1912話 言葉は実におもしろい。地道に勉強する気はないけれど・・・ その23

 

再録 3

 外国語のカタカナ表記はむずかしいことはよくわかっている。しかし、その難しさとは別に、「なんだよ、それ」と言いたくなる表記が少なくないのも事実だ。その点を指摘した過去のコラムを再録する。

 204話2007-11-05)で、ビルマ語のカタカナ表記について書いた。その一部を再録。

 『漁師』(チェニイ、河東田静雄訳、財団法人大同生命国際文化基金、 2007、非売品)のおもしろい部分の紹介はあとにして、先に文句を言っておこう。訳者の河東田(かとうだ)さんとは面識があるし、お世話になったこともあるのだが、しかし、やはり書いておかねばならない。この奇妙なカタカナ・ビルマ語のことだ。

 主人公の名は、「ダァゥンセィン」、その女房の名は「メェセィン」というように、誰にも発音できない奇妙なカタカナが次々に出てくる。ビルマ語の綴りや 発音のニュアンスなど、カタカナで表現する必要はない。ビルマ語がわからない日本人読者のために日本語に翻訳しているのだから、ビルマ語がわかる人のため に凝りすぎた(だから誰も発音できない)カタカナ表記を作り上げることはないと、韓国語やタイ語の翻訳についても何度も書いているが、これからも飽きずに 書き続ける。

 

 297話(2010-12-03)で、『韓国人の作法』(金栄勲、金順姫訳、集英社新書、2010)を取り上げ、こういうことを書いた一部。

 

 内容に入る前に、訳文について書いておく。私はもう何度も書いているのだが、はっきりいって、韓国関連の文章を書く人の言語感覚は最低である。韓国語の単語をカタカナで表記するのは、ハングルが読めない日本人のためだという基本がわかっていないから、「カクトゥギ」や「コドゥルベギキムチ」(原稿ではクとルを小さく打ったのだが、このブログフォームでは、どうやらそのまま表示されないらしい)のような奇妙なカタカナ表記が現れるのだ。韓国語会話の教科書でやるなら、ローマ字や数字が入った文章だろうが、自由に表記すればいいが、一般書で、こういう表記をするべきではない。こういう変なカタカナでもっとも多いのは「キムチ」(ムを小さく書く)だ。kimuchiではなく、kimchiだからと、「mのあとに母音がないから、ムを小さく書く」というようは表記を、韓国語(朝鮮語)教師が考えついて、授業か教科書で使い始めたのだろうが、そういう変則表記を一般書でするべきではないということが、なぜわからないのか。かつては、タイ語でもインドネシア語でも、母音のない子音は小さく表記していた人がいたが、いまはなんとか淘汰された。

 『「韓流」と「日流」』(NHKブックス、2010)の著者は、自分の名を「コン・ヨンソク」から「クォン・ヨンソク」と表記を変えたことを誇らしげに書いているが、どっちみち日本人には「コン」か「クオン」としか発音できない。ローマ字で「Lee」と書いて、外国人に「イ」と読ませるのも傲慢である。このあたり、タイ人も同じなので、別の機会に改めて書く。

 2023年の補足。韓国人Lee氏は、アメリカ人やドイツ人には「リーです」と自己紹介するだろうが、日本人には「イ」と言わせるのは変じゃないかいという話は、何度も書いたが、韓国人はこの矛盾に気がついていないらしい。

 外国語のカタカナ表記について何度も書いているので、あとはリンクで紹介しておこう

 144話 まず、日本語を 韓国語のカタカナ表記など

 1628話 名前の話 4 タイ語のローマ字表記について

 『韓国語楽習法』(黒田勝弘、角川新書、2022)も、この不愉快なカタカナ韓国語を使っている。「教科書だから」という言い訳だろう。