2011-01-01から1年間の記事一覧

317話 韓国焼肉事情に変化 1/2

韓国の本を多く書いている鄭銀淑(チョン・ウンスク)さんの本は、出れば必ず買う。すべてが傑作ということはないが、韓国在住の韓国人ライターだから、日本人ライターが書く文章とは取材の深さが違う。 だが、最新刊の『韓国の人情食堂』(双葉文庫)は、残…

316話 うまいうどん

東日本のうどんは、どうも好きになれない。しかし、ある事情で、立ち食いそば屋で食事をしなければならないとしたら、ためらわずうどんを注文する。まずいうどんでも、まずいそばよりましだからだ。あっと、ここでそばの話を書きたくなったが、今回はうどん…

315話 本棚のまわりで

生まれて初めて机の下に潜り込むほどの地震だった。CDで、ブルガリアン・ポリフォニーを聞いている時に揺れが始まり、AMラジオに切り替えて、机の下にもぐりこんだ。 机の上に積んだいくつもの本の山がくずれていくのがわかった。音が大きかったのは本よ…

314話 ワード&エクセルが嫌いだ

アジア雑語林がアジア文庫HPから、このHatena Diary内に引っ越してきてしばらくたつが、いまだになじめない。うまく使えないのだ。 原稿はワードで書いて、それをコピー&ペーストしているのだが、ワードでちゃんと書いた原稿が、移転するとぐちゃぐちゃに…

313話 1970年の世界料理 4/4

じつは、大阪万博の食べ物事情のコラムは前回で終了していた。3回目の最後の行に「この項 終わる」と書いて、「保存」したのだが、発表するまでの間に、『昭和旅行誌』(森正人、中央公論新社、2010)を読んだことで、3回では終われなくなった。この本は、…

312話 1970年の世界料理 3/4

アメリカン・パーク館内のレストラン運営は、アメリカの大レストランチェーンであるハワード・ジョンソンが担当することになっていたのだが、経営状況を試算してみると、どう考えても赤字が確定と思われた。そこで、共同で運営しようと話を持ちかけられたの…

311話  1970年の世界料理 2/4

『日本万国博覧会 公式ガイド』の食事案内のページは二か所に分かれていて、「日曜広場」など広場のレストランと、それぞれの国の展示館内のレストランに分けて紹介している。当然、開催前に作ったガイドだから、情報があまりに乏しいが、とにかく紹介してみ…

310話 1970年の世界料理 1/4

初めてインド料理を食べたのは、インドではない。新宿中村屋のようにカレーを出す西洋料理店でもない。日本最初のインド料理店と言えるのは、1949年創業のナイル(銀座)だろうが、そのナイルで食事したのは、初めてのインド旅行から帰国してまだ間もない頃…

309話  YOUTUBE遊び

パンソリを聴きたい気分だったので、パソコンの電源を入れた。パンソリは朝鮮の伝統的語りもの芸で、節をつけて物語を語っていくもので、私は「ちょっと好き」という程度なので、CDはまだ持っていない。YOUTUBEで「パンソリ」と検索すると、以外にもヒット…

308話 事実を書くということ

沢木耕太郎は、そのデビュー作『若き実力者たち』(1973年)がまだ単行本になる以前に雑誌掲載時に読み、その才能に感嘆にし、衝撃を受け、以後しばらくは、沢木の本を読み続けることになった。ところが、『テロルの決算』(1979年)を最後に読まなくなった…

307話 同じ話をまた書くということ

読者の「また、その話を書きやがって、同じネタで何回稼ぐつもりだ」という批判が恐ろしくて、極力同じ話は書かないようにしていた時代がある。 ある作家が雑誌や新聞に書いた文章を集めたアンソロジーを読んでいると、同じ話が何度も出てきてうんざりさせら…

306話 第五帝国の「木の葉の海」 その3

2002年か03年ころに、このCDについてインターネットで調べると、一件だけだが日本語での感想が書いてあったのを覚えている。好意的な感想だったが、このCDに関する情報は何も書いてなかった。 というわけで、このCDについてなにもわからないまま、帰国…

305話  第五帝国の「木の葉の海」 その2

スペインからポルトガル北部に入り、徐々に南下してリスボンに着いた。宿に荷物を置いて、すぐさまタワーレコードに行こうとオウロ通りを歩いていたら、路上で歌声が聞こえてきた。建物の前に腰をおろして歌っているのは、なんとドナ・ローザばあさんではな…

304話 第五帝国の「木の葉の海」 その1 

たまたま、インターネットでファドに関する日本語の本を知った。ファドというのは、誤解されるのを承知で大胆に説明すれば、ポルトガルの歌謡曲である。その本は、『インターネットラジオ「ファドの時間」公式ガイドブック』(M.T.E.C,2010.)という。…