2019-01-01から1年間の記事一覧

1334話 スケッチ バルト三国+ポーランド 53回

食べる話 その2 好きな場所 その2 ヨーロッパ中部北部東部の料理、例えばイギリスやドイツ周辺諸国など、どうも評判が悪い。ありていに言えば、「まずい」という評判が高く、私も「そうだろうな」と思っていたが、近頃、「それは違うな」と思い始めた。「…

1333話 スケッチ バルト三国+ポーランド 52回

食べる話 その1 好きな場所 その1 今、旅を終えて、「ああ、あそこはよかったなあ」と思い出すレストランがいくつかある。 まず、リーガ市役所地下のDailyだ。誰でも利用できるカフェテリア式の食堂で、リーガ市民によく知られたところだ。あらかじめ作っ…

1332話 スケッチ バルト三国+ポーランド 51回

ホットドッグと「どうぞ」と歯医者 昨日も歯医者に行った。旅から帰ってすぐに通い始め、昨日で一応の区切りがついた。長い治療だった。 そもそもは、この写真のホットドッグだ。 このホットドッグが高くついた。 リーガに着いてすぐのことだった。近所のコ…

1331話 スケッチ バルト三国+ポーランド 50回

自主管理労組「連帯」 ワルシャワ中央駅の北側は、ゴチャゴチャした住宅地だったり、スターリンの権威を見せつめる文化科学宮殿のような大建造物があったり、戦後に復元した「旧市街」があったり、ガラス張りの高層ビルがあったりと様々な顔を見せるのだが、…

1330話 スケッチ バルト三国+ポーランド 49回

リーガの鉄道博物館 前回、私は自動車マニアではないと書いたが、鉄道車両マニアでもない。だから、ただ車両が並んでいるだけの鉄道博物館では感激しないのだが、ここは違った。この博物館の日本語サイトでは「鉄道歴史博物館」と紹介されているが、ラトビア…

1329話 スケッチ バルト三国+ポーランド 48回

リーガの自動車博物館 リーガ郊外にある自動車博物館は、小規模なものだろう予想し、まさにその通りだった。小さくても、共産圏自動車博物館だと、それはそれでおもしろいだろうと思ったのだが、そういう自動車の大博物館でもなかった。それでもちょっとおも…

1328話 スケッチ バルト三国+ポーランド 47回

ワルシャワの自動車 天下のクラマエ師こと、蔵前仁一さんのツイッター(9月20日)に、その昔、中国で撮影した正体不明の自動車の写真が出ていて、すぐさま旧車マニアからの投稿でその車は「ワルシャワ203」という車だとわかったという顛末が載っている。私…

1327話 スケッチ バルト三国+ポーランド 46回

地下鉄で行った郊外 ワルシャワには地下鉄が2路線走っている。そのうちのM1線に乗った。この日、バスもトラムも地下鉄も1日乗り放題のキップを買ったから、トラムに続いて地下鉄にも乗ってみようと思ったのだ。日本円で書くと、トラム1回乗車で120円。乗り…

1326話 スケッチ バルト三国+ポーランド 45回

トラムに乗って その2 トラムが好きだ。トラムが走っている程度の大きさの街が好きだ。日本でも、機会があればトラムに乗っている。若狭に用が会った時、わざわざ遠回りして福井市経由にしたのは福井鉄道福武線に乗りたかったからだ。乗りたいがまだ乗って…

1325話 スケッチ バルト三国+ポーランド 44回

トラムに乗って その1 今回から、しばらく乗り物の話をする。機械の話を掘り下げる気はさらさらないので、乗り物スケッチである。まずは、トラム(路面電車)の話から。 年に何回か会って雑談をする元新聞記者の知人がいる。彼は現役時代、いくつかの街で特…

1324話 スケッチ バルト三国+ポーランド 43回

最北地点 いままで行った街の中で、もっとも北にあるのはモスクワだった。北緯55度45分だ。今回のコラムで何度か書いているように、この時のモスクワは、横浜からロンドンに行く片道ツアーに参加したときに立ち寄った都市で、モスクワに行きたくて行ったわけ…

1323話 スケッチ バルト三国+ポーランド 42回

危機一髪 リーガのわが宿はリーガ駅の正面にあり、宿から駅方面に行くには、横断歩道を2か所渡って行くルートと、横断歩道とは反対方向にちょっと歩き地下道で駅方向に行くルートがある。 ある日の夕方、駅から地下道を使って宿に戻る途中、階段を上がってい…

1322話 スケッチ バルト三国+ポーランド 41回

スターリン・ゴシック プラハの旅行記で、1950年代に建てられた偉そうな建物のことを書いた。 1232話(2019年2月2日) https://maekawa-kenichi.hatenablog.com/entry/2019/02/02/101744 プラハのスターリン・ゴシック、インターナショナル・ホテル。1951年…

1321話 スケッチ バルト三国+ポーランド 40回

リーガ 19世紀から20世紀の建物 アール・デコがあるのかな? 19世紀末から20世紀初めにかけて流行したアール・ヌーボーのあと、鉱物をイメージさせる幾何学的デザインを基調としたアール・デコが話題となる。時代的には1930年代あたりからだ。アール・デコは…

1320話 スケッチ バルト三国+ポーランド 39回

リーガ 19世紀から20世紀の建物 アール・ヌーボー 19世紀の末にフランスで始まったアール・ヌーボーは、「新しい芸術」という意味で、植物の曲線をモチーフにしたデザインが特徴。アール・ヌーボーの建築はプラハが有名だが、リーガのアルベルタ通り周辺にも…

