1396話 ユーチューブ遊び 第1回

 パッタイの赤いソース その1

 

 雑多な事柄が大好きな私にとって、ユーチューブは格好のおもちゃで、実にさまざまな動画を見ている。「そもそも、私にとってユーチューブとは・・・」という話を始めると長くなるので省略して、昨夜の話をする。

 ここのところ、道路工事の動画をよく見ている。高速道路のような大工事ではなく、山岳地帯や農村の道路拡張工事を見ている。撮影地の説明はないが、人々の服装などからネパールだとわかることがあり、またタイトルでインドネシアだとわかる動画もあるのだが、右下に出てくる候補作からおもしろそうなものを選んで見ていると、タイトルにタイ語が現れ、池の補修工事や土壌改良工事などタイの工事風景を次々に眺めた。

 我がパソコンは、「コイツ、タイに興味があるんだな」と判断したようで、工事以外のタイ情報を動画候補リストに上がっていた。道路工事よりも料理動画に興味があることが見透かされ、次々と「さあ、おもしろいぞ」と料理の動画を登場させる。”Thai street food”というようなタイトルがついている連続動画だ。

 パッタイの動画が多い。アメリカなど西欧世界にも知られるようになった料理だから、候補動画の上位に挙がっているのだろう。パッタイは、綴りを分解するとパット・タイで、意味は「タイ式炒め物」なのだが、実際は、主にコメの麺を使った焼きそばのことで、すでに日本でもよく知られた料理になっている。

 屋台の動画は、おそらくはバンコクの路上で撮影されたものだと思う。料理風景をただ撮影しただけで、解説はない。解説などなくても、パッタイの作り方など知っていると思っていたのだが、わからないものを鍋に放り込んでいる。「おい、あれはなんだ!」と知りたくなる。

 そういえば、まだユーチューブがなかった時代なのだが、タイの屋台料理にすばらしい動画サイトがあった。多分アメリカの通販会社のものだと思うのだが、タイの食材を扱うその会社では、タイのコメといっしょに炊飯器も販売していた。コメを炊いたことがない消費者に、「正しいコメの炊き方」の動画を載せていた。そのサイトをよく見ると、「屋台の料理」という動画リストがあって見てみると、これがすばらしい。まるでスポーツ番組のように、料理風景に英語の実況中継が入る。中継者はタイ料理に詳しいので、鍋に投入された食材や調味料を正確に紹介していく。

 外国の料理を食文化資料として知りたいという場合、資料動画を選ばないといけない。例えばタイ料理なら、日本人が日本人相手にタイ料理の作り方を紹介する動画は、私が求める資料にはならない。同じように、在米タイ人がアメリカ人に向けて発したタイ料理講座も役に立たない。タイ人の料理の先生が教えるタイ料理というのも、斬新なアイデアなどが入っていて、現実の料理とは違う姿をしているものが少なからずあるから要注意だ。

 タイの屋台で作るパッタイの動画を見ていて気になったのは、まるでトマトソースのような赤い汁を入れている店があることだ。その動画に英語のタイトルがついているから、撮影者は非タイ人だろう。赤い汁に疑問を持たずに撮影したのだろう。

 よし、調べてみよう。