1252話 プラハ 風がハープを奏でるように 61回

 チェコの食文化 その5 外国料理 1

 

 このブログ「アジア雑語林」では、プラハの外国料理として、1203話でベトナム料理を、1205話ですしについてすでに書いた。ここではその続きを書く。

 共産党時代からプラハにあるファーストフード店は、大きなホットドッグparek v rohlikuを売るスタンドだったようだ。このチェコ語の意味は、「パンのなかのソーセージ」で、パンに穴をあけて、加熱したソーセージを押し入れるのが当時のスタイルだった。このタイプのホットドッグは、1975年にフランスなどヨーロッパのいくつかの街で見ているし、私もパリで食べている。ウィキペディアスロバキア語版によれば、あるチェコスロバキア人が1942年にスペインで見たこの料理を帰国後に母国で作って売ったのがきっかけだという。

 パンに穴をあけてソーセージを差し込むタイプのホットドッグとはどういうものか想像ができない方に、次の動画を。家庭用のホットドッグ・メーカーの宣伝。ドイツのものだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=ftuhln83Vps

 こういうスタイルのホットドッグをプラハで見た記憶がないが、ホットドッグ調査をやったわけではないので、見落とした可能性はある。多分、まだどこかにあるだろう。念のため、「チェコ ホットドッグ」で画像検索をすると、ほとんどはソーセージをパンではさんだスタイルだが、ソーセージをパンに押し込んだスタイルのものもある。

例えば、これだ。この画像を見ていたら、もしかして食べたかもしれないと思えてきたが・・・。

http://gambrinus.blog45.fc2.com/blog-entry-544.html

 今、プラハの路上、バーツラフ広場などのスタンドで売っているのは、パンに切れ目を入れて、鉄板で焼いたソーセージを挟んだものだ。アメリカのホットドッグよりも大きく、しっかりした質感のパンなので、1本食べれば私は満腹した。ただし、バーツラフ広場という観光客密集地だけに価格はやや高く、1本80コルナ以上はする。フードコートの1食と金額では変わらない。

  『プラハの春は鯉の味』には、1996年ごろのホットドッグの話が書いてある。プラハのホットドッグは、バゲット風のパンのなかにソーセージを押し込んだスタイルで、1コ10コルナだったそうだ。当時も今のように、バーツラフ広場にこのホットドッグの屋台が多く出ていたようで、「老若男女を問わず、皆よくこれを頬ばっています」。

 つまり、チェコにはヨーロッパ式のホットドッグが伝わり、のちにアメリカ式のスタイルに変わっていったようだ。変わった理由を想像すると、ソーセージを挟むアメリカ式は鉄板があればいいので、設備費が安く、手間が省けて効率がいいからだろうか。

 

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 撮影した時は、公園脇のパンを売る売店だと思っていたが、のちにメニューをよく見るとホットドッグがあった。

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 ソーセージはチェコ人の好きな食べ物のひとつ。右手のパンは、ホットドッグとは関係ない。

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 右下の方に、鉄板でソーセージを焼いているのがわかるが、これがホットドッグ屋ではない。

 

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 後方に見えるのが、バーツラフ広場のホットドック屋。

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 日向で撮影。こういう観光客密集地では500円前後するが、チェコ人相手のスタンドだと200円くらいから。

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 プラハ本駅前のホットドッグスタンドで買った。テーブルはないので、置いて撮影できないから、自撮り風に片手撮り。こんなに大きいので、量としては、これで充分。アメリカ式のフカフカのパンではないのが私好み。チェコのホットドッグ事情に疎いが、もっとも安いホットドッグはピクルスとかタマネギは入れないのが普通かもしれない。