2022-01-01から1年間の記事一覧

1814話 雑話の日々 その5

■宗教 知人誘われて、イスラム教を解説する講演会に出席した。講演者は昔から知っている人で、いまではイスラム教の広報を生業にしている日本人だ。会はきっと荒れるなと思ったら、やはり荒れた。荒らしたのは、私だ。 「イスラムは平和の宗教です。我々の挨…

1813話 雑話の日々 その4

■先行研究 こんな研究をしている人はほかにいないだろうと思ったら、関連する論文がいくらでも見つかったというようなことを書いていたのは、ナマコの社会史研究に手をつけた鶴見良行だ。 日本人の海外旅行史の研究をしていた時に気になっていたのは、「1964…

1812話 雑話の日々 その4

■続美人 たまたまある会で知り合いが集まったので、会の後、いっしょに食事をすることになった。いずれも出版関係の人たちだ。テーブルを囲んでアジア料理を食べた。食事が進むなか、ライターが編集者に言った。 「あなたの会社、考えてみればみんな美人よね…

1811話 雑話の日々 その3

■美人3話 それぞれ別の機会に書いたことがある話題だが、この際まとめて紹介する。 残念ながら、昔から美人とは縁がない。電車で会う程度の美人を見かけることはあっても、思わず立ち止まるとか、2度見するというほどの美人にはなかなか出会わない日常を送…

1810話 雑話の日々 その2

■書店にて 今年2度目の神保町散歩をしたときのこと。その前に用があったので、神保町に着いたのが午後のかなり遅い時間だったので、のんびり散歩する時間はなかった。水道橋駅から靖国通りに南下する通りの古本屋は、ほとんどシャッターが下りていたり飲食…

1809話 雑話の日々 その1

■無能なデザイナーをクビにしたい。 デザイナー、特にインダストリアル・デザイナーに殺意を抱くことがある。例えば、こういうときだ。 店でシャンプーを選ぶ。まったく同じ容器に入っているふたつ。ラベルデザインもまったく同じで、これはどう違うのかとよ…

1808話 若者に好かれなくてもいい 追加編

「若者に好かれなくてもいい」という連載は前回で終わる予定だったが、大学教授が書いたでたらめ本について書いたことを思い出した。アジア雑語林の「検索」欄で調べても出てこないので、「あれっ?」と思い調べると、以前、アジア文庫発行の小冊子に書いたの…

1807話 若者に好かれなくてもいい その7

説教とは違うが、助言、英語ならアドバイスか。注意、指摘など善意によるものでも、受け手には「粗さがし」「重箱の隅をつつく」「バカにして・・・」「偉そうに・・」「上から目線で・・」などと受け取る人がいる。 知り合いの大学教授が書いた本を読んでい…

1806話 若者に好かれなくてもいい その6

不注意な旅行者は、若者に限った話ではないし、旅の経験が乏しい人に限った話でもない。 芦原伸という旅行作家がいる。私の趣味嗜好と方向が違うので、この人の文章をほとんど読んだことがないのだが、戦後の旅行史や旅行マスコミの資料として、自伝『旅は終…

1805話 若者に好かれなくてもいい その5

高田純次が、若者に嫌われないようにする注意点としてあげた「説教をしない」ということも、「説教」の内容や、受け手の意識の問題があるように思う。 「怒られる」と「しかられる」は、違う。怒りを表に出したのが「怒る」だが、「しかる」は注意であったり…

1804話 若者に好かれなくてもいい その4

旅と数字の話の続きを書きたい。 旅行関係の記事をネットで探していたら、天下のクラマエ師こと蔵前仁一さんへのインタビュー記事がヒットした。2020年のインタビューで、その最初の質問が「今まで何か国くらいを回ってらっしゃいますか?」だ。こういう質問…

1803話 若者に好かれなくてもいい その3 

タイでは、タバコの持ち込みは200本までは許されるが、それを超えるととんでもないことになるそうだ。その例のひとつがこれ。電子タバコの持ち込みは禁止で、もちろん所持も禁止。違反した場合は、最高懲役10年。しかし、マリファナは所持も販売も自由。露店…

1802話 若者に好かれなくてもいい その2

またパソコンのトラブルで、ワードに書いた原稿が突然取り出せなくなり、更新がちょっと遅れた。機械は、嫌いだ! カネもかかるし。 さて。 昔の話に興味があるかどうかは人それぞれだから、聞きたくない、興味がないという人もいるだろう。私は、父や祖父母…

1801話 若者に好かれなくてもいい その1

高田純次はテレビのインタビューで、年をとっても若者に支持されるヒケツは次の3点だと説明した。 思い出話をしないこと。 自慢話をしないこと。 説教をしないこと。 しかし、この3点は高田のオリジンナルではなく、昔から中高年になった男は気を付けてき…

1800話 旅とクレジットカードと医者と

自称Amazonからの怪しいメールはほぼなくなったが、あやしげな薬を売りたいらしい英語のメールはひっきりなしに来ている。数日前から来ているのは、自称みずほ銀行からの「外貨預金の再登録のお願い」だ。私がみづほ銀行の口座を持っているという情報が洩れ…

1799話 旅と食い物とガイドブック その3

ロンリー・プラネット社が出したポケット版食文化ガイド”World Food”シリーズの”Thailand”(2000)を例にして、内容を点検してみよう。書き手は、Joe Cummings。ロンリープラネットの旅行ガイド”Thailand”ほか数多くのガイドブックを書いているライターだ。…

1798話 旅と食い物とガイドブック その2

2000年ごろに、ロンリー・プラネット社が”World Food”シリーズを出した。私は片っ端から買っていったが、全部でどれだけ出版されたのかわからない。ロンリー・プラネットのHPで確認しようとすると、「クッキーを入れれば見せたやる」という態度なので、見て…

1797話 旅と食い物とガイドブック その1

自由に旅行に出かけられない時代になって、『地球の歩き方』は「目の旅図鑑」とでもいった本を次々と出版している。料理関連に限って書名をあげておく。 2021~2022年に出版された本だ。 『地球のかじり方 世界のレシピBOOK』 『世界の地元メシ図鑑』 『世界…

1796話 Bangkok R&R hotels 後編

元R&Rホテルのなかで、例えばマレーシアホテルは少々カネを持った個人旅行者を相手にしていた。1970年当時、まだバックパッカーという語は一般に広まっていない。安宿街カオサンがまだなかった時代、西欧的な快適な滞在を希望する旅行者は、「安くて、いい」…

1795話 Bangkok R&R hotels 前編

このブログのちょっと前の話で、「バンコクで遊んでいた」と書いたが、その意味は、バンコクという場所で遊んでいたという意味と同時に、バンコクをネタにして遊んでいたという意味でもある。 タイの現代史、とりわけ観光史はホテルの軌跡を追うことだろうと…

1994話 論文と読書ノート

京都大学人文科学研究所は、その前身となる東方文化学院京都研究所から考えると、そろそろ100年の歴史になる。そこに姿を見せた歴代の研究者たちの姿を描いた『京大人文研』(斎藤清明、創隆社、1986)を読んでいたら、こんな一節があった。時代はおそらく19…

1793話 地域の専門家 その4

タイの専門家になる気はないのに、『バンコクの好奇心』を書いた後もバンコクに居続けた理由はいくつかある。ナイロビの後アフリカのほかの都市や中南米の都市を選ばなかった理由は、何度も通うには交通費がかかりすぎることと、滞在費は質と金額を考えれば…

1792話 地域の専門家 その3

すでに書いた話だが、今回の話題と関係があるので、またその話を書く。 ある会合で、知り合いの教授が「タイの農村を研究している院生です」と、若者を紹介した。ある村に通い、そこでの研究をまとめた博士論文を書き終えたところだという。街好きの私は、そ…

1791話 地域の専門家 その2

東アフリカの旅を終えて、次の長期滞在地はバンコクに決めた。それまでなんども訪れているバンコクに腰を落ち着けて、バンコクの本を書いてみようかと考えたのだが、タイの専門家になりたいとは、もちろん思ってもいない。その時は、1都市を主役にした本を…

1790話 地域の専門家 その1

民族学者というより食文化研究の大家と言った方がなじみがあるかもしれない石毛直道さんに、あるときこんな質問をしたことがある。 「どこかの国に留学したり長期滞在して、その国やある民族の専門家になろうと思ったことがありますか?」 石毛さんはフラン…

1789話 経年変化 その20(最終回)

◆服装 その3 1990年代の私の生活サイクルは、10月に入り少し涼しさを感じるようになるとタイに移動して、翌年タイが酷暑の4月に入る前に日本に戻っていた。1年のうち10か月は夏で、あとは春と秋という生活だった。 90年代末に、そういう生活サイクルをやめ…

1788話 経年変化 その19

◆服装 その2 もともと服はあまり買わない方だと思うが、1990年代の東南アジア長期滞在時代に事情が変わった。 例えば、ある日のバンコクの1日。 エアコンのない部屋の朝。汗びっしょりで目覚め、すぐシャワーを浴びる。着替えて、新聞を買いに行き、その新…

1787話 経年変化 その18

◆服装 その1 今回の連載コラムを「経年変化」としているが、変化していない例のひとつが服装だろう。タイと日本を往復していた1990年代から体形が変わり始め、タイに行くと友人が、「やっぱり日本はうまいものが多いようで、太りましたね」といい、日本に戻…

1786話 経年変化 その17

◆酒タバコ 19、20歳のころは、「居酒屋で一杯」と大人の世界をまねてみたこともあるが、酒は体質に合わないことがわかり、飲まなくなった。ただし、「大人の世界」に入ったということで、宴会などで「まずは、乾杯」というときに、コップ一杯のビールのおつ…

1785話 経年変化 その16

◆本を買う その2 20年以上前に出た新書や文庫などを古本屋で探していたころは、しばしば古本屋に行き、神田で見つからないと高田馬場に行き、それでも見つからないと中央線沿線の古本屋に行く。手帳には「買いたい本」のリストができていたから、1日古本屋…