2018-01-01から1年間の記事一覧
私の旅行史研究 (4) 日本のバックパッカー黎明期をずっと調べている。 先日、旧知の吉村文成さんに会い、旅の話をした。吉村さんは京都大学にいた8年間探検部に所属して旅をしていた。卒業後、朝日新聞に入りインドやインドネシア特派員もした。定年退職…
私の旅行史研究 (3) 「若者の旅の歴史」をテーマに、何年か授業をした。その資料をだいぶ集めた。 講師の給料というのは、時給換算すると1万円ほどだ。90分授業だから、1回の授業で1万5000円ほどになるが、そのカネはほぼ資料代に消えた。「資料代」とし…
私の旅行史研究 (2) 観光学(Tourism Studies)とは、観光でいかに金儲けするかを研究する学問だと思っている。観光関連業者の収益増加と、国家や地方自治体の観光による増収の方法論を研究するのが保守本流の観光学だと私は思っている。旅行研究とはだい…
私の旅行史研究 (1) このブログ、アジア雑語林の1~275話までの分は、アジア文庫のHPに公開したものだが、それが突然理由もわからず文字化けしてしまった。その件について詳しくは、下記の「お知らせ」を読んでいただきたい。 アジア文庫分の移設作業をや…
講師控室 (2) 2007年の秋、台湾の財団が主催する食文化シンポジウムに出席した時のことだ。場所はマレーシアのペナン。テーマは「東南アジアの中国食文化」で、私はタイにおける中国食文化の話をした。 発表者のなかに日本語が堪能な人がいた。香港の大学…
講師控室 (1) 時間帯にもよるが、講師控室には当然、講師がおおぜいいる。それぞれの分野の専門家たちばかりだから、なにかおもしろい話が聞けるかもしれないとは思うものの、みなさん授業の準備をしているので、話しかけるのはためらわれた。しかし、ま…
大学生の旅 講師を始めて5年くらいの間、2005年から2010年ほどはなかなか刺激的だった。留学生が多くいたから、私が教えてもらうことも多かった。授業が終わってから、韓国語に関する雑多な疑問に答えてもらったから、毎回の授業が楽しみだった。 5月初めに…
せめて英語を 英語よりも日本語教育に力をいれるべきだと思うが、だからと言って日本人は英語を学ばなくてもいいと言っているのではない。小学校から学ぶ必要がないと言っているのだ。「小さい時から学ぶと、発音がよくなる」などとマヌケなことを言い出す人…
人に話す、人と話す 言語の問題を取り上げたら、日本人と英語というテーマも語らないわけにはいかない。「日本人は英語ができない」という発言はどこの国の人と比べた発言なのかはあまり明らかにされない。仮にその説が正しいとして、それではなぜ日本人は英…
言語社会学 ちゃんとした日本語の文章が書けない学生が4分の1もいるから、翌年最初の授業は、30分ほど正しい日本語の書き方を説明した。しかし、その学期末のレポートでは変化はなかった。そこで、その翌年からは、学期末に学内に張り出すレポートの内容を書…
日本語の書式 2005年にどういう授業をやったか、記憶も記録もない。どれだけの学生が履修したかという記憶もないが、多分100人くらいだったと思う。その後、最大で300人弱くらいまで増えたこともある。2017年は240人くらい履修したが、大量にD判定(不可)の…
時差 大学で授業をやることになって困惑したこと、とまどったことはいくつかある。 授業中に出入りする学生が絶えないのが気になった。「こんな授業じゃ、つまらん!」と抗議の意味で退出するのかと思ったが、しばらくすると教室に戻ってくる。トイレに行っ…
博士論文 あれは、講師になった年だったかもしれない。講師と教授の懇親会の場で、稲垣勉・白坂蕃両教授に声をかけられた。そこで、私を立教に招いたもうひとつの理由がわかった。『東南アジアの三輪車』(旅行人、1999)は内容的には学位論文のレベルに達し…
トラベルジャーナリズム論 そもそもシラバスというものを知らないのだから、その書き方もわからない。アンケート調査のように記入すべき項目が並んでいるので、「授業目標」や「授業内容」、「テキスト」「参考文献」、「成績評価方法・基準」などを書くこと…
大学の教員 大学の教員のことは、大卒者でもあまり知らないかもしれない。 大学の教員は、教授、准教授(以前は助教授といった)、講師のほかいろいろあるが、説明が面倒なのでここでは助教や助手などについては触れない。 まずは講師から説明すると、講師は…
ヒマなライター サラリーマンの経験がないから、サラリーマン用語にもなじみがない。「御社・貴社」という語を使ったことがない。「NTTさん」のように社名に「さん」をつける用法になじみがない。有給休暇とか休日出勤も、転勤や人事異動も、もちろんその意…
大阪スケッチ その2 大阪スケッチの2回目は、おもに建築物をめぐる話を紹介してみよう。 このブログですでに何度か言及したが、このような木造3階建て、1階駐車場という住宅は全国にあるが、大阪に特に多いような気がする。想像するに、写真の土地はもとは…
大阪スケッチ その1 桜満開のころの旅物語は、盛夏になって終わりを迎えた。最後は大阪スケッチ、あるいは写真の落穂ひろいをお届けする。昨今のテレビドラマのまねをする気はないのだが、最終回が1回では終わらないので、「最終章 その1」という構成で、2…
大阪の発言 ただ大阪を散歩しているだけなのだが、ところどころで大阪人の大阪人に対する発言を目にする。おそらく、気がつかなかったものは数多く、気がついたが写真を撮るのを忘れたのもある。ここでは、散歩の片手間の採集品を紹介する。集中して採取すれ…
散歩者の敵 大阪の自転車について考える 自転車と路面電車で簡単に移動できるくらいの広さの街が好きだ。だから、東京や大阪は大きすぎるのだが、大阪は自転車の街でもある。大阪のように平坦な街はほかにもあるから、大阪に自転車が多い理由がよくわからな…
博物館とNHK ほぼ10年ぶりに大阪くらしの今昔館(天六、天神橋筋六丁目のこと)に行った。入ってすぐに、米朝師匠の名調子で昔の大阪話が聞こえてきて、懐かしい。展示に変わりはないだろうという予想通り、特に変わったところは気づかなかったが、展示以外…
味噌汁のことなど 卵焼きのことは、もういいとして、これからは、ただ単に食事をするために定食屋に行くことにした。その夜の気分はサバ塩焼き定食だった。サバに期待したが、ウチの近所のスーパーで売っているようなパサパサのサバだった。期せずして、小鉢…
うなぎと卵焼き 関東と関西を比較する意味で、大阪で食べてみたいものがふたつあった。 ひとつは、うなぎだ。関東式のうなぎは、背開きで、白焼き→蒸す→タレをつけて焼くという順で加熱する。関西式は腹開きで、蒸す過程がない。それがどういう感触で、味に…
3回のカレー 去年の大阪では、100年を超える老舗自由軒に行き、船場カレーや上等カレーも食べているので、今回はカレーはやめようと思っていたのだが、ひょんなことから3回食べることになった。 1回目は大阪到着当日の昼だった。空港で昼飯を食べてもつまら…
国立民族学博物館 後編 話は民博訪問2日目の朝に戻る。 特別展会場で講演会があるというので行ってみると、旧知の野林厚志さんがいた。民博の教授で、この特別展の実行委員長だ。廊下ですれ違うことはあるかと思っていたが、講演者として会うとは思ってもい…
国立民族学博物館 前編 大阪にしばしば行く目的のひとつは、国立民族学博物館(以下、民博)に行きたいからだ。今まで行ったことがある博物館のなかで、「相性がいい」とすぐに思い浮かぶのは、ワシントンのスミソニアン博物館と大阪の民博のふたつだ。この2…
星野リゾートと新世界 昨年の春のことだ。新今宮駅のホームのすぐ下に広い空き地があって、フェンスで囲まれていた。何かの建設用地なのかもしれないが、小学校ができそうなほどの土地に何ができるのだろうか疑問に思った。 帰宅後、大阪旅物語を書くための…
統計資料で見る大阪の位置 後編 なかなあ終わらない話なので、さらにもう一回やる。 ■面積・・・大阪府の面積の話をすると長くなるというのは、大阪人の常識だろう。ここではごく簡単に触れる。かつて、都道府県でもっとも狭いのが大阪府だった。全国最下位…
統計資料で見る大阪の位置 中編 引き続き、統計資料のなかの大阪を探してみる。 大阪の欠点を探して笑おうという意図などみじんもないのだが、すばらしい第1位がなかなか見つからない。 ■小学生体力テスト・・・最下位が大阪、以下奈良、北海道、東京の順。…
統計資料で見る大阪の位置 前編 歩けば見えてくる大阪はあるが、歩いているだけではわからない大阪もある。大阪関連の本や雑誌を読み漁ってコラムを書くという作業は、去年すでにやっているので、今回はさまざまな統計資料から見える大阪を探してみた。まず…