478話 本を買って、くやしい思いをする

 新刊書店で、おもしろそうな本を見つけた。『韓国鉄道の今と昔をとことん楽しむ本』(やまだ トシヒデ、秀和システム)なのだが、同じ著者が同じテーマで何冊も書いている本が何冊かある。出版社が同じだから、デザインも同じで、書名もほとんど同じだからまぎらわしい。そのなかで、もっともおもしろそうなその本を選んで買った。帰宅して袋からその本を取り出すと、『韓国の電車と地下鉄をとことん楽しむ本』が出てきた。本をレジに持っていくときに、間違えたのだ。ああ。
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E5%9B%B3%E8%A7%A3-%E9%9F%93%E5%9B%BD%E9%89%84%E9%81%93%E3%81%AE%E4%BB%8A%E3%81%A8%E6%98%94%E3%82%92%E3%81%A8%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%93%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%82%80%E6%9C%AC-%E3%82%84%E3%81%BE%E3%81%A0-%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%92%E3%83%87/dp/4798032735/ref=sr_1_12?s=books&ie=UTF8&qid=1357269399&sr=1-12
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 このように、本を買って,くやしい思いをすることはしばしばある。例えば、こういうことだ。
その1  買った本のタイトルと内容がまったく別だと気がついたとき。ジャケット(俗に言うカバー)と本が別物だったというのではない。羊頭狗肉といえばいいか、タイトルと内容が大きくずれている本のことだ。書店で買った場合は、充分にチェックしなかった私が悪いのだが、「でも、このタイトルじゃあなあ」とわが身の不幸と不注意を嘆くのである。期待したほどおもしろくないというのはよくあることだが、詐欺まがいの本にひっかかると自己嫌悪に陥る。安手の文庫や新書で、こういう犯罪に出くわすことが多い。
あるいは、内容がよくわからないまま書名を手掛かりにネット書店で買った場合、出来のいい本でも私が望む方向の本ではなかった場合は、「しかたがないことだ」とあきらめるしかない。
その2 読みたい新刊書だが、4500円だとする。高いからどうしようかと、しばらく悩んで、でも欲しい、今すぐ読みたい。「よし、買おう」と大決心をして神保町で買ったあと、古本屋でその本を見つけて「2800円」という値札がついていたとき。ああ!
その3 読みたい本だが、3900円も出すほどではないなあと何年も思い買わないでいた本が、古本屋で1800円だった。喜んで買ったあと、その本はすでに文庫になっていると知ったとき。
その4 アマゾンのマーケットプレイスでは、古本が1円で売っていることがある。1円でなくても10円や100円でも安いので、上のような体験を多くしていると、買いたい古本がある場合、まずはアマゾンをチェックする習慣がある。ある年のこと、定価2800円の本の最低価格が1900円で売られていて、「もう少し安くなれば、買ってもいいが、まだ高い」と思った数週間後、1480円になっているのを知った。翌日は1100円。その翌日は、1099円、1098円、1048円と下がり、安売り戦争が始まった。まだ下がる予感がして注目していると、ついに780円、779円になり、「あと、もう一段下がれば、買おう」と思っているうちに、一気に「買い」が入り、1日で最低価格が1480円に戻ってしまった。それほど欲しいと思っていた本ではないが、欲を出して失敗したが、買わないで済んだので勝ともいえるか。
その5  この人の本なら、内容なんぞ確認せずに買うという著者がいる。新刊書店でその人の最新刊を見つけ、高い本だがすぐさま買い、帰宅してすぐさま読んだら、ひと月前に買った本だと気がついたとき。ブックオフの105円の本なら、買ったかどうか、読んだかどうかという記憶があいまいでも、「まあ、いいか」とちゅうちょせずに買えるのだが、3000円を超えるその本の場合は、のちのちまで落ちこんだ。ああ、麩のような我が脳みそよ!
その6 好きな書き手や分野の新刊が出たので、喜んで買ったら旧刊の書名を変えたものだったとき。ちゃんとした文庫だと、親本の名を明示したり、その本を「加筆、訂正したものです」と書いてあるが、そういう説明のない文庫本を、急いでいる時あわてて買うと、安いからつい油断してしまい、失敗することがある。
その7 新聞で、書籍広告に読みたい本があった。買おうかどうかちょっと考えて、書店で現物を見て、買ったその日に,その本の著者や版元からその本が送られてきたとき。ハムやチーズなら重なってもいのだが、本は2冊いらない。友人に回すと、送料がかかる。