865話 カッコいいミュージシャン、3人の女 


 日頃音楽を聴き、テレビやユーチューブなどを見ていると、「かっこいい!」としか言いようのない女のミュージシャンが3人いる。若い順に紹介してみようか。ここで紹介している動画を全部見ると数時間かかると思うので、音楽好きの方は、時間に余裕のあるときに、ごゆっくりご覧ください。
 最初は、スーザン・テデスキ(Susan Tedeschi,1970〜)。まずは、自分のバンドで歌っていた時代。どうです、この迫力。
https://www.youtube.com/watch?v=6lQ2QvSMrOA
 その後、Derek Trucksと結婚して、それぞれのバンドを合体して、「デレック・トラックス&スーザン・テデスキバンド」と名乗っていたが、今は短くテデスキ・トラックス・バンドとしている。
https://www.youtube.com/watch?v=iWPntKAWvHs
 そして、ついに、B.B.キングと共演するまでになった。
https://www.youtube.com/watch?v=zhCfehYJxXA
 こうして動画を探していたら、とんでもない宝物が見つかった。”Mad dogs & Englishmen”という文字が目に入った。ジョー・コッカーのツアーの名で、レコードや映画にもなった。そのことは、このアジア雑語林の472・473話に書いた。
http://d.hatena.ne.jp/maekawa_kenichi/20130119/1358582212
 ところが、ユーチューブの画面に登場したのは、テデスキ&トラックスバンドだ。2015年のライブを、1時間36分も楽しめるのだからうれしくなる。なぜこういうコンサートが開かれたのか、コンサートのオープニング部分が削除されているので事情がよくわからないが、ちょっと調べてみると、2014年12月に亡くなったジョー・コッカーの追悼コンサートだったようだ。ということは、キーボードに向かっていて後ろ姿しか見えない長い白髪の男は、レオン・ラッセルだろう。正面の顔が映っても誰だかわからないが、歌いだせばその声は、まごうことなきレオン・ラッセルのあの声。こういう発見があるから、ユーチューブ遊びは楽しい。
https://www.youtube.com/watch?v=k20NyTHMtJc
 さて、次は姉御という感じの、ボニー・レイットBonnie Raitt、1949~)。まずは、1976年のBBCライブ。20代のこの時代の彼女を、私はまだ知らない。もし同時代に聞いていても、それほどの迫力は感じなかっただろう。
https://www.youtube.com/watch?v=-NgEqtCNtzU
 次は、1991年。ジョン・リー・フッカーとのライブ。すごみが出てきた。
https://www.youtube.com/watch?v=QQxgyVydKy8
 ノラ・ジョーンズとのデュエットで、スローバラード。念のために解説しておくと、ノラ・ジョーンズの父は、あのラビ・シャンカル
https://www.youtube.com/watch?v=zzDUi_L6MzA
 次は、2012年のライブ。相変わらず迫力満点で、スライドギターがかっこいい。
https://www.youtube.com/watch?v=f56_Eg4i89c&index=2&list=RDBlgDC6mOU0o
 こういうユーチューブ遊びをやっていて、ふと、「ティナ・ターナー」はどうしているんだろうかと気になった。アイク&ティナ・ターナーティナ・ターナー(1939〜)。1950 年代から音楽活動をやっているようだが、私は60年代以降しか知らない。初めからカバーが好きだったのか、1969年のテレビ番組でも、Sly & The Family stoneの” I want to take you higher”などを歌っている。圧倒的な人気を集めたのは、この動画の3曲目に歌っている「Proud Mary」だ。この歌は1969年にCCRが歌って大ヒットしたのだが、このユーチューブの説明が正しければ、同じ年にカバーしたということが分かる。なぜそんなことをいうかといえば、アイク&ティナー・ターナーのカバーが発売されるのは1971年で、私がラジオで聞いていたのはこちらのバージョンだ。
https://www.youtube.com/watch?v=nL1l0Fz5RlE
 ティナ・ターナーの歌はラジオからよく聞いていたが、テレビで見ると、「あーあ」という感じだった。この踊りが扇情的というより、「お下品」という感じで、私の好みとはずれていたが、歌の迫力は十分堪能できた。のちに伝記映画「ティナ」(1993年)でも明らかになったように、夫アイクの暴力に苦しめられて、離婚。ソロ歌手になった。
 1984年のアルバム”Private Dancer”のなかの””What’s love got do with it”が映画「ティナ」のサウンドトラックとして使われてヒットした。その後の数年はテレビなどで、彼女が歌う姿を見ているが、ここ10年以上の消息を知らない。アレサ・フランクリンチャカ・カーンも、動くのがつらそうなほど太ってしまったが、ティナは現在どうしているだろうかとネットで調べてみた。ユーチューブでティナを追うと、2015年の76歳の誕生日コンサートの映像が見つかった。1939年生まれということは、今年77歳だぜ。おお、元気に歌っている。よろよろでもなく、ふらふらでもなく、ハイヒールを履いて女の意地を見せている。この姿を見て、私はこの「かっこいい女」のコラムを書こうと思った。
https://www.youtube.com/watch?v=r16UkiI5wjY
 番外は、マリッサ・エザーリッジ(Melissa Etheridge)。2004年のグラミー賞授賞式でのステージ。スキンヘッドはパフォーマンスではなく、抗がん剤の副作用で髪が抜けたのを隠さずに堂々と歌った。2:30から歌うのが、マリッサ。
https://www.youtube.com/watch?v=ef-f-l2Pbn8&list=RDef-f-l2Pbn8#t=97
 ユーチューブ遊びを続けると、病気が見つかるちょっと前に、ボニー・レイットと同じステージに立つマリッサの姿が見つかる。
https://www.youtube.com/watch?v=7vqrQ_47B4U