ヒマにまかせて、昔と変わったことをいろいろ考えている。
◆テレビ
少年時代は、友人たちと同じようにテレビが好きな子供ではあったが、「テレビばっかり見てんじゃない!」と叱られたこともあって、毎日とか毎週、楽しみにしていた番組は多くない。私がガキだったころでも、学園ドラマや青春ドラマなど「アホらし」と思って見ていない。小中学生時代に熱心に見ていたのは、こんな番組だ。
「海外特派員報告」(1964~1977)
「現代の映像」(1964~1970)
「新日本紀行」(1963~1981)
いまでも「世界のドキュメンタリー」といった番組を見ているから、傾向は同じだ。再取材した「よみがえる新日本紀行」も見ていて、日本の変化を確認している。
昔からドラマはほとんど見ていない。いわゆる「トレンディードラマ」(1980年代後半から90年代前半)に、自宅でゆっくりテレビを見ているという生活はしていないので、まったく見ていない。
NHKの朝の連続テレビ小説というものは興味もないし、放送時間に自宅にいるという生活はしていないので、見ていないのだが、ずっとあとになって総集編の「おしん」は見た。アジアで話題になっているということで興味を持ち、タイ人は「し」が発音できないので「オチン」になるのだが、伝説の歌手プムプワンが「私もオチンのような人生でした」と語るインタビュー記事を読んで、ドラマを見たくなったのだ。総集編に続いて、全話再放送を知ってVHSに録画を試みたが、初回は録画を忘れてしまったものの、ほぼ全話見て、「なるほど」とわかった。奉公、縫製、屋台、露店など、貧しい家庭に生まれたタイの女たちの生涯が、昔の物語としてではなく現代ノンフィクションとして「おしん」が見られていたことがわかった。
ハードディスクのおかげで、第1話から最終回までまとめて録画して見た初めての朝の連続テレビ小説は、「カムカムエヴリバディ」だった。ジャズが絡むから見てみたいと思ったのだ。
それまでドラマをほとんど見なかった私がドラマを見るようになった理由は、ふたつある。ひとつは、自宅で過ごすことが多くなったからであり、もうひとつは、ハードディスクを使えるようになったからだ。これで、放送時間を気にすることはなくなった。
有料動画配信サービスはwowowだけ契約している。ほかのサービスで見たいと思う映画やドラマはあるが、とても見る時間はないから、もうこれでいいと思う。探せば、YoutubeやGYAOなどでも映画を見ることができるから、もういいということにしている。
ついでにラジオに関してちょっと言っておくと、ラジオの聞き方を変える気はなかったのだが、ラジオが変わってしまった。かつてFMラジオは音楽局でもあったのだが、いまではおしゃべり放送局になっている。AM局のおしゃべりとはちがい、うすっぺらな内容を抑揚のない早口でしゃべる番組が多い。1988年開局のJ-WAVEは、「日本語の歌は当社の方針に合わないので、放送しません」などと宣言し、DJも英語でやると突っぱったが、惨敗し、いまではおしゃべり局になっている。
今よく聞いている番組の中では、NHKFMの「ジャズ・トゥナイト」がベストだ。ロックは好みではないがピーターバラカンの「ウィークエンド・サンシャイン」や「バラカン・ビート」(インターFM)、そしてほかに、月1週の放送だが、サラーム海上の「エキゾチック・クルーズ」(NHKFM)などを聞いている。
しかし、CDやYoutubeで音楽を聞く方が多くなっている。
ラジオの電源を入れたら、たちまちご機嫌な音楽が流れだすという体験は、もう過去のものだ。トランジスターラジオ、ラジカセ、エアーチェック、ダビング、そしてウォークマンの時代で、音楽を聞きたくてラジオのスイッチを入れるという行為はなくなった。