1798話 旅と食い物とガイドブック その2

 

 2000年ごろに、ロンリー・プラネット社が”World Food”シリーズを出した。私は片っ端から買っていったが、全部でどれだけ出版されたのかわからない。ロンリー・プラネットのHPで確認しようとすると、「クッキーを入れれば見せたやる」という態度なので、見てやらないことにした。

 このシリーズに関してアマゾンは無力なので、別の方法で探した情報を書いておく。出版年の順は無視して、このシリーズの全貌らしき姿を書き出してみる。資料では17冊あるが、それで全部かどうかはわからない。太字は、私が買った11冊。このころ、2000年ごろ私はまだポルトガルの食文化に興味がなかったから、買っていない。「地球の歩き方」読者だけでなく、ロンリー・プラネット読者も、韓国や台湾の料理には、当時はまだ興味がなかったことがわかる。ラインナップに"Italy"が入っていない理由がわからない。

 “Spain”/Malaysia&Singapore/“France”/”Turkey”/”Portugal”/”

Japan”/”Vietnam”/”Greece”/”Thailand”/”Hong Kong”/”Mexico”/

New Orleans”/”Morocco”/”California”/”India”/”Caribbean”/“Indonesia

 このWorld Food(以下、WFと表記)は、日本の文庫本よりもやや大きいくらいのポケットサイズだ。つまり、旅の実用書を想定している。オールカラー250ページほど、紙が厚いので重い。300グラム以上あるから、ハードカバーの単行本とあまり変わらない。その点では携帯用とは思えない。

 オールカラーといっても、「地球の歩き方」とは違い、料理のカラー写真はそれほど多くない。見せる図鑑ではなく、読ませ、調べさせる構成だ。

 これはWFに限ったことでなく、欧米と日本のガイドブックの違いなのだ。日本のガイドブックは写真の情報が多く、文字情報は極めて少ない。国にもよるが、レストランガイドと商店ガイドに多くのページ数を割く。ロンリープラネットも、昔と比べればカラーページが増えたが、安宿や飯屋の外観写真をカタログのように並べる構成ではない。

 ロンリープラネットの場合は、おそらく特定のレストランや土産物屋の利益のためのガイドはしないという方針だろうと思う。「レストラン店内で豪華料理写真」というものは、現在は知らないが、当時はなかった。もしも料理の写真を撮影することがあるなら、料理の代金は支払っただろうと思う。「地球の歩き方」は推測だが、たぶん支払っていないと思う。

 WFがどういう構成になっているかよくわかる資料がある。”Malaysia&Singapore”の「試し読み」をご覧ください。次回で、より詳しく解説する。

 この際だから、情報センター出版局の「食べる指さし会話帳」のラインアップも載せておく。このシリーズのアジア料理の巻は、全部買っている。ロンリープラネットのWFと同じ時期の出版だということに関連があるのかどうかは知らない。『香港』がないのも気にかかる。香港返還は1997年で、この2000年代には日本人旅行者には、香港を「食べ歩く街」としての魅力はないと編集部が判断したのだろうか。

 『食べる指さし会話帳 1 タイ タイ料理』(2001)、『2 韓国料理』(2001)、『3 ベトナム料理』(2002)、『4 台湾 台湾&中華料理』(2003)、『5 中国 北京&は上海料理』(2004)、『6 フランス フランス料理』(2004)、『7 イタリア イタリア料理』(2008)、『8 インドネシア インドネシア料理』(2008)、『9 JAPANESE FOOD(英語→日本語)』(2009)

★蔵前さんが気がついたように、「マレーシア&シンガポール」編へは飛べなくなったので、"Vietnam"をご覧ください。カーソルを文字の上に置くと、飛べます。

 365話(2011-11-01)でも、この1798話と似たような話を書いていたと、たった今知った(自分で書いた原稿だが・・・)。それで思い出したのは、神田古本市で、ワールド・フードのシリーズの何冊かを100円で買ったそうです(他人事のようですが)。この人物もまた覚えていないと思うが、かのクラマエ師も、ちゃんと"India"を買って、しかも読んでいる。さすがですが、98%の確率で、11年前のことは覚えていないと思う。