2024-01-01から1年間の記事一覧

2045話 続・経年変化 その11

音楽 11 タイ音楽 1990年代に入り、私はタイの音楽に深入りしていく。基礎知識ナシ。資料ナシ。90年代はまだ音楽テープの時代で、街にはテープ屋が多くあり、路上に音楽があふれていた。タイに居れば、絶えず音楽に包まれていた。そのときの感覚を、のちに書…

2044話 続・経年変化 その10

音楽 10 民族音楽 民族音楽を音楽の素人である私が勝手に定義すると、ある民族が「昔から親しんでいると認識している音楽」ということにしておこう。「昔から」が100年前でも1000年前でもいい。西洋の王宮や教会の音楽をどう考えるかという点では、「おもに…

2043話 続・経年変化 その9

音楽 9 洋楽ヒット曲 ビートルズの初シングルがイギリスで発売されたのは1962年だが、日本での発売は1964年だった。その頃には、日本でもビートルズが大人気になり…と思っていたが、東芝の販売担当者だった高島弘之氏の話だと、雑誌やラジオでもビートルズの…

2042話 続・経年変化 その8

音楽 8ロックンロール フランスやイタリアの歌謡曲を聞いていた時代から長い時間が流れ、1990年代末から中古CD店に通うようになり、2010年代に入って、アマゾン遊びをするようになり、膨大な出品品から次々にCDを買うようになった。大人買いをするカネはない…

2041話 続・経年変化 その7

音楽 7 カンツォーネ 歌をフランス語ではシャンソン(chanson)、 イタリア語ではカンツォーネ(Canzone)というのだが、日本では限定的な意味でフランスの歌謡曲がシャンソンで、1960年~70年代イタリアの歌謡曲をカンツォーネと呼んでいる。カンツォーネ…

2040話 続・経年変化 その6

音楽 6 フレンチポップ 私の世代では、小学校6年生から中学生で、ベンチャーズやビートルズに出会い、高校時代はロックやフォークを聞き、ギターを買う。その時代に始まった深夜放送をよく聞いていた少年少女たちの過半数はフォークを聞き、英米のロック&…

2039話 続・経年変化 その5

音楽 5 なつかしい音楽 2 アメリカの歌の次によく耳にしていたのは、シャンソンだった。シャンソンは好きではないというより、苦手な部類に入る音楽ジャンルで、中村とうようが「大げさに歌うシャンソンが嫌いだ」というようなことを書いていて、「そうそう…

2038話 続・経年変化 その4

音楽 4 なつかしい音楽 1 一般的な話だが、生涯でもっともよく音楽を聞き、音楽に関心を持つのは中高校生時代だという説がある。人によっては10代だという説もあり、「中学入学から10年」という人もいる。英語のティーンエイジ(13歳から19歳まで)という…

2037話 続・経年変化 その3

音楽 3 ムード歌謡とムード・ミュージック ふたたび、CDの大全集の話を続ける。 ある日、「懐かしのムード歌謡」のCD大全集の広告を見つけた。ムード歌謡はキャバレーやカラオケでのデュエットというイメージがあり、苦手だと感じていたのだが、そうでもな…

2036話 続・経年変化 その2

音楽 2 歌謡曲 歌謡曲は好きだが、演歌はあまり好きになれないというのが、私の趣味の範囲だ。 だから、島倉千代子や西田佐知子やちあきなおみやザ・ピーナッツなどは好きだが、演歌は、どうも・・・。だから、「なつかしの歌謡曲大全集」で、戦前から1960…

2035話 続・経年変化 その1

音楽 1 大全集 趣味嗜好の経年変化の話を書こうとアイデアをひねり出していたら、2022年7月の1770話以降20回にわたって連載していたことを発見した。自分が書いた文章を「発見」だなんておおげさだと思うかもしれないが、ホントに覚えていなかったのだ。20…

2034話 履歴書

少年時代、へそ曲がりだからか、それとも目立ちたがり屋だからか、他人と同じような行動や考えをするのはつまらんと思っていたフシがある。20代になって植草甚一を読み、「他人のマネをして生きていくのはつまらない」といった意味のことが書いてあって、「…

2033話 旅の郵便

旅行者の多くがカメラを持っているのが普通になったのは、いつごろからだろうか。 かつてカメラは非常に高価な商品で、1959年に36枚撮りフィルムで72枚撮影できるハーフサイズカメラが登場した。オリンパスペンの定価は6800円で、「安くなった」と評判だっ…

2032話 読書ノート その2

『ドイツ人の家屋』(坂井洲二、法政大学出版局、1998)は予想をはるかに超えて、読み応えのある本だった。その理由は、著者が建築研究者ではなく民俗学者だからだろう。私は日本のことしか考えない民俗学者をあまり評価をしていなかったが、著者はドイツに…

2031話 読書ノート その1

本を読んで付箋を貼った部分の話をする。その本の内容などは、ネット情報で各自調べていただきたい。 『「その他の外国文学」の翻訳者』(白水社編集部編、白水社、2022)は、翻訳者たちが書いた文章を集めたものだと思って買ったのだが、聞き書きだった。WE…

2030話 ウソはうまくつけ

あれはたぶん韓国ドラマ「ミス・ハンムラビ」(2018)だったと思うが、ソウルの歩道で、主人公が横断歩道を渡ろうと立ち止まると、その背後にカフェらしき店が映り、看板に“VIVANT”とあったような気がしたが、第何話だったかも覚えていないから、確認はして…

2029話 学校とスポーツ

日大アメフト部の問題がマスコミで取り上げれられても、学校と体育会運動部をテーマに語った例を見ていない。スポーツは、マスコミでは社内の運動部(あるいはスポーツ部)が担当するからスポーツ界に不利なことは報道しない。政治部が議員や政党と密着(一…

2028話 夢の中の夢

おぎやはぎのおぎこと、小木博明のラジオでの話。 「あー、おしっこしたいっていう夢を見たんだよ。で、おしっこしちゃえと思ったんだけど、『おいおい、大丈夫か?』って、その夢を見ているオレが言うんだよ。すると、もうひとりのオレが、『大丈夫だよ。だ…

2027話 三輪自動車

画家にして、インド料理ユニット「マサラワーラー」のひとり武田尋善(たけだ・ひろよし)さんの自家用車に乗せてもらった。都内の住宅地をほんの数分走ってもらっただけだが、深い感慨はあった。車は、インドの三輪自動車バジャジ、前席でバーハンドルの握…

2026話 アルデンテ リゾットの話をする前に

リゾットの話をしようと思ったが、その前に片づけておかないといけない話題がある。 「パスタとスパゲティーって、どう違うの?」という質問を受けたからだ。そのレベルのことも知らない人がいるんだなとは思ったが、ネットにも同じ質問があって、それほど奇…

2025話 韓国 金属の食器

金属製食具の話をしていたら、韓国、歴史的なことで言えば「朝鮮」とした方がいいのだろうが、朝鮮半島の食文化のことが頭に浮かんだ。世間のヒンシュクを買う覚悟で言うが、韓国の食文化を語っている人は、ネットはもちろん雑誌や単行本でもあまたあるが、…

2024話 愛しい日本の食文化 私の場合

外国で生活していれば、日本の味を恋しく思うのはいたって普通で、その「日本の味」が狭義の日本料理を意味する人もあるだろうが、今なら広義の日本料理をさす場合の方が多い。広義の日本料理というのは、ラーメンや餃子や焼きそば、カレーにハンバーグ、鶏…

2023話 デリフーズ

その店には「Deli」という看板がかかっていたかもしれない。ニューヨークだ。デリカテッセンに初めて足を踏み入れたのはもしかするとヨーロッパだったかもしれないが、デリフーズというものをはっきり意識したのは、ニューヨークだった。歩道から、肉屋のガ…

2022話 家庭料理

バルト三国やチェコを旅していて、南さんに謝らないとなと思った。南さんとは、立命館大学教授の南直人さんのことだ。 南さんはドイツ史の研究者だが、歴史の中でも食文化史の研究に力を入れている。「ドイツの食文化?」と、いままで数多くの嘲笑を受けてき…

2021話 スージーQ

監督が崔洋一、沖縄が舞台と言うだけの情報で、「Aサインデイズ」(1989年)を見た。つまらない映画だなあと思いつつ、とにかく最後まで見て、これが『喜屋武マリーの青春』(利根川裕)が原作と知ったが、感慨はない。喜屋武マリーは、ロックバンドMarie w…

2020話 上を向いて歩こう

永六輔は最後まで放送作家だったと思う。それは、「正しいことよりも、おもしろいことを優先する」ということで、おもしろくない事実は、脚色しておもしろくするということだ。1を10にする場合もあれば、ときには0を20にすることもあるのだが、数多い永六輔…

2019話 新聞の読書欄

年の終わりに、新聞では2023年回顧をしていた。読書欄でも、書評委員によるこの1年の推薦書が数十冊紹介されているが、「読みたい」と思った本は1冊もない。書店で現物をチェックしてみようとか、ネットで目次を読んでみようとか、少しでも調べたいと思っ…

2018話 韓国のドラマと映画の話

韓国の俳優イ・ソンギュンが死んだ。自死らしい。決して名優とは思わないが、記憶に残る作品に出ているから、名前と顔が一致する数少ない俳優だ。 おそらく「コーヒープリンス1号店」と「白い巨塔」(どちらも2007)で、イ・ソンギュンの顔と名前を覚えた日…

2017話 韓国文化

2024年最初にCDデッキに送り込んだのは、昨年暮れに買っておいた“Beginners Guide to the World”だ。3枚組のセットで、アフリカ、アジア、中南米の音楽が42曲入っている。アジアが弱いが、それがヨーロッパ人の世界認識なのだとわかる。ヨーロッパにとって…