オリーブオイル
2013年のアジア雑語林でこういうことを書いた。576話台湾・餃の国紀行(2013年12月27日掲載)の文章をそのまま再録する。私が書いた文章だから、著作権を考えなくていいのが楽だ。それはともかく、10年前の雑語林だと、まだ576話なんですね。
10月初めのこと、あるスーパーで商品点検をしていたら、食用油売り場が日本とはだいぶ違うことに気がついた。日本人よりも油を多く使う民族だから、大きな容器で売っているということなら驚かないのだが、各種オリーブ油の点数が多いのだ。油売り場の棚の3割くらいはオリーブ油なのだ。中国料理にオリーブ油を使うのか? いくら健康ブームとはいえ、オリーブ油臭い中国料理はごめんだな。
それから数日たって、テレビのニュースを見ていて驚いた。大手食品メーカーの大統が発売しているオリーブ油は、3割は綿実油が混ぜられていたというニュース。その翌日は、その綿実油が有害物質入りだったと報じた。学校給食や軍隊でも使われている油だから、どうする!というニュース。その翌日には、ラー油は綿実油に化粧品用の着色剤を混ぜたものだったというニュース。帰国間際には、あのオリーブ油には、実はオリーブ油はまったく入っていなかったとか、米酒に米は使っていなかったとか、まあ、続々出てくる食品偽装。政治体制が変わっても、食品偽装は漢人の得意技である。日本とはレベルが違う。
それはそうと、高雄から東海岸に抜ける線路脇の山肌に見えた木々は、オリーブだったのだろうか。スペインで見た山肌のオリーブのように見えたが、走っている鉄道から素人が見たのだから、まったく信用できない話なのだが。
つい最近、あるきっかけから、この食品偽装事件のその後を調べてみると、驚くべき事実が次々とでてきた。
2013年の秋に、台湾のテレビで見た「油事件」はほんのちょっとの序章にしか過ぎなかったことがわかる。2014年になると、食品偽装事件が次々と発覚する。のちに、それを「黒心油」事件あるいは「地溝油」事件と呼ばれるようになる。
2014年、台湾と中国の食品会社が、下水に浮かぶ油を集めて少し手を加えて、工業用だけでなく食用油としても販売していたというものだ。それで思い出した。中国の食品偽装事件は覚えている。台湾のテレビで見た事件が台湾だけでなく、中国でも同じような偽装をしていたのだ。
政治と食品偽装の詳細は、この記事に詳しい。
テレビニュースは、これ。
台湾のニュスは、これ。
香港のニュースは、これ。
偶然に過ぎないが、こういう大事件の最初の報道をテレビで見たわけで、だから台湾でテレビを見ていると好奇心や探求心が刺激される。中国語をほんのちょっと勉強したことがあるだけだから、聞き取る能力はほとんどない。中国語を読む勉強も特にしてはいないから、基本的に漢字の文章を読んでいるだけだ。それでも判読していくうちに、文法が多少なるともわかり、理解が進む。ありがたいことに、台湾の漢字は日本人が使う漢字とあまり変わらないので、判読しやすい。台湾のテレビではバラエティでもドラマでも中国語の字幕が出るから、日本人には馴染みやすい。中国や香港のテレビだと、日本の漢字とは違う簡体字dからという以上に、政府広報の域を出ないから、多分、内容がわかってもつまらんと思う。
「台湾に行ったらテレビを見よう」などと言う人が、もっと多くいればいいが、どこかの雑誌で取り上げたかなあ。おもしろいんですよ、映画もね、字幕付きですよ。