2011-01-01から1年間の記事一覧

347話 朝鮮語とキムチをめぐる韓国映画2本

韓国映画を2本まとめて見た。 パク・ヨンハの遺作となった韓国映画「作戦 THE SCAM」を見始めて15分くらいたったところで、「あれ、これ、見たよな」と気がついた。DVDデッキのHDDに録画した番組がかなりたまってくると、ついつい早送りで一気に見…

346話 思い出のアフリカ文学

きのう、近所の比較的大きなブックオフに行ったら、外国書コーナーの本が増えていて、日本在住外国人が大地震と津波のせいで引っ越しをしたのだろうかなどと思いつつ、棚の本を点検していたら、意外な書名が目に入り、「二度見」してしまった。 “Things Fall…

345話 お昼寝の音楽

ラジオから流れてきたあの音楽を聞いて、数十年前のことを思い出した。 あの時も、ラジオから流れてきた音楽を聴いていて、「ああ、これ。これだったよなあ」と気がついたことを思い出したのだ。幼稚園のときの、お昼寝の音楽だ。音楽が終わり、ラジオのアナ…

344話 NHKブックスが輝いていた時代    2/2

引き続き、NHKブックス既刊のなかから、私の記憶に残っている本のリストを書いていく。 『スワヒリの世界にて』(和崎洋一、1977)・・・詳しい内容はなにひとつ覚えていないが、ワクワクしながら読んだ記憶ははっきりとある。 『稲の道』(渡部忠世、197…

343話 NHKブックスが輝いていた時代   1/2

近頃、NHKブックスをほとんど読んでいない。「もう、NHKブックスはなくなったのだろうか」と思って調べてみると、今も新刊が出ていることがわかった。その程度の認識しかないということだ。 その昔、外国といっても欧米ではなく、アジアやアフリカに興…

342話 井上ひさしさん、それはちょっと違うよ

井上ひさしが書いた日本語関連の本はほとんど読んでいるが、おそらくはその最後の本になるだろうと思われるのが、『日本語教室』(井上ひさし、新潮新書、2011)だ。この本は、2001~02年に上智大学で4回にわたって行われた講演を筆記したもので、えらくまと…

341話 『拙者は食えん!』から、ふたつ目の話

徳川幕府は、日米修好通商条約の批准書交換のために、1854年に派遣した使節は、その元号にちなんで「万延元年遣米使節(まんえんがんねんけんべいしせつ)」という。旅行ルートは横浜からサンフランシスコ。そのあと、船でパナマ経由アメリカ東海岸。パナマ運…

340話 『拙者は食えん!』から、 ひとつ目の話

幕末に西洋に渡った使節団などの食文化ショックを日記から探った『拙者は食えん! サムライ洋食事始』(熊田忠雄、新潮社)を書店で見かけ、「さて、買おうか」と考えたものの、「きょうもいっぱい買ったから、また今度ね」と棚に戻した。その数日後、新聞で…

339話 間取り図を読みたい

新聞の折り込み広告のなかで、見もせずに捨てるのは、求人と墓地の広告くらいだろう。スーパーマーケットなどの実用情報は、行きつけの店だけ残し、あとは見ずに捨てる。ちょっとでも安く買うために、えらく遠い店まで遠征するタチではない。買う気はないし…

338話 私の韓国映画ベスト20

私は韓国研究者でもないし、とりたてて映画ファンというわけでもないが、考えてみれば、韓国映画はけっこう見ているような気がする。韓国に限らず、テレビドラマはあまり見ないが、映画だと、とりあえずは触手が動く。 どこの国の映画であれ、初めから見る気…

337話 コンビニエンスって、知ってる?

というわけで、前回ちょっと書いたように、「ついついモノのはずみで、注文してしまった」本がさっき到着した。イギリスに注文して、1週間で到着したわけではなく、この文章はまとめて書いているので、タイムラグは結構ある。現実は、注文後2週間ほど後に…

336話  つるつるのトイレットペーパー

ロンドンの大英博物館のトイレットペーパーのことは、いまでもはっきり覚えている。トレッシングペーパーのようにつるつるの紙で、航空便用の便せんに似ていたが、便せんの紙よりまだ厚かった。だから、私は便せん用に少々いただいて利用していた。吸水性に…

335話 トイレでは、ちょっとかがんで

知人がニューヨーク生活を終えて帰国して、久しぶりに雑談をした。もうとっくに40歳を超えているのに、「私、ビールを注文したら、『身分証明書を見せてください』なんて、よく言われたのよ。未成年だと思われるのよね」などという自慢話から、バーやレス…

334話 やっぱり買ってしまったトイレの本

年に何回か、あるキーワードを使ってアマゾンで本探しをやっている。著者名での検索は、このところの出版不況のせいか、好きな書き手の新刊はほとんど見つからない。活きのいい若い書き手の登場もない。だから、テーマなどで検索する。 外国書の場合は、“Tha…

333話 Dulce Pontesって、どう発音するの?

6月30日のNHKプレミアム「アメージング・ボイス」で、ポルトガルの歌手Dulce Pontesが登場するらしいが、その話の前に、彼女の名前をどう発音するのかという疑問について語りたい。 「旅行人」最新号に、ポルトガルのファドの話をちょっと書いたのだが、…

332話 最近の若者は・・・・

「近頃の若者は・・・」という苦言は、古代から言われ続けているそうだが、ここ10年ほどの間に耳にした「最近の若者像」というのは、次のようなものらしい。以下の指摘が正しいかどうか、まったく知らない。伝説のようなものもあって、確認のしようもない事…

331話 教養がないと困るのか 3/3

例によって、雑語林用の原稿を書いてしばらく寝かせている間に、新たなネタが見つかって、本来2回のはずのこの項目が全3回に延長することになった。団伊玖磨のエッセイシリーズ「パイプのけむり」から、旅関連のエッセイだけを選んだ『旅にしあれば』(朝…

330話 教養がないと困るのか  2/3

いままで、教養の無いまま生きてきて、困ったことは何もない。だから、このまま無教養の人生を歩んで行くはずだったのに、ちょいとしたことがきっかけで、教養がないことで苦労することになってしまった。西洋世界に足を踏み入れてしまったからだ。 ある日、…

329話 教養がないと困るのか  1/3

いまさら、わざわざここで言うまでもないことだが、私は教養の無い男である。教養が無い理由の半分は、頭が悪いから教養を身につける学力に欠けているからであり、もう半分は、「そもそも教養なんて、バカらしい」と思ってきたからでもある。 学校の勉強をき…

328話 “On the Road”は、『オン・ザ・ロード』の方がいいのか

ジャック・ケルアックが1957年に発表した”On the Road”が、河出書房新社の世界新文学双書の1冊として、『路上』(福田実訳)のタイトルで出版されたのは1959年のことである。その後何度か姿を変えて出版され、河出文庫に入ったのは1983年だ。 この小説が、…

 327話 ザ・ブルー・ダイアモンズって、知っていましたか?

ラジオのスイッチを入れたら、漫画家の弘兼憲史の声が聞こえ、番組のゲストはニッポン放送の元アナウンサー斉藤安弘(通称アンコー)で、なにやら1960年前後あたりの音楽について語っているらしい。 ポップミュージックが大好きなアンコー氏は、大学生時代に…

326話 1970年 大阪万博前後の世界音楽 4/4

引き続き、NHKテレビ「世界の音楽」の外国人出演者リストを書き出す。50代後半以上の人には、ミルバやエンリコ・マシアスなど、なじみのある名前がかなり登場してくる。1973年も放送時間は前年同様、日曜夜8時45分からの45分。その前の時間に放送している…

325話 1970年 大阪万博前後の世界音楽 3/4

引き続き、「世界の音楽」出演者リストを紹介する。前年までと比べて、外国人出演者が一気に増える。 1971年 サラ・ヴォーン/カウント・ベーシー楽団/エンリコ・マシアス/ニュー・クリスティー・ミンストレルズ/ヘレン・メリル/ペギー・マーチ/ホルヘ…

324話 1970年、大阪万博前後の世界音楽  2/4

NHKのテレビ番組「世界の音楽」に関して、図書館に4日間通ってわかった大筋を、先に書いておく。この番組は、一筋縄ではいかない複雑な歴史があった。番組開始は1968年1月で、終了は1974年3月であるが、放送日や放送時間の変更があっただけでなく、放送…

323話 1970年、大阪万博前後の世界音楽 1/4

たまたまNHK教育テレビ「歴史は眠らない」シリーズの、「英語・愛憎の二百年」を見た。担当講師は立教大学教授の鳥飼久美子さん。おこがましいが、鳥飼さんの英語教育論は私と同じで、小学生におまけのような英語の授業をやるよりも他にやるべきことがい…

322話 60歳はどう見えたか

このアジア雑語林の320話で、「若すぎる死」を書いて間もなく、田中好子の死の知らせを聞くとは、なんたる巡り合わせだ。「まだ、若いよなあ」と思いつつも、范文雀は54歳、美空ひばりは52歳で亡くなったし、田中の義姉である夏目雅子は27歳で亡くなり、堀江…

321話 『東南アジアの音楽』を買った

ケチで貧乏な私にしては珍しく、今後、何かの拍子にさらっと目を通すことはあっても、精読はしないとわかっている本を買ってしまった。安かったというだけの理由で、『東洋音楽選書八 東南アジアの音楽』(黒沢隆朝、音楽之友社、1970年)を買ってしまったの…

320話 若すぎる死

黒岩比佐子の著作には、私の興味範囲と重なる部分が多いので、読んでみたいとは思いつつも、今現在の関心とは重ならないので、「今は、コレとアレを読んで、それから、そのうちに黒岩の本を・・」と思っているうちに、著者は昨年2010年に、52歳で亡くなって…

319話 『韓国食材図鑑』が欲しい

浜井幸子さんの最新刊『ソウルでいただきます!』(徳間書店)は、出版されてすぐに読んだのだが、すでに書きためた原稿がいくつもあったので、ここで紹介するのはすっかり遅くなってしまった。この本も、いつもながらの上出来だ。「生涯、一(いち)スクラッ…

318話 韓国焼肉事情に変化 2/2

前回の原稿を書いてすぐ、録画しておいた「韓食探検隊」(韓国のKBS制作の、韓国食文化テレビ番組)のプルコギ特集を見た。それで、びっくりした。前号で書いた甘い甘いプルコギは、ソウル式であって、韓国全土にはさまざまなプルコギがある。薄切り牛肉…