スマホには保護フィルムを張った方がいい。自分で貼る自信がなければ、業者に依頼した方がいいという友人のアドバイスがあった。ネットで調べると、大手家電店で、有料でやっているという。費用は、その店で買ったフィルム代プラス1000円程度らしい。
保護フィルムは100円ショップでも売っていることは知っているが、指も生き方も不器用な私は、まっすぐ線を引くとか、まっすぐ縫うという単純な作業もできないので、手数料を払ってフィルムを貼ってもらうことにした。
某日、駅を降りて、ノジマに行った。
「スマホに保護フィルムを張ってもらえますか?」
「はい、当店でお買い上げいただいたフィルムなら、実費でお貼りいたします。で、機種はなんですか?」
「楽天の・・」
「楽天? 」。ポカーンという空白の3秒。「ああ、楽天製品はうちでは扱っていません。フリーサイズのものをお買い求めいただいて、ご自分で貼っていただくということに・・・」
ヤマダデンキに行った。やはり、同じ会話。
「ええ! 楽天ですか? ああああ・・・。ウチでは扱っていません。あちらの楽天モバイルブースで問い合わせてください」
Rakutenの幟を掲げたブースに行くと、「ここでは扱わないので、駅向こうの営業所に行ってください」
その営業所に行った。まさか「ウチでは、楽天製品は扱っていません」などと言うわけはない。ところが、そう言ったのだ。「そのRakuten handの保護フィムルは、ここにはないんです。もう品切れで・・・。楽天市場かどこかで手に入れていただくのがいいかと・・・」
そこで、電車に乗って、今持っているスマホを手に入れた営業所に行って、事情を話した。
「Handのフィルムはここにはないんです」。どうやら、見切り商品として1円で売ったスマホ用の保護フィルムはないということらしい。
「では、楽天市場で買ってここに持ってくるということですか?」
「いえ、当店でお買い求めいただいた商品ではないと、お貼りするサービスはできないんです」
そういう説明をしてくれたのは、このスマホ申請のときに、「わたし、海外旅行に行ったことないんです」と言っていた店員で、そのとき私とも手続きのことで十数分やり取りをしたというのに、「このスマホ、いつお買い求めになったんですか?」などという。2週間前に、ここで3時間かけて手続きしたということを、まったく覚えていない。私は影薄い人間なのだ。風景に溶け込む没個性の人生なのだ。
こういういきさつを、天下のクラマエ師にメールすると、「そのスマホに合う保護フィルムがアマゾンでも売っているんだから、それを買えばいいじゃない」というアドバイスがすぐに届いた。さすがに、師だ。
アマゾンで調べると、500円くらいから1500円くらいまで、さまざまある。純正ではないようだが、私のスマホに合うようだ。100円ショップの商品に感じていた問題点はふたつ。ひとつは、フリーサイズだから、自分で「切った貼った」をやらないといけないという不安。この点に関しては、決まったサイズの製品を買うから問題なさそうだ。もうひとつの疑問は、指紋認証対応かどうかだ。100円ショップの製品にはその説明がない。アマゾンで「指紋認証対応」という商品があったので、さっそく買うことにした。ガラス製だ。
商品が届いた。上下2枚で挟む保護ケースだが、手帳型のケースはすでに買ってあるので、表面(おもてめん)だけにガラスを貼ることにした。もともとサイズはぴったりで、フィルムではないから、ダラリと垂れたりまくれたりない。指示に従って、スマホ表面を付属のアルコール紙で拭い、スマホに乗せれば出来上がり。指紋認証テストも問題ナシ。
楽天スマホを買った悲しみは、クラマエ師のアドバイスで難なく解消。
でも。
練習のため、スマホのスイッチを入れて、あるアプリに接続しようとしたら、「接続に失敗しました。しばらくあとで、また試みてください」の表示。それから数時間後にも同じ表示が出て、いろいろ操作していると、「Wi-Fiに接続してください」の表示。楽天のスマホは、電波探しに苦労しているので、電気の減りが早いんです」というのが、楽天モバイル店員の説明。我がHandも、電波を探していつも長い旅に出ているようです。
で、営業所に行って、わがスマホを見せて、「インターネットにつながらないんです」といった。強く文句を言おうかと思ったが、私の操作ミスという可能性もあるので、できるだけ低姿勢にした。心の中では、もしかして、楽天との付き合いはこれが最後で、「やっぱり、ドコモか」などと言うことになるんじゃないかと思っていた。
相手をしてくれたのは、かの「海外旅行なんてしたことないんです」店員で、私のスマホを見て即座に、「ああ、機内モードになっていますね」で、解決。私はそういう設定はできないし、スマホ教室ではインターネットを使ったから、そのときに機内モードに設定されたらしい。私は、その程度のスマホ乳幼児である。楽天スマホの命はもう少し伸びた。