1951話 格安航空券情報サイト

 

 コロナ禍では、航空券情報など調べても意味がないので無視していた。この時期に、航空券相場はどうなっているんだろうかという興味が少しはあったが、旅行できないという絶望感が強くて、航空券情報を探ろうという気になれなかったのだ。

 風の噂では、今外国旅行をする日本人は金持ちばかりで、ビジネスクラスは混んでいるが、エコノミーがすいているとか、ハワイなどホテル代がとんでもない事になっていて食費も高く、円は安く、「貧乏人でものんびりハワイで過ごす」という時代はとうの昔に終わりましたと報じるラジオ番組もあった。ツアーの広告では、「ビジネスクラスで行く・・・」という文字が目立つ。

 そういう状況で、格安航空券情報サイトはどうなっているのか、さきほど探ってみた。調査時期は、2023年8月中旬だ。仮の旅行計画は、タイだ。東京・バンコクの往復航空券を買うことにした。遠い地だと経路が複雑になってややこしいから、単純なルートを選んだ。出発日は9月21日、帰国日は10月11日。この目的地や期間に、とくに意味はない。適当に考えただけだ。

 エアトリでもっとも安いとしているのは、ベトナム航空のもので、29900円。往復ともハノイ乗り換えで所要約10時間30分。これなら安いと思いつつ詳細を調べると、こうある。

 航空券代金・・29900円、海外諸税(燃油込み)31720円、空港施設使用料・・2660円、取り扱い手数料・・300円 合計67280円

 「29900円!! 安いよ」と客を集め、「じゃあ、買うか」となったところで、「合計は、こうです」と総額を表示する詐欺まがいの商法だ。パソコンを買うなら、「モニターは要らない」とか「officeは要らない」と要求することができるが、航空券の場合「燃費サーチャージは要りませんから」などという削除要求はできない。総額表示をしないのは、インターネットで航空券を買い始めた初心者を惑わす商法だ。

 HISのサイトで同じ条件で調べると、もっとも安いのはタイ・エアアジアXの直行便で所要6~7時間で、支払総額は64950円。LCCだから、希望次第で料金が加算される可能性があるから、LCC航空券に関するちょっとした知識が必要だ。荷物が重いと料金が加算されるといったルールがわかっていないと、場合によってはかなり高額になるかもしれない。

 Skyscannerで調べると、この条件での最安値は41820円。往路は所要6時間50分。復路はクアラルンプール経由で所要12時間。これで「安い!」と判断してはいけない。20キロまでの手荷物枠料金を加算すると、63880円だ。

 コロナ前までずっと使い続けていたのがトラベルコだ。このサイトで調べると、バンコク便のもっとも安いのは、エアアジアのもので、40571円。KL(クアラルンプール)経由だ。所要往路23時間、復路14時間というとんでもないフライトで、往路は、羽田⇒(7時間)⇒KL(乗り継ぎ13時間+2時間15分)⇒ドンムアン空港。KLに朝到着し、出発は夕方だから、市内観光や食べ歩きもしたいなら、悪くないスケジュールだ。帰国便は、KLの乗り継ぎ時間は4時間だから、空港で時間をつぶした方がいい。この航空会社もLCCだから、受託手荷物料金は別だ。

 格安航空券情報を探すときに気を付けた方がいいのは、mytripという旅行会社だ。コロナ禍前から気になっていた会社で、トラベルコで検索すると、「最安値」という結果のリストにmytripという会社名がぞろぞろ出てくる。なんだ、この会社は?と調べると、えらく評判が悪い。ほかにもココ。さらに調べると、トラベルコは悪評高いmytripと連携関係にあるとわかった。だから、トラベルコで検索しても、mytrip以外の会社から買うことにしている。

 それでもトラベルコを利用するのは、海外発着便を調べて、航空券購入ができるからだ。例えば、イタリアに行くついでに、マルタに寄ろうとか、ローマからサルデーニャに飛ぼうと考えても、手軽に航空券が買える。

 実際に旅行する気がなくても、トラベルコで机上の世界旅行遊びができる。ヤフーの「路線情報」がときどきとんでもないアホなルートを示すことがあるのだが、それと同じように、ドバイ経由の東京・コルカタなんていう航空券や、片道24時間かかるベトナム経由の成田・バンコク便を見つけたこともある。5年ほど前のことだが、モスクワ経由のヨーロッパ便が安かったのだが、乗り換えるモスクワで20時間だったか30時間だったか滞在する。ロシアはビザなし入国ができないから、モスクワで1日か2日過ごすならビザを取っておく必要がある。両替の心配もあるから、この便は不可と認定した。そういう仮想旅行遊びは楽しい。実際に使ったのは、東京・ヨーロッパの便(南回り)で、バンコク乗り換え。往復とも早朝バンコク着、夜出発だから、友達と昼飯と夕飯をゆっくり食べる時間が取れた。観光などしないから、これでいいのだ。

 便によっては、乗り換え時間に「市内観光にご招待」というのもある。天下のクラマエ師ご夫妻は、そういう幸運をつかんでいる。さすが、師である。