1697話 日々雑話 その2

 

業務スーパーで売っている葱抓餅(ツォンジュアビン)は、インドのパイ風薄焼きパンのパラータやマレーシアのロティの代用になる。1袋で3人か4人前。

カレーとラーメンが日本人は大好きだが、カレーラーメンは広まらない、カレーうどんは専門店も冷凍食品もあるのに。

韓国映画の話を2本。WOWOWで、アカデミー賞受賞俳優ユン・ヨジョン特集をやっていた。見た作品もあるが、一応全部録画しておいた。そのなかで、予備知識ナシで見た「バッカス・レディー」がすばらしくいい。衝撃的作品だ。韓国の国民的俳優ユン・ヨジョン(1947~)が小さなビルの階段を上がっていく。クリニックだ。診察を受けて、「淋病です」と診断されるところから映画が始まる。若いころはアメリカ兵相手の売春婦で、超ベテランとなった今は、老人相手の売春婦となっている。1回2~3万ウォンだというから、日本円にすれば2000~3000円だ。病院を出て、その後どうなるかという展開は、ここでは書かない。日本人には幸運にも、gyaoで2月24日まで無料で見ることができる。トランスジェンダーや在住アジア人など登場人物の間口が広い。日本人のヤクザも出てきて、訛りのない日本語をしゃべる。キャストを見ると韓国人名だから、在日韓国人か。全身刺青の男が数秒出てくるだけのために、刺青メイクをするとは思えないので、モンモノか。タイトルにでてくるバッカスは、日本で言えばリポビタンD。路上で、これを売るという口実で老人に近寄り、ホテルに誘う。こういう女性を、韓国語でバッカス・ハルモニという。

 この映画の原題は「죽여주는 여자」で、独学で韓国語マスターというサイトを読むと、「わたし、うまいのよ」と自慢する主人公が、男殺しのテクニックで絶頂を味合わせてあげるという売り文句「死なせてあげる」(killing you softly・・・だ)という意味と、もうひとつの裏の意味があることが、見ていくとわかる。まずは、予備知識なしに、映画をご覧ください。

 もう1本は、「国際捜査」。アクション・コメディーで、特に名作というわけではないのに、ハードディスクからすぐさま「削除」にしなかったのは、脇役俳優集合映画だからだ。日本式にいえば、「バイ・プレーヤー」映画ということになるか(byplayerは和製英語)。日本人にもっとも知られた顔は、「焼肉ドラゴン」のキム・サンホか。「バッカス・レディ」は韓国映画を初めて見るという人でも堪能できるが、この「国際捜査」は韓国映画を数多く見た人向けで、「おお、ソン・ヒョンジュがいきなり登場か」といった楽しみ方ができる人向きだ。決して、駄作でも愚作でもないが佳作とは言いにくい。

江戸時代の通訳に興味があって、少し調べている。そのなわけで、NHKのドラマ「わげもん」を見た。日本にあこがれて密入国したアメリカ人ラナルド・マクドナルド

という興味ある人物も登場する。『海の祭礼』(吉村昭)を読んでいるので、「おお、出て来たか」という感じで見ていた。このテレビドラマは、マンガが原作かと思って調べると、「脚本 宮村優子」とある。どっかで聞いた名前だなあと思って調べると、大河ドラマなど数多くのドラマを書いている有名脚本家のようだが、あまりドラマを見ない私は知らない名前だ。ウィキペディアの記述で『ANO・ANO』(JICC出版、1980)の著者のひとりと知った。出版当時はキワモノ的だったが、見事に成長したようだ。とはいえ、このドラマを最終回まで見たが、ミステリィー仕立てにしたのが、私には余計な構成に感じた。

何の脈絡もなく、「洞穴住居」が頭に浮かんだ。いままで何か所かで見ているが、今頭に浮かんだのはイタリアかスペインだと思うが、どの街の近くだったのかさっぱり思い出せない。翌日になっても思い出せなくて気になったので、このアジア雑語林の「ブログ内検索」で調べたが、出てこない。ブログにあの洞穴のことを書いたと思ったが、どうやら書かなかったらしい。グーグルで「イタリア 洞穴住宅」で検索するとマテーラが出てくるが、そこじゃない。「スペイン 洞穴住宅」は、ヒットが多すぎる。そこで、パソコンに保存してある写真からスペイン分を点検していったら、グラナダだとわかった。ネットで調べると、気になっていたのはサクロモンテの洞窟住宅だ。だから、どうしたという話ではない。ただ気になって調べただけだが、なぜあの洞穴住居のことをブログに書かなかったのかなあ。

 1回の旅で何十カ所も立ち寄る人は、自分がどこに行ったかどれだけ覚えているのだろうか。あなた任せのツアーだと、もっと記憶が薄いんじゃないかな。それを恐れる人は、「ツアー日程表」に写真を貼る「旅日記」を作っていたのかもしれない、昔はね。