1319話 スケッチ バルト三国+ポーランド 38回

木造住宅 その4 ラトビアの首都リーガから鉄道で30分ほど西に走ると、バルト海の保養地ユールマラに出る。気温は30度を越えていても海水温は低いようで、行楽客の目的は海で泳ぐことではなく、太陽の熱に体をさらすことである。水につかる人は皆無ではないが…

1318話 スケッチ バルト三国+ポーランド 37回

木造住宅 その3 街で見かける木造住宅は古い家だ。郊外の新築住宅だと、外壁をモルタル仕上げにしている家もあるので、木造かレンガ造りかは道路からちょっと見ただけではわからない。新築も木造という住宅があるだろうかと思いつつ散歩をしていたら、エスト…

1317話 スケッチ バルト三国+ポーランド 36回

木造住宅 その2 角材で建てたように見える家はどのように建てたのか。その謎は、すぐに解けた。古ぼけて、家の壁が壊れかかっているところを観察すると、丸太を積んだのではなく、板張りだ。こういうのを、下見板張りという。 下見板に注目して、証拠写真を…

1316話 スケッチ バルト三国+ポーランド 35回

木造住宅 その1 建築の話を今しばらく続けたい。 バルト三国の旅はラトビアのリーガから始まったのだが、いままでのヨーロッパの街とはちょっと違うぞと思い、エストニアやリトアニアを旅すれば、その印象がより強くなった。都市部に木造住宅がいくらでもあ…

1315話 スケッチ バルト三国+ポーランド 34回

野外建物博物館 その6 今回は、バルト三国の南の国、リトアニアの古民家を紹介する。リトアニアの北はラトビア、東はベラルーシ、南はポーランド、西はロシアの飛び地カリーニングラード州。かつて、ポーランドやドイツやロシアの支配を受けてきたので、勉強…

1314話 スケッチ バルト三国+ポーランド 33回

野外建物博物館 その5 今回は、バルト三国の真ん中の国、ラトビアの古民家を紹介する。 リーガ市外から北東に進み、広い川を越えると、湖に面して野外建築博物館がある。 このように屋敷全体を再現したものと、家一軒だけ再現したものもある。それぞれの建物…

1313話 スケッチ バルト三国+ポーランド 32回

野外建物博物館 その4 ラトビアの野外博物館に行ったとき、日本人の団体と出会ったという話を書いた。30名ほどの団体客は、数十棟ある家のうち、入場門にいちばん近い住宅に行き、内部を見ただけでバスに戻っていった。滞在時間は1時間もなかったと思う。老…

1312話 スケッチ バルト三国+ポーランド 31回

野外建物博物館 その3 煙突 「ごく簡単に言うと、煙突のない家が古いということです。だから、外から見ただけで、古いか、比較的新しいかがわかるのです」 上下どちらもエストニアの野外博物館。藁ぶき屋根から板葺き屋根に変わると煙突がつくという仮説が正…

1311話 スケッチ バルト三国+ポーランド 30回

野外建物博物館 その2 サウナ バルト三国それぞれの野外建物博物館の基本姿勢はよく似ている。ほとんどの建物は木造住宅で、住宅以外では教会や学校もあるが、それらも木造だ。木造建造物に関する考察はあとでじっくりやることにする。 エストニアの野外博…

1310話 スケッチ バルト三国+ポーランド 29回

野外建物博物館 その1 行くのが大変 エストニア、ラトビア、リトアニアの3国ともに、野外の建物博物館がある。そこに行くのが、今回の私の旅のハイライトと言ってもいい。私は建築に興味があるが、有名建築家の有名建造物とか世界遺産の建物といったものには…

1309話 スケッチ バルト三国+ポーランド 28回

さあ、トイレの話だ その4 この旅行記を書いているときに、「そういえば、ポーランド関連の本は何冊か本棚にあったはずだ」と思い出した。 話は少々ずれるが、そのいきさつを書いておきたい。先日、新聞の書籍広告で、『フィンランド語は猫の言葉』(稲垣美…

1308話 スケッチ バルト三国+ポーランド 27回

さあ、トイレの話だ その3 トイレ関連の本でもテレビの雑学番組でも、「ベルサイユ宮殿にはトイレはなかった」などという話題が何度も登場するが、「ちょっとは調べてものを言いなさい!」といつも思う。 そもそも当時のフランスにトイレはないんだから、ベ…

1307話 スケッチ バルト三国+ポーランド 26回

さあ、トイレの話だ その2 ラトビアのトイレに関する資料でもっとも詳しい日本語文献は、『ラトヴィアの蒼い風』(黒沢歩、新評論、2007)だろう。「選挙後のトイレ」という章で、なんと10ページにわたってラトビアのトイレ事情を詳細に書いている。すべて…

1306話 スケッチ バルト三国+ポーランド 25回

さあ、トイレの話だ その1 話はやはり、ソビエト時代のエストニア展から始まるのだが、かなり長くなりそうなので項を改めた。この話題のそもそもは、この展覧会場に作られたソビエト時代の住まいを見たのがきっかけだ。この再現住居のリアリズムはすばらし…

1305話 スケッチ バルト+三国ポーランド 24回

ソビエト時代のエストニア展から その4 バナナ ソビエト時代のエストニア展会場にあるいくつかあるモニターに、50代くらいの男がしゃべっているものがある。モニターの言語ボタンは、エストニア語、ラトビア語、英語、ロシア語とあり、そのすべてを本人がし…