1767話 日々雑話

 

◆7月9日土曜日の昼前のこと、このアジア雑語林や雑誌の原稿の下書きに手を入れようと、Wordから原稿を取り出そうとしたら、「サインインしてください」という表示が出た。いつもなら原稿のタイトル名をクリックするとすぐに下書き原稿が出てくるのに、どうしたわけだ。パソコンの指示通り解決に進もうとしたが、非力な私ではどうにもならず、ついには「Microsoftにより拒否されました」という表示になる。それでは「ドキュメント」から引き出そうとしたら、あれま、ここ数か月に書いた原稿がドキュメントから消えていた。あ・あ・あ~。

 独力での解決は無理だとわかり、我がパソコンの主治医である業者に連絡し、すぐに来てもらった。2時間8000円の作業の結果、解決。私の原稿がドキュメントから、どこかに移ってしまったのが原因らしい。多分、私の誤操作でしょう。一瞬、消えた2万字ほどの原稿のことを考えたが、「そのくらいなら、また書けばいい」と割と落ち着いていた。書き直した方がいい出来だったりして、ホント。

◆自称「Amazon」からの怪しいメールが毎日届く。9日のは、「何度もご連絡しておりますが、セキュリティーのためアカウントの変更をお願いしておりますが、ご返事いただけないので、24時間後には現在のアカウントは使えなくなります。すぐに変更を!」という脅し。「おお、上等じゃねえか、やってみろよ!」とタンカを切った。それからそろそろ60時間たつ。もちろん異常なし。我がパソコンを修理に来てくれた当人もその客も、パソコンに自称「Amazon」からのものが多くなったという。情報が洩れているようです。

◆ヒマにまかせて、日本映画を2本見た。「浜の朝日の嘘つきどもと」は、2020年に放送されたテレビドラマの後日談ならぬ前日談で、そのドラマを見ていない人にはわからないシーンなどがあり、そこが欠点。主演が高畑充希だから、演技は太鼓判で今さら特に何かいうことはないが、助演女優賞にしたいのが大久保佳代子。当て書きしたのかと思えるような人物で、NHKドラマ「あまちゃん」の愛人役をちょっと思い出した。「そして、バトンは渡された」も、「時間」をうまく扱って、「過去と現在を行き来する」とはわからずに時間を移動する。魅力全開というほどではないが、佳作。この映画を見たのは、ドラマ「ハコヅメ」~たたかう! 交番女子~」で見せた永野芽郁のコメディエンヌとしての演技が素晴らしかったからだ。その流れで今夏のドラマ「ユニコーンに乗って」の初回を見たが、がっかり。第2回は見ない。この夏は、NHKBSのドラマ「拾われた男」がいい。ドラマよりもおもしろいのは、NHK世界のドキュメンタリー」は、あまりハズレがない。

◆おもしろい本を求めて読んでいるが、「これはいいぞ!」という本はそれほど多くない。『世界の発酵食をフィールドワークする』(横山智編著、農山漁村文化協会、2022)は、中堅&若手研究者による発酵食品調査の旅の本。納豆はもちろん、食事にする酒の話などバラエティーに富んでいる。「研究はおもしろいぞ」という楽しさに満ちている本だ。昨日から読み始めたのが、『愉快なる地図』(林芙美子、中公文庫、2022)は、林の旅行記のなかから台湾、樺太、パリの部分を抜き出して構成した本。