2022-01-01から1年間の記事一覧
◆本を買う その1 「読書」(1771話)でしていなかった話を思い出した。「本を買う」という行為の変化だ。 小学生時代は新刊書店で買った。中学生になると神田神保町に行くことを覚えたが、カネはないのだから「しょちゅう通う」というほど足を踏み入れたわ…
◆かわいい 「笑っていいとも」(1982~2014)の冒頭だった。タモリは50代だっただろう。司会席のテーブルに、おそらくフジテレビが推しているイベントのマスコットがのっていた。タモリはそのマスコットを手でつまみ、「こんなもの、昔は何とも思わなかった…
◆植物 昔は、いっさいの植物に興味がなかった。正確に言えば、「食べられない植物」、つまり切り花とか盆栽とか、観賞用の植物にはいっさい興味がなく、花の名前も知らなかった。 ある年のこと、台所の冷暗所に保存していたジャガイモが芽を出していて、「こ…
◆コーヒー 10代によく飲んでいたのは、水道の水で、たまに緑茶を飲んでいた。20代に入って喫茶店に行くことを覚え、コーヒーを飲むようになり、自宅ではインスタントコーヒーを飲むようになる。途中、布袋やサイホンや紙フィルターのドリップコーヒーを試し…
◆茶 子供の頃は、お茶なんてほとんど飲んでいなかった。「お茶なんか、子供が飲むものじゃない」ということになっていたように思う。今は無理だが、子供の頃は食事中の飲み物はなかった。味噌汁がなければ、水分なしで食事をして、食後にのどの渇きを感じた…
◆パン ラジオで、カンニング竹山がこういう話をしていた。「僕の時代は、週に2回か3回は米飯給食だったんだけど、出川(哲郎)さんの時代は、まだ米飯給食はなかったらしいよ」。地域にもよるが、竹山(1971年生まれ)と出川(1964年生まれ)で、給食におけ…
◆魚貝 少年時代によく食べたが、いまではまったく、あるいはほとんど口にしていない魚が2種ある。ひとつは棒鱈であり、もうひとつは塩鮭だ。 子供の頃棒鱈をよく食べたのは、父の好物であると同時に、我が家にまだ冷蔵庫がなく、すぐ近所に商店がなかったか…
◆肉 肉を食べる機会と食べる量は,過去に比べて確実に増えている。それは好みの問題というより、収入がいくらか増え、肉の値段が大幅に安くなったからだ。 アジアの本を専門に出している出版社めこんの社主である桑原さんは、1960年代末に、青年海外協力隊の…
◆野菜 昔の野菜は苦く、臭く、堅かった。私の子供時代でも、キュウリは苦く、トマトはすっぱかった。生のまま食べられるニンジンはなかった。 野菜の味でいつも思い出すのは、ジャンポール・ベルモンドの映画だ。「オー」だったかどうかはっきりした記憶はな…
今回は、食べ物の好みの変化の話をしようか。毎日のことだから、話はいくらでもある。 ◆果物 まずは、果物の話から始めるか。少年時代、柿の産地である奈良の山奥に住んでいた。ウチの庭にも柿の木があり、毎秋、たわわに実った。その季節になると、おやつは…
◆音楽 今度は真正面から音楽と経年変化の話を。 たぶんイギリスのテレビ番組だったと思うが、ビートルズやローリング・ストーンズのメンバーがまだアマチュアだったころ、どんな音楽を聞いていたかというインタビューで、1950年代から60年代初めのイギリスの…
ヒマにまかせて、昔と変わったことをいろいろ考えている。 ◆テレビ 少年時代は、友人たちと同じようにテレビが好きな子供ではあったが、「テレビばっかり見てんじゃない!」と叱られたこともあって、毎日とか毎週、楽しみにしていた番組は多くない。私がガキ…
◆旅行 旅行先は、たしかに変わってきた。関心がアジアからヨーロッパへ移っていった理由は、地域の違いというよりも、雑踏が嫌いになったという理由の方が強い。2000年代に入り、母の体調が悪くなり、できる限り自宅で過ごすことが多くなり、東京の雑踏も苦…
体形や体力などの経年変化ではなく、趣味嗜好などに経年変化があるのだろうかと、ひまつぶしに考えてみた。世間でよく聞く、「年をとったら、肉よりも魚よねえ」とか、年を取ると詩吟に盆栽、日本舞踊にローンゴルフに精を出すというような変化が私にあるの…
昔から、正座して食事をすることになっていた。初めは親のしつけだが、正座して食事をするのは好きだった。朝食だけは書斎で食べるから椅子に座っているが、椅子にあぐらをかいていることも少なくない。 ある日のこと、食事を終えて立ち上がろうとしたら、ヒ…
「あんときは、おもしろかったよなあ」と、ふと笑ってしまうようなことを「思い出し笑い」というのだが、過去の悔しかったことや悲しかったことやうれしかったことを思い出しても、「思い出し悔し」とか「思い出し悲しみ」とか「思い出しうれし」などとは言…
7月10日、作家の山下惣一さんが亡くなった。面識のない人だから、普通は敬称略で書くのだが、いろいろ教えてくれた人だから、山下さんと敬称をつけたい。 山下さんの本を最初に読んだのは、「タマネギ畑で涙して」(1990)だった。その本がタイの農村探訪記…
◆7月9日土曜日の昼前のこと、このアジア雑語林や雑誌の原稿の下書きに手を入れようと、Wordから原稿を取り出そうとしたら、「サインインしてください」という表示が出た。いつもなら原稿のタイトル名をクリックするとすぐに下書き原稿が出てくるのに、どう…
最期に、映画の話を少ししておこうか。 アメリカに行ったら、ぜひ見たいと思っていた映画が2本ある。1本はジャニス・ジョプリンをモデルにした「ローズ」。主演はベッド・ミドラー。製作は1979年だが、日本で公開されたのは帰国後の80年の末だった。「ブル…
例によって、知り合いの知り合いの知り合いという極細の糸をたどって、ニューヨーク市立大学の心理学教授と知り合った。彼は、もともとは放送局の機械技術者だったが、バングラデシュで技術教育をしていたことがある。そのとき、異文化と心理といったテーマ…
ニューヨークで小さなラジカセを買った。遅ればせながらインタビューを録音するためだが、録音を聞いたらよく理解できるというわけではないので、もっぱらラジオを聞いていた。 ニューヨーク滞在中はいつもラジオで音楽を聞いていた。ありがたいことに、24時…
NHKBS「世界のドキュメンタリー ブロードウェイ ミュージカルの街の半世紀」を見た。ブロードウェイ界隈の変遷とそこで繰り広げあられたミュージカルと演劇の戦後史をコンパクトにまとめてあり、いい出来だと思う。ブロードウェイミュージカルにほとんど興味…
そのジャクソンが、「日程の問題」ということで取材できなかった人がいた街だ。 木曜日の夜、ミシシッピー州ジャクソンに着き、金曜日に先方に電話したら、「来週月曜日の朝にならないと来週のスケジュールが決まらない」というので、月曜日にまた電話するこ…
Whopperとは、「バカでかい物」という意味の単語だが、バーガーキングのバカでかいハンバーガーの商品名でもある。私はハンバーガー事情に疎いのだが、多分マクドナルドのビッグマックに対抗する商品なのだろう。 今、ネットでバーガーキングのワッパーを調…
1980年の取材旅行では、ガイドブックは持っていなかった。観光旅行ではないので、英語の旅行ガイドを買っても使わないと思ったからだ。資料は小さな地図だけ、ノートには取材先の住所を書いていた。インタビューしても、メモを取らない。話を聞いたら、でき…
バスに食べ物や飲み物の持ち込みが禁止されていたとは思えないのだが、少なくとも私は何も持っていなかった。いまなら、ペットボトル入りの水が常にバッグに入っていると思うのだが、あのころは小さな子供を連れた親でもなければ、アメリカ人は水を持って移…
◆刺身 ニューヨーク市まであと数時間というあたりだから、ペンシルバニア州の街だろう。満席に近い状態で、私の隣りの席に座ったのは20代前半くらいの黒人女性だった。しばらく雑談した後、私が日本人だと知ると、「前から気になっていることがあるんだけど…
1980年のアメリカ取材旅行中に出会った食べ物で、「あれはうまかったなあ」というものはほとんどない。「ちょっといいね」という程度ならいくつかあり、その中のベストはコーンチップスかもしれない。トウモロコシの粉が原料のポテトチップス状のもので、ア…
長距離バスには貧乏人と軍人が乗っていた。軍人は入除隊や休暇で、自宅から部隊へ、部隊から自宅への移動に利用していたのだ。だから、アメリカ映画の兵隊モノには、グレイハウンドバスがよく登場する。刑務所から出所するシーンにも、グレイハウンドバスの…
グレイハウンドバスに乗っているのは、貧乏人と軍人と旅行者だった。有色人種率は高かったと思う。あのころのバスの車内風景が脳裏に浮かび、思い出すことがいくつも沸き上がってきた。 運転手は出発のアナウンスのあと、必ずしゃべていたのは、「タバコ以外…