アマゾンで本を買うことが多いので、最初に出てくるアマゾンのページは「本」だ。日ごろの購入履歴から、「さあ、こういうのはどうですか?」というお勧め本が画面に出てくる。ある日に登場したのは、『地球の歩き方 世界のすごい島300』だった。「サンプルを読む」をクリックして目次を読む。私は「できるだけ多くに国に行きたい」という願望はないし、「世界の島をめぐりたい」という夢もないので、目次に出てくる島のほとんどを知らない。タイの島でも、プーケット、ピピ、タオなどほとんどの島に行ったことがない。リゾートの島に興味がないからだ。
取り上げた300の島は当然、写真で紹介されているが、ガイド的な文章はないから、実用的効果はない。いや、真の実用的効果というのは、この本で気に入った島があれば、該当する『地球の歩き方』の巻を買って、旅に持って行ってくれということだろう。読者を旅に誘い出せれば成功なのだ。欧米では、そういう写真集が多く出版されていて、本を手にすれば、旅に行きたくなったり、かつての旅を思い出すという効果がありそうな高額の本だ。旅の本に限ったわけではないが、その類の本を英語では”coffee table book”という。ソファーの近くに置いてある写真がいっぱいの本だ。最近、日本でもそういう本が出てきたが、判型が小さく、まだ「実用」という方向を維持したままなので、文字が多く、そのせいで写真が小さくなる傾向がある。
アマゾンで勧められた次の本は、『地球の歩き方 世界の魅力的な道178選』だ。同じように目次を眺めると、島編よりも見知らぬ名が並んでいる。街歩きを趣味にしているから、街道踏破はあまり興味がないし、バスなどで横断縦断しても、街道はほとんど記憶に残っていないのだ。地球の歩き方編集部が推奨するような「魅力的な道」には、ほとんど足を踏み入れていない。これは私の趣味の問題であって、街道巡りが好きな人を非難しているわけではない(と、こういう説明をしておかないと腹を立てる人がいるから面倒だ)。
引き続き『魅力的な道178選』の目次を眺めていたら、橋が20本ある。ちなみに、橋の数量詞(数え方)は、本、架、基、橋などいくつもあるようだが、ここでは「本」にしたが、特に意味はない。この20本の橋のなかで、渡った記憶があるのは2本だけなのだが、橋のリストを眺めているうちに、橋の話を書いてみたくなった。橋マニアではないが、記憶の奥底に沈んだままの橋の思い出を書いてみたくなったのだ。『地球の歩き方』は、橋だけで1冊の本にできたと思うのだが、それは無理な企画なのだろうか。私の想像力がマイナーだろうか。橋がマイナーな建造物だとは思えないのだが、旅の話としてはマイナーなのかもしれない。
次回から、記憶に残る橋の話を書いてみよう。