1399話 ユーチューブ遊び 第4回

 料理にマーガリンやバター

 

 引き続き、ユーチューブのタイ料理動画を見ている。とにかく動画の数が多く、玉石混交だから、注意して選ばないといけない。

 カオパットの料理風景動画があった。バンコクの屋台だ。ちょっと言葉の話をしておくと、カタカナ表記では、タイ語の「カーオ」は、コメ、飯、ニュース、白、糊などで、「カオ」は、彼女、山、9、入る、古いなどだ。それぞれの語は微妙に違うから発音が難しいのだ。したがって、「カオパット」ではなく、「カーオパット」とする方が多少はタイ語の発音に近いのだが、最近は「まあ、どっちでもいいよ」という心境だ。どっちの表記でも実際のタイ語の発音とは違うのだから。ここでは、世間の表記に迎合する。

 今カオパットの資料をネットで探したら、ファミリーマートに「カオパットグリーンカレー 121円」というおにぎりがあったことを発見。そういう時代なんだろうが、これもタイにはない料理だ。

 カオパットは炒飯のことなのだが、屋台などで出てくるカオパットは日本人が考える炒飯とはちょっと違う。タイのカオパットはどうやら2種類あるように思えるのだ。ひとつは日本人が考える炒飯とほとんど差のない料理で、ホテルのビュッフェや、やや高級なレストランで出てくるカオパットだ。もう一種類、私の日常の生活範囲で登場するカオパットは油っぽい。トマトやパッカナー(アブラナ科。茎が固い)などを入れるが、パラパラご飯を使うので、炒飯がべたつくことはないものの、軽やかな食感はない。だから、タイに半年いてもカオパットを食べるのは1度あるかどうかだ。

 さて、この動画だ。大量のカオパットを作っている動画だ。

 料理人は、鍋に油を入れた後、オレンジ色のペーストを鍋に入れる。そういうシーンが2回ある。説明はまったくないが、これは多分マーガリンだ。タイでもトーストにマーガリンを塗るのは知っているが、タイ料理にマーガリンやバターを入れるのは知らない。この店のやり方なのだろうが、日本人がラーメンにバターを投入したように、タイ料理の世界でも異変が起きているのかもしれない。

https://www.youtube.com/watch?v=DVuSedAPmaY

 

 インドの料理動画は以前から好きで、時々見ている。作り方をていねいに映し、英語の説明のある動画もあるので、楽しい。出張インド料理ユニット「マサラワーラー」のひとり、画家の武田尋善(たけだ・ひろよし)さんに、「どうやってインド料理を勉強したんですか?」と聞いたら、「ユーチューブですよ。ホントに便利でいろいろ参考になる」と言っていた。インド料理の基本を理解している人が見ると参考になりそうだ。

 私が特に好きな料理動画は、農村でやる野外料理だ。“food fun Village”など、いくつものサイトがある。

 この動画は、エイのビリヤーニ。エイの料理自体、普通のインド料理のテキストには出てこない上に、それをビリヤーニ(混ぜご飯)にするというのはおもしろいと思いつつ動画を見ていたら、バターがドカーンと入った。

https://www.youtube.com/watch?v=ZRuQE6mFvO0

 インドは世界有数のバター生産国だが、インドの場合固形のバターではなく、溶かして水分などを除いたバターオイル「ギー」として利用することが多かったのだが、冷蔵庫の普及で固形のまま料理されることが多くなったようだ。インド料理にギーを使うのは北インドではよくあることだが、固形のバターを使っていると、インドは西洋に近いように思えてくる。西洋でも東洋でもなく、梅棹忠夫のいう中洋なのか。

 「Indian Food ,Butter」で検索すると、「どうだ、参ったか!」というようなバターギタギタ料理が出てきた。

INDIA'S MOST BUTTERY Pav Bhaji | 1KG Butter Curry | Indian Street Foodというタイトルで、パブバジとはジャガイモと豆と野菜のカレーペーストだ。

https://www.youtube.com/watch?v=SeiVkyCX0jo

 バターチキンという料理もあるが、あれはまあ、インド料理というよりも、インド風イギリス料理のようなものだから、ここでは論じない。しかし、「Indian food、Butter」で検索すると、大量のバターを使ったインド料理が紹介されているのに、びっくりする。まあ、私がインド料理に無知なだけなのだが。