2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

1776話 経年変化 その7

◆野菜 昔の野菜は苦く、臭く、堅かった。私の子供時代でも、キュウリは苦く、トマトはすっぱかった。生のまま食べられるニンジンはなかった。 野菜の味でいつも思い出すのは、ジャンポール・ベルモンドの映画だ。「オー」だったかどうかはっきりした記憶はな…

1775話 経年変化 その6

今回は、食べ物の好みの変化の話をしようか。毎日のことだから、話はいくらでもある。 ◆果物 まずは、果物の話から始めるか。少年時代、柿の産地である奈良の山奥に住んでいた。ウチの庭にも柿の木があり、毎秋、たわわに実った。その季節になると、おやつは…

1774話 経年変化 その5

◆音楽 今度は真正面から音楽と経年変化の話を。 たぶんイギリスのテレビ番組だったと思うが、ビートルズやローリング・ストーンズのメンバーがまだアマチュアだったころ、どんな音楽を聞いていたかというインタビューで、1950年代から60年代初めのイギリスの…

1773話 経年変化 その4

ヒマにまかせて、昔と変わったことをいろいろ考えている。 ◆テレビ 少年時代は、友人たちと同じようにテレビが好きな子供ではあったが、「テレビばっかり見てんじゃない!」と叱られたこともあって、毎日とか毎週、楽しみにしていた番組は多くない。私がガキ…

1772話 経年変化 その3

◆旅行 旅行先は、たしかに変わってきた。関心がアジアからヨーロッパへ移っていった理由は、地域の違いというよりも、雑踏が嫌いになったという理由の方が強い。2000年代に入り、母の体調が悪くなり、できる限り自宅で過ごすことが多くなり、東京の雑踏も苦…

1771話 経年変化 その2

体形や体力などの経年変化ではなく、趣味嗜好などに経年変化があるのだろうかと、ひまつぶしに考えてみた。世間でよく聞く、「年をとったら、肉よりも魚よねえ」とか、年を取ると詩吟に盆栽、日本舞踊にローンゴルフに精を出すというような変化が私にあるの…

1770話 経年変化 その1

昔から、正座して食事をすることになっていた。初めは親のしつけだが、正座して食事をするのは好きだった。朝食だけは書斎で食べるから椅子に座っているが、椅子にあぐらをかいていることも少なくない。 ある日のこと、食事を終えて立ち上がろうとしたら、ヒ…

1769話 思い出しあっあ~

「あんときは、おもしろかったよなあ」と、ふと笑ってしまうようなことを「思い出し笑い」というのだが、過去の悔しかったことや悲しかったことやうれしかったことを思い出しても、「思い出し悔し」とか「思い出し悲しみ」とか「思い出しうれし」などとは言…

1768話 ある「農民作家」が語る「私たちの戦後五十年」

7月10日、作家の山下惣一さんが亡くなった。面識のない人だから、普通は敬称略で書くのだが、いろいろ教えてくれた人だから、山下さんと敬称をつけたい。 山下さんの本を最初に読んだのは、「タマネギ畑で涙して」(1990)だった。その本がタイの農村探訪記…

1767話 日々雑話

◆7月9日土曜日の昼前のこと、このアジア雑語林や雑誌の原稿の下書きに手を入れようと、Wordから原稿を取り出そうとしたら、「サインインしてください」という表示が出た。いつもなら原稿のタイトル名をクリックするとすぐに下書き原稿が出てくるのに、どう…

1766話 アメリカ・バス旅行1980 その13(最終回)

最期に、映画の話を少ししておこうか。 アメリカに行ったら、ぜひ見たいと思っていた映画が2本ある。1本はジャニス・ジョプリンをモデルにした「ローズ」。主演はベッド・ミドラー。製作は1979年だが、日本で公開されたのは帰国後の80年の末だった。「ブル…

1765話 アメリカ・バス旅行1980 その12

例によって、知り合いの知り合いの知り合いという極細の糸をたどって、ニューヨーク市立大学の心理学教授と知り合った。彼は、もともとは放送局の機械技術者だったが、バングラデシュで技術教育をしていたことがある。そのとき、異文化と心理といったテーマ…

1764話 アメリカ・バス旅行1980 その11

ニューヨークで小さなラジカセを買った。遅ればせながらインタビューを録音するためだが、録音を聞いたらよく理解できるというわけではないので、もっぱらラジオを聞いていた。 ニューヨーク滞在中はいつもラジオで音楽を聞いていた。ありがたいことに、24時…