ポルシェじゃあ!
 蔵前さん運転の車で、蔵前邸に向かっている時だった。左手前方に蔵前邸がすぐ近く、直線距離にしてわずか50メートルというところに来たとことで、氏は突然右折したのだ。住宅地だから店などないが、どこかに立ち寄るのかといぶかしく思っていたら、「あれ、こっちじゃないのか? 間違えた」
 おいおい、自宅のすぐそばで、ミニ迷子か。引っ越してすぐというわけではない。よそ者の私でも、間違わない場所なのに・・・と思うと、背筋に寒いものを感じた。ついに、かのクラマエ師も、そういう事態になってしまったのかと思うと、悲しい。とんでもない現実を目にしてしまったことの恐怖。
 それから1時間後に「カローラの妻」の小川京子さんに会ったので、蔵前さんがいない場所で、「じつは、今・・・」と迷子事件の体験を小声で打ち明けた。今後の対処法を相談しないといけないのか。
「うふふ」と小川さんは笑った。「そんなのいつものことよ。クラマエの『忘れた』、『間違えた』なんて毎日の事。だから、ちっともおどろかないけど、びっくりして『どうしよう』なんて驚かないといけないのかなあ」と笑っている。その人が「忘れえぬ言葉」を書いているのは貴重である。
 それが、クラマエ師がまだ40代だったころの話で、目下、朦朧とした記憶を頼りに『蔵翁自伝』を執筆なさっている。