969話 大阪散歩 2017年春 第8回

 大阪オリエンテーリング


 今回の旅は、大阪市を出て、大阪府全体を把握する旅にしたいと考え、多少はそのための勉強もしたのだが、行動範囲を広げることができなかった。大阪市内の旅しかできなかったというだけでなく、大阪市の中心部からさえも抜け出すことができなかった。あまりにおもしろかったからだ。
 大阪を歩きながらわかったことだが、神社仏閣名所旧跡書画骨董にとんと興味のない私は、京都だと5日で飽きるだろうが、大阪はひと月あってもまったく足らないということだ。遅ればせながら、大阪は散歩をするには日本一おもしろい街だということに気がついた。大阪には、京都のような、いわゆる観光地が少ない。ただその場に行くだけで、「はい、観光地です。30分の見学です」とガイドがいうような場所は、大阪には大阪城USJ海遊館くらいしかない。しかし、散歩をする体力と、おもしろい物事を探せる好奇心があれば、これほどおもしろい場所はほかにない。
 大阪市の概略を書いておこう。
 大阪市は24区から成っているが、面積は狭い。横浜市の2分の1、東京23区部分の3分の1しかない。そして、その大阪市の中心部分と言えば、東京の山手線の内側というのと同じ意味で、JR環状線の内側ということになるだろう。南北に長い山手線と違って、環状線は比較的円形に近い。1周22キロほどで、所要40分。ちなみに、山手線は1時間かかる。円周が約22キロの円ということは、3で割ると直径が7キロ程度ということがわかる。算数の知識が、こんなところで役に立った。
 南の天王寺駅新今宮駅あたりから、北の梅田まで直線距離なら約7キロということだ。東西の距離はもう少しありそうだが、概観としては、環状線の東西南北を直進すれば、2時間+αということがわかる。大阪には、「キタ」と「ミナミ」という専門用語があるが、よそ者は混乱するので、ここでは意識的に使わない。
その大阪を、マドリッドと同じように、台北と同じように、歩いた。できる限り乗り物を使わず、江戸時代の人間のように、歩いてみた。梅田に行くのももちろん歩いたから、往復20キロは超える散歩だった。右往左往、紆余曲折の徘徊の日々だった。これが、まあ、じつにおもしろかった。
 極力、乗り物を使わずに歩いたせいで、移動範囲は広がらなかった。南北には何度も歩いたが、東西に一気に歩く機会はなかった。時間がなかったのだ。渡船巡りの旅も考えていたのだが、実行に移す時間がなかった。渡船とは、渡し船のことだ。大阪は川の多い街だが、意識的に橋を作らないままにしている部分がある。橋を作ると、船が通れなくなるからだ。船が通れる橋にするには、橋を高い位置に作らなければいけない。建設地が狭ければ、このアジア雑語林「イベリア紀行」の909話で、ビスカヤ橋に関して書いたように、橋げたを上下できる橋にするか、大正区の千本松大橋、通称メガネ橋のようなループ橋にする方法もあるが、建設費がかかる。だから、橋を作らずに、渡船のままにして、公道扱いだから船賃無料というシステムだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E6%9C%AC%E6%9D%BE%E5%A4%A7%E6%A9%8B
https://www.youtube.com/watch?v=R3qiJRd0dgs
 前回、大阪に行ったときも時間切れで渡船巡りができなかったから、市バス(76系統)に乗って、めがね橋通行はやっている。その経験から、「市バスで巡る大阪」も企画したが、これまた時間不足だった。
 大阪で遊ぶには、充分な時間が必要だ。それがどのくらいかと考えたら、「とりあえず、3か月」という数字が浮かんだ。
 地理ではなく、大阪府が日本のなかでどういう位置にあるのかというランキングが次の資料で分かる。大阪が犯罪多発府だろいうことがよくわかる。
http://todo-ran.com/t/tdfk/osaka

 高架下での野宿を防ぐフェンス。ここで生活していた人が多かったということだ